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第3章 ふたたび、一瞬の夏
深い溝
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「お母さん、どうしてここにいるの?東京に帰ったんじゃなかったの?」
奈緒は、引きつった顔で、闇の中から現れた女性に向かって、おののくような声で語りだした。
「まだ、どうしても奈緒に言いたいことがあって。今、この時間ならこの場所にいるんじゃないかと思って来てみたの。奈緒に一言、謝りたくてね」
美江は、奈緒から目を逸らしながらつぶやいた。
「奈緒は、私にとってたった一人の子だった。だから、大事に育てたいと思ってた。でも、この町に越してきたら、高校さえ出ればいいやって考えてる人が多くて、放っておいたら奈緒が段々勉強しなくなるんじゃないかって不