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1.新入隊員
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およそ30年前の事だった。
突如として、世界中に妖魔が出現するようになったのは。
それと同時に不思議な能力に目覚めた人々もいるのだが、未だに詳しいことは分かっていない。
いや、一部の者は知っているものの、極秘にされているのだとも云う。
そのため、巷では、〝神仏の御業〟や〝地球外生命体によるもの〟であったり〝政治家たちの企て〟に〝謎の組織による陰謀〟といった様々な説が唱えられている。
いずれしろ、世界各国で、こういった問題に取り組む“公的なチーム”が立ち上げられて久しい。
主な職務は、たまに現れる妖魔を退治する事と、犯罪を行った能力者の逮捕である。
“スキル持ち”とも言われている人達は、非能力者では太刀打ちできなかったりもするためだ。
要は、各国の警察だけでは手に負えないのである。
これを踏まえて、日本では[異端対応特別組織]なるものが設けられた。
・異端 = Heresy(ヘレシー)
・対応 = Handle(ハンドル)
・特別 = Special(スペシャル)
・組織 = Organization(オーガニゼーション)
その頭文字から[H.H.S.O]と呼ばれている……。
▼
現在――。
まだまだ肌寒い四月上旬の、午前07:50ごろ。
黒色を基調とした隊服姿の若い女性が、新宿歌舞伎町の裏道に入り、目的地へと徒歩で向かっている。
身長は165㎝くらいだろう。
黒髪ボブの色白美肌で、クールビューティーといった印象だ。
右肩からライトブラウンのショルダーバッグを掛けており、腰には[折り畳み式の警棒/小銃/手錠]を装着している。
そんな彼女が、
(よりにもよって、十三番隊とは…。)
(一番隊を希望していたというのに。)
俯き加減で、軽く〝はぁー〟と溜息を吐く。
しかし、
(いえ。)
すぐに顔を上げ、
(例え、どの隊であっても、全力を尽くさねば。)
(世の安寧のために!)
ポジティブに変換したのであった。
▼
彼女は、やや古びたレンガ造りの建物に辿り着いた。
一階で“大サイズのエレベーター”に乗り、4Fで降りる。
その四階にて、廊下を少し歩き、左側にあるアンティークな木製扉の前で止まった。
“すりガラス”であるドアには、[H.H.S.O 東京組第十三番隊]と書かれた“横長の金プレート”が見受けられる。
〝ここで間違いない〟と確信して「ふむ」と頷いた女性が、壁に備え付けられている“呼び鈴”を、右の人差し指で押したところ、〝ブ――ッ〟というブザー音が鳴った。
「はーい。」
「どうぞぉー。」
あちらから聞こえてきた男性の声に促され、部屋へと入った彼女が、
「本日づけで、こちらの隊に所属することになりました。 隈本一帆です。」
「よろしくお願い致します!!」
〝ビシッ!〟と敬礼する。
眼前には、一台のローテーブルと、二脚の長ソファが置かれていた。
この奥に、ダークブラウンの机が在り、黒髪ショートの男が椅子に座っている。
おそらく、先ほど返事した人物であろう。
彼を認識した一帆が、
(え?!)
(もしかして??)
