赤い糸を結んでくれたあなたがキモオタになっているなんて思いもしなかった

虚弱体質で男性が(生理的に)苦手な姫添聖は、16歳の誕生日を翌日に控えた放課後、級友の鎌瀬友道に告白された。
そしてその夜、彼女は不思議な夢を見る。

ここじゃない別の世界。崩落する天空城の玉座の前で、愛する人と見つめあっていた。
グリアン・クフリン・エイラ
太陽と英雄の名を持つ彼は、彼女のか細い指に赤い糸を絡めた。

「”誓いの紡糸”まだ結んでなかったから」

彼女が結ばれた糸に目を輝かせていると、彼は彼女を軽く撫でて続ける。

「この糸には少し細工がしてあってね」

この糸は来世も現れる。
ただし、16歳までは見えない。

「そして16歳になってもまだこの糸が消えずにいたら、君がこの糸を見たときこの世界の記憶を取り戻す。その時は、僕を見つけてほしい。きっと近くで生まれて見せるから」

彼女は強く頷くと、彼に抱き着いた。すぐそばに迫る死の恐怖を彼に悟られないために。



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