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4.初勤務・破
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世界中の至る所に、防犯カメラが増設されまくっている。
それらは特殊な物であり、通常のカメラ機能に加えて“時空の歪”を感知できるのだそうだ。
今では、ビルやマンションに、電柱などの、頂上にも備え付けられている。
何故ならば、翼や羽を有した妖魔は宙に出現するため、この動きをキャッチする必要もあるからだった…。
▼
黒髪ボブの隈本一帆/金髪ロングの緋島早梨衣/黒髪セミロングの意川敏矢の三名は、[花道通り]を西へと進んでいる。
平日の午前九時過ぎという事もあってか、通行人は少なめであった。
「なぁ、お前のこと、なんて呼べばいい?」
「クマモトか、カズホか……。」
「さすがに、アタシは“くまりん”には抵抗があんからな。」
緋島の意見に、
「なんでも構いませんので、お好きにどうぞ。」
「ただ…、“くまりん”には私も馴染めそうにありません。」
一帆が返す。
〝ぶはッ!〟と笑った早梨衣が、
「だよなぁ~。」
「アタシも初めの頃は“サリーちゃん”ってあだ名に怒ってたんだけど、あまりもしつこくって根負けしちまったよ。」
「ま、基本的にはイヤなんだけどな。」
眉間に軽くシワを寄せる。
「……、じゃあ、“カズホ”にさせてもらうわ。」
そう決めた緋島に、
「はい、分かりました。」
新入隊員が頷く。
このタイミングで、建物や電信柱に常設されているスピーカーから〝ビィ――ッ!! ビィ――ッ!! ビィ――ッ!! ビィ――ッ!!〟という警報音が響き渡る流れで、
『およそ3分後に“時空の歪”が発生し、妖魔が出現します。』
『規模は小さめですが、近隣の方は念の為に避難してください。』
『予測される場所は――。』
“機械的な女性の声”でナビゲーションが放送された。
案内が何度となくリピートされていくなかで、
「そこまで遠くはねぇな…。」
「よし、急ごうぜ!」
早梨衣が走りだし、二人が続いたのである……。
▼
映画館の側に在る[広場]に、縦2M×最大幅50㎝といった楕円形の極薄な“黒い渦”が現れた。
ここから〝ゾロゾロ〟と出てきたのは、和製の甲冑を纏ったゾンビどもである。
それぞれに刀・槍・弓矢を所持している20体ほどが、こちらの世界に訪れたところで、渦が〝スッ〟と消えた。
背丈は160㎝~170㎝と、個体差があるようだ。
ともあれ。
得物となる人間を見つけたいのか、全員が〝キョロ キョロ〟している。
しかし、人々は一足先に近くの建物などに逃げ込んでいた。
妖魔たちが申し合わせたかのように北へと移動しようとしていたら、
「いたぞ!!」
「アイツラだ!」
その方角より緋島たちが駆けて来たのである。
敵との距離が20Mあたりになったところで、肩で息している三人がストップした。
「あれは、屍武士みたいですね。」
左斜め後ろにて見解を示した意川に、
「なんだっていいさ。」
「一匹残らず、ぶっ倒してやんよッ!!」
最前の早梨衣が嬉々として告げる。
「それじゃあ、取り敢えず…。」
“両の掌”を突き出した敏矢が、
「発動。」
そう唱えたら、屍武士の半数が、5Mぐらい浮いて、〝ピタッ〟と止まるなり、一斉に落下していき、地面に叩き付けられた。
「カズホ、アンタは、近距離、遠距離、中間距離の、どれだい??」
緋島の質問に、
「私は“接近戦タイプ”です。」
右斜め後ろの一帆が答える。
「オッケー。」
「だったら、まずは飛び道具を持っている連中を狙って、おもいっきり暴れんぞ!」
こう伝えた早梨衣が、
「発動!!」
との言葉と共に、右足で地を〝ドンッ!〟と踏んだところ、眼前に[片刃のバトルアックス]が現れた。
