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17.不可解

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スキンヘッドかつ黒肌マッチョの筺健かごまさるが、
「それで?」
「すぐにでも出るんですか??」
こう質問したところ、
「いいえ。」
「警察の方に電話で伺ってからになりますので、暫くは時間があると思いますよ。」
サラサラショート黒髪の沖奈朔任おきなさくと隊長が答えた。
その流れで、
「ただ…、架浦さんと緋島さんには、もともとの予定どおり、街の巡回をお願いします。」
沖奈が述べたら、
「え?」
「あー、全員で乗り込むわけじゃないのか。」
ハーフで金髪ボサボサショートの架浦聖徒みつうらせいんとが拍子抜けし、
「なんだよぉー。」
「おもいっきし暴れてやろうと思ったのに。」
元ヤンかつ金色ロングヘアーの緋島早梨衣ひしまさりいが、いささか不服そうにしたのである。
〝はははは〟と苦笑いした沖奈が、
「筺さんは、大丈夫ですか??」
「〝無理せず留守番しておく〟というのも可能なのですが……。」
このように確認したところ、
「なぁに、ただの打撲ですから、心配無用ですよ。」
〝ニカッ〟と口元を緩めたのだった。
「あのぉー、…、いつでも出動できるように、弾丸の予備を取りにロッカールームに行って来ても構いませんか?」
黒髪セミロングに丸メガネの鐶倖々徠かなわささら副隊長に訊かれ、
「ええ、どうぞ。」
沖奈隊長が快く承諾する。
それによって、
「では、一旦、失礼します。」
軽く頭を下げた鐶が、足早で去ったのであった。
「じゃあ、そういうことで。」
「取り敢えず、各自、本来の職務に専念してください。」
沖奈に言われ、筺と隈本一帆くまもとかずほがディスクに向かうなか、
「うちらはパトロールだ。」
緋島に促された架浦が、
「へい、へい。」
やる気なさそうに応じたのである。

廊下にて、
わりぃ、緋島。」
「オレ、ちと、トイレ。」
架浦が伝え、
「んぁ。」
「しゃーねぇなー。」
「外で待ってから、急げよ。」
緋島が眉間にシワを寄せた。
「りょーかい。」
こう返した架浦を残して、緋島がエレベーターへと足を運ぶ……。

一方、沖奈は、自分の席で、警察に改めてスマホで連絡していた。
なお、架浦と緋島は既に退室している。
「…………、はい、それでは、後程のちほど。」
沖奈が通話を終えたタイミングで、鐶が戻ってきたようだ。
それを目視した沖奈が、
「皆さん、そのまま聞いてください。」
「警察は14時半に作戦を開始するそうです。」
「ここから俟團組きせんぐみのビルまでは歩いて15分ぐらいみたいですので、もう少し経ってから赴くとしましょう。」
三人に述べたのである。
 
 

PM14:25頃。
一帆たちは、現場の近くに到着していた。
捜査対象となる建物の半径100Mは、警察によって封鎖されている。
この“東エリア”で、
「協力要請を受けた“H.H.S.O 東京組第十三番隊”です。」
沖奈隊長が、30代前半くらいの男性警察官に挨拶したところ、
「ご苦労さまです。」
「関係者の方が、お待ちになっていますよ。」
そう教えてきた。
「はい??」
首を傾げた沖奈に、
「お疲れ様です。」
スーツ姿の女性が寄って来る。
彼女は、“総監の秘書・・”だった。
認識して、
「ああ、どうも。」
お辞儀した沖奈に、
「許可証です。」
秘書が、ビジネスバッグから取り出した封筒を渡す。
これ・・を手にしつつ、
「バイク便で良かったのに…、わざわざすみません。」
「こちらには、車で?」
沖奈が尋ねたら、
「ええ。」
「徒歩で1分ほどの所に在るパーキングに、ついさっき停めてきました。」
そのように秘書が説明したのである。
〝ふむ〟と頷いた沖奈が、封筒に入れられていた用紙に目を通す。
「……、間違いないようですね。」
チェックを済ませたて、これを隊服の内ポケットに仕舞った沖奈が、
「それでは、気を付けてお帰りください。」
再び会釈した。
しかし、
「いいえ、総監に〝結果を報告するよう〟仰せつかっていますので、まだ、ここに居させていただきます。」
秘書に返されてしまったのである。
「そうなんですか??」
〝うぅ~む〟と考え込んだ沖奈に、
「分かりました。」
「が。」
「必ず、ご自身の安全を最優先すると、約束してください。」
こう言われて、
「了解しました。」
首を縦に振る秘書であった。
 
 

沖奈たちのもとに訪れた40代後半の私服警官が、
「どうやら、連中のビルは六階建てのようです。」
「正面と裏に出入口が設けられているので、我々は二手に分かれて進入します。」
「その後、各班が、それぞれのフロアを調べていきますが…、貴方がたは、私と一緒に最上階を目指してください。」
そう促したのである。
この男性は、なんでも、今回の担当責任者との話しだった。
 
 

建物の1Fは“金融業”の会社となっている。
その自動ドアから、百名を超える警察が〝ズカズカ〟と踏み込んでいく。
なかには、“アンドロイド”も何体か含まれていた。
令状を突き出した指揮官が、
「警察だ!」
「高金利の請求や悪質な取り立てと、危険薬物の製造販売に関して、これより捜索する!!」
「決して抵抗せず、おとなしく従うように!」
こう宣言して、
「では、我々は上に行きましょう。」
十三番隊に視線を送ったのである。
 
一帆たちが小走りで階段を上っていくなか、いろいろなチームが、さまざまな部屋に突入していた。
 
目的のフロアにて。
人間であれロボットであれ、警察らがピストルを抜く。
それに、沖奈と鐶が続いた。
一帆や筺は、スキルからして、あまり武器を必要としない。
仲間を護るためや、本人がオーバーヒートを起こしそうなときに、用いるぐらいだ。
 
一つの豪壮な扉の前で、15名ほどの警察たちがアイコンタクトを交わし、配置に着く。
ひと呼吸おき、
「GO!!」
責任者の号令で、二人の警察がドアを勢いよく開ける。
映画やドラマなどによくある〝絵に描いたような組長室〟には……、誰も居なかった。
全員が室内へと進むなか、責任者の無線トランシーバーより、
『こちらD班!』
『二階は、もぬけの殻でした!!』
であったり、
『こちらC班!』
『三階も同様です!!』
といった報せが、次々と聞こえてきたのである。
このような状況に、
「…………、どういうことだ?」
指揮官は驚きを隠せずにいるみたいだ。
そんな彼の背後で、怪訝そうにする[第十三番隊]であった―。
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