瞼をパチクリさせていたら、右側より、
「おー、待ってたぜぇい、新人ちゃん。」
金髪の男性を筆頭に、数人が〝ゾロゾロ〟と近寄って来ていた。
そのなかで、途中で足を止めた“奇抜な恰好の女性”が、
「ほらぁ、トッシー。」
「集合だよぉ。」
イスに腰掛けてポータブルゲームをプレイしている青年に教えたところ、
「んー。」
「今、セーブするよ。」
このように返したのである。
どうやら、そちらはオフィスとなっているようで、数台のディスクが設置されていた。
ちなみに、こちらにも、あちらにも、大きめの窓が幾つも在り、ブラインドカーテンが備わっている。
床は、全体的にグレーのフロアタイルになっているみたいだ。
さて。
〝スッ〟と起立した“正面の男性”に、
「初めまして。」
「僕は、隊長の沖奈朔任です。」
「確か、貴方には、総監の推薦状が届いている筈ですよね?」
そう訊かれた一帆が、
「あ、はい。」
「持参しております。」
バックから取り出したA4サイズの封筒を、手渡す。
これを受け取って、中身の用紙に目を通している男性を、一帆が〝じぃ――――ッ〟と見つめる。
それに気付いて、
「何か??」
いささか不思議がった男に、
「あ、いえ、失礼しました。」
「その……、不躾で申し訳ありませんが、隊長殿は、3年前に起きた“第二次妖魔大量発生事変”の際に、下北沢に居られませんでしたか?」
一帆が伺う。
「ええ、いましたが…。」
「あ。」
「もしかして、貴女も、あの時そこに??」
朔任の質問に、
「はい。」
「たまたま偶然ではありましたが。」
一帆が答えた。
2人の会話に、
「え~? なぁにぃ~??」
「知り合いってことぉ?」
さっきの派手系ファッションの女性が割って入る。
「はぁ。」
「そうなるみたいですが……。」
「すみません。」
「僕は、貴女の事を、よく覚えていないみたいです。」
朔任の何気ない言葉にて、
「そうですか…。」
「まぁ、ほんのちょっと行動を共にしただけですので、隊長殿の記憶に残っていなくても仕方ありませんね。」
一帆が少なからずガッカリした。
このような状況下で、ゲーマーが〝ふぁ~あ〟と欠伸しながら合流してくる。
それによって、黒髪セミロングに丸メガネで小柄な女性が、
「沖奈隊長。」
「全員、揃いましたので、紹介の程を。」
と、勧めるのであった―。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
隈本一帆
性別:女性
年齢:18歳
身長:165㎝
髪型:黒色のボブ
容姿:クールビューティーな印象/色白美肌/細身
服装:黒を基調とした隊服&ブーツ
備考:本編の主人公
突如として、世界中に妖魔が出現するようになったのは。
それと同時に不思議な能力に目覚めた人々もいるのだが、未だに詳しいことは分かっていない。
いや、一部の者は知っているものの、極秘にされているのだとも云う。
そのため、巷では、〝神仏の御業〟や〝地球外生命体によるもの〟であったり〝政治家たちの企て〟に〝謎の組織による陰謀〟といった様々な説が唱えられている。
いずれしろ、世界各国で、こういった問題に取り組む“公的なチーム”が立ち上げられて久しい。
主な職務は、たまに現れる妖魔を退治する事と、犯罪を行った能力者の逮捕である。
“スキル持ち”とも言われている人達は、非能力者では太刀打ちできなかったりもするためだ。
要は、各国の警察だけでは手に負えないのである。
これを踏まえて、日本では[異端対応特別組織]なるものが設けられた。
・異端 = Heresy(ヘレシー)
・対応 = Handle(ハンドル)
・特別 = Special(スペシャル)
・組織 = Organization(オーガニゼーション)
その頭文字から[H.H.S.O]と呼ばれている……。
▼
現在――。
まだまだ肌寒い四月上旬の、午前07:50ごろ。
黒色を基調とした隊服姿の若い女性が、新宿歌舞伎町の裏道に入り、目的地へと徒歩で向かっている。
身長は165㎝くらいだろう。
黒髪ボブの色白美肌で、クールビューティーといった印象だ。
右肩からライトブラウンのショルダーバッグを掛けており、腰には[折り畳み式の警棒/小銃/手錠]を装着している。
そんな彼女が、
(よりにもよって、十三番隊とは…。)
(一番隊を希望していたというのに。)
俯き加減で、軽く〝はぁー〟と溜息を吐く。
しかし、
(いえ。)
すぐに顔を上げ、
(例え、どの隊であっても、全力を尽くさねば。)
(世の安寧のために!)