それを両手で掴んだ緋島が、
「うおりゃぁあッ!!」
妖魔の群れへとダッシュする。
屍武士どもは、既に、10Mの位置まで詰めてきていた。
なお、倒れていた敵らも、とっくに起き上がって、向かって来ている。
ただし、脚が折れたらしい四体は、バランスを失い、転倒したようだ。
「おらッ!」
「うりゃッ!!」
早梨衣が“ほぼ斧”といった武器を払いまくって、妖魔どもに攻撃をヒットさせていくなか、
「発動。」
一帆が自身の胸元あたりで“両の拳”を〝コツン〟と合わせる。
次の瞬間、〝ビュンッ!〟と走る勢いで、一体の屍武士の胴に、右パンチを〝ズドン!!〟と当てた。
これによって、敵が後方に弾かれ、別の二体が“ボーリングのピン”かのように巻き込まれる。
一帆は、更に、他の妖魔たちへと、“上段回し蹴り”や“肘鉄”などを、次々にヒットさせていく。
そんな、目で追えない程のスピードと、一撃で敵を破壊するパワーに、
「マジか……。」
緋島が絶句した。
意川もまた、驚きを隠せず、唖然としている。
ちなみに、どんな妖魔も、死を迎える際には、装備品も含めて灰になるらしい。
屍武士の集団を塵と化していく一帆に、
(アタシも負けてらんねぇな。)
秘かに思った早梨衣が、バトルアックスを縦横無尽に振るう。
だが、すぐに、肝心の武器が〝フッ〟と消滅した。
「!!」
「タイムリミットか。」
緋島が、仕切り直すべく、バックステップする。
個人によって違いはあるものの、スキルには何かしらの制限があったりもするそうだ。
緋島早梨衣の場合は、能力が30秒しかもたない。
とは言え、幾度でも発動することが出来る。
しかしながら、誰もが、スキルを乱用しすぎると、オーバーヒートを起こし、肉体に異常をきたす。
過去には、これが原因で亡くなってしまった人もいるらしい。
離れた早梨衣を、敵の一体が“槍”で刺そうとする。
緋島は再び地面を踏もうとしていたものの、間に合いそうにはなかった―。
それらは特殊な物であり、通常のカメラ機能に加えて“時空の歪”を感知できるのだそうだ。
今では、ビルやマンションに、電柱などの、頂上にも備え付けられている。
何故ならば、翼や羽を有した妖魔は宙に出現するため、この動きをキャッチする必要もあるからだった…。
▼
黒髪ボブの隈本一帆/金髪ロングの緋島早梨衣/黒髪セミロングの意川敏矢の三名は、[花道通り]を西へと進んでいる。
平日の午前九時過ぎという事もあってか、通行人は少なめであった。
「なぁ、お前のこと、なんて呼べばいい?」
「クマモトか、カズホか……。」
「さすがに、アタシは“くまりん”には抵抗があんからな。」
緋島の意見に、
「なんでも構いませんので、お好きにどうぞ。」
「ただ…、“くまりん”には私も馴染めそうにありません。」
一帆が返す。
〝ぶはッ!〟と笑った早梨衣が、
「だよなぁ~。」
「アタシも初めの頃は“サリーちゃん”ってあだ名に怒ってたんだけど、あまりもしつこくって根負けしちまったよ。」
「ま、基本的にはイヤなんだけどな。」
眉間に軽くシワを寄せる。
「……、じゃあ、“カズホ”にさせてもらうわ。」
そう決めた緋島に、
「はい、分かりました。」
新入隊員が頷く。
このタイミングで、建物や電信柱に常設されているスピーカーから〝ビィ――ッ!! ビィ――ッ!! ビィ――ッ!! ビィ――ッ!!〟という警報音が響き渡る流れで、
『およそ3分後に“時空の歪”が発生し、妖魔が出現します。』
『規模は小さめですが、近隣の方は念の為に避難してください。』
『予測される場所は――。』
“機械的な女性の声”でナビゲーションが放送された。
案内が何度となくリピートされていくなかで、
「そこまで遠くはねぇな…。」
「よし、急ごうぜ!」
早梨衣が走りだし、二人が続いたのである……。
▼
映画館の側に在る[広場]に、縦2M×最大幅50㎝といった楕円形の極薄な“黒い渦”が現れた。
ここから〝ゾロゾロ〟と出てきたのは、和製の甲冑を纏ったゾンビどもである。
それぞれに刀・槍・弓矢を所持している20体ほどが、こちらの世界に訪れたところで、渦が〝スッ〟と消えた。
背丈は160㎝~170㎝と、個体差があるようだ。
ともあれ。
得物となる人間を見つけたいのか、全員が〝キョロ キョロ〟している。
しかし、人々は一足先に近くの建物などに逃げ込んでいた。
妖魔たちが申し合わせたかのように北へと移動しようとしていたら、
「いたぞ!!」
「アイツラだ!」
その方角より緋島たちが駆けて来たのである。
敵との距離が20Mあたりになったところで、肩で息している三人がストップした。
「あれは、屍武士みたいですね。」
左斜め後ろにて見解を示した意川に、
「なんだっていいさ。」
「一匹残らず、ぶっ倒してやんよッ!!」
最前の早梨衣が嬉々として告げる。
「それじゃあ、取り敢えず…。」
“両の掌”を突き出した敏矢が、
「発動。」
そう唱えたら、屍武士の半数が、5Mぐらい浮いて、〝ピタッ〟と止まるなり、一斉に落下していき、地面に叩き付けられた。
「カズホ、アンタは、近距離、遠距離、中間距離の、どれだい??」
緋島の質問に、
「私は“接近戦タイプ”です。」
右斜め後ろの一帆が答える。
「オッケー。」
「だったら、まずは飛び道具を持っている連中を狙って、おもいっきり暴れんぞ!」
こう伝えた早梨衣が、
「発動!!」
との言葉と共に、右足で地を〝ドンッ!〟と踏んだところ、眼前に[片刃のバトルアックス]が現れた。
それを両手で掴んだ緋島が、
「うおりゃぁあッ!!」
妖魔の群れへとダッシュする。
屍武士どもは、既に、10Mの位置まで詰めてきていた。
なお、倒れていた敵らも、とっくに起き上がって、向かって来ている。
ただし、脚が折れたらしい四体は、バランスを失い、転倒したようだ。
「おらッ!」
「うりゃッ!!」
早梨衣が“ほぼ斧”といった武器を払いまくって、妖魔どもに攻撃をヒットさせていくなか、
「発動。」
一帆が自身の胸元あたりで“両の拳”を〝コツン〟と合わせる。
次の瞬間、〝ビュンッ!〟と走る勢いで、一体の屍武士の胴に、右パンチを〝ズドン!!〟と当てた。
これによって、敵が後方に弾かれ、別の二体が“ボーリングのピン”かのように巻き込まれる。
一帆は、更に、他の妖魔たちへと、“上段回し蹴り”や“肘鉄”などを、次々にヒットさせていく。
そんな、目で追えない程のスピードと、一撃で敵を破壊するパワーに、
「マジか……。」
緋島が絶句した。
意川もまた、驚きを隠せず、唖然としている。
ちなみに、どんな妖魔も、死を迎える際には、装備品も含めて灰になるらしい。
屍武士の集団を塵と化していく一帆に、
(アタシも負けてらんねぇな。)
秘かに思った早梨衣が、バトルアックスを縦横無尽に振るう。
だが、すぐに、肝心の武器が〝フッ〟と消滅した。
「!!」
「タイムリミットか。」
緋島が、仕切り直すべく、バックステップする。
個人によって違いはあるものの、スキルには何かしらの制限があったりもするそうだ。
緋島早梨衣の場合は、能力が30秒しかもたない。
とは言え、幾度でも発動することが出来る。
しかしながら、誰もが、スキルを乱用しすぎると、オーバーヒートを起こし、肉体に異常をきたす。
過去には、これが原因で亡くなってしまった人もいるらしい。
離れた早梨衣を、敵の一体が“槍”で刺そうとする。
緋島は再び地面を踏もうとしていたものの、間に合いそうにはなかった―。
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