ポジティブに変換したのであった。
▼
彼女は、やや古びたレンガ造りの建物に辿り着いた。
一階で“大サイズのエレベーター”に乗り、4Fで降りる。
その四階にて、廊下を少し歩き、左側にあるアンティークな木製扉の前で止まった。
“すりガラス”であるドアには、[H.H.S.O 東京組第十三番隊]と書かれた“横長の金プレート”が見受けられる。
〝ここで間違いない〟と確信して「ふむ」と頷いた女性が、壁に備え付けられている“呼び鈴”を、右の人差し指で押したところ、〝ブ――ッ〟というブザー音が鳴った。
「はーい。」
「どうぞぉー。」
あちらから聞こえてきた男性の声に促され、部屋へと入った彼女が、
「本日づけで、こちらの隊に所属することになりました。 隈本一帆です。」
「よろしくお願い致します!!」
〝ビシッ!〟と敬礼する。
眼前には、一台のローテーブルと、二脚の長ソファが置かれていた。
この奥に、ダークブラウンの机が在り、黒髪ショートの男が椅子に座っている。
おそらく、先ほど返事した人物であろう。
彼を認識した一帆が、
(え?!)
(もしかして??)
瞼をパチクリさせていたら、右側より、
「おー、待ってたぜぇい、新人ちゃん。」
金髪の男性を筆頭に、数人が〝ゾロゾロ〟と近寄って来ていた。
そのなかで、途中で足を止めた“奇抜な恰好の女性”が、
「ほらぁ、トッシー。」
「集合だよぉ。」
イスに腰掛けてポータブルゲームをプレイしている青年に教えたところ、
「んー。」
「今、セーブするよ。」
このように返したのである。
どうやら、そちらはオフィスとなっているようで、数台のディスクが設置されていた。
ちなみに、こちらにも、あちらにも、大きめの窓が幾つも在り、ブラインドカーテンが備わっている。
床は、全体的にグレーのフロアタイルになっているみたいだ。
さて。
〝スッ〟と起立した“正面の男性”に、
「初めまして。」
「僕は、隊長の沖奈朔任です。」
「確か、貴方には、総監の推薦状が届いている筈ですよね?」
そう訊かれた一帆が、
「あ、はい。」
「持参しております。」
バックから取り出したA4サイズの封筒を、手渡す。
これを受け取って、中身の用紙に目を通している男性を、一帆が〝じぃ――――ッ〟と見つめる。
それに気付いて、
「何か??」
いささか不思議がった男に、
「あ、いえ、失礼しました。」
「その……、不躾で申し訳ありませんが、隊長殿は、3年前に起きた“第二次妖魔大量発生事変”の際に、下北沢に居られませんでしたか?」
一帆が伺う。
「ええ、いましたが…。」
「あ。」
「もしかして、貴女も、あの時そこに??」
朔任の質問に、
「はい。」
「たまたま偶然ではありましたが。」
一帆が答えた。
2人の会話に、
「え~? なぁにぃ~??」
「知り合いってことぉ?」
さっきの派手系ファッションの女性が割って入る。
「はぁ。」
「そうなるみたいですが……。」
「すみません。」
「僕は、貴女の事を、よく覚えていないみたいです。」
朔任の何気ない言葉にて、
「そうですか…。」
「まぁ、ほんのちょっと行動を共にしただけですので、隊長殿の記憶に残っていなくても仕方ありませんね。」
一帆が少なからずガッカリした。
このような状況下で、ゲーマーが〝ふぁ~あ〟と欠伸しながら合流してくる。
それによって、黒髪セミロングに丸メガネで小柄な女性が、
「沖奈隊長。」
「全員、揃いましたので、紹介の程を。」
と、勧めるのであった―。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
隈本一帆
性別:女性
年齢:18歳
身長:165㎝
髪型:黒色のボブ
容姿:クールビューティーな印象/色白美肌/細身
服装:黒を基調とした隊服&ブーツ
備考:本編の主人公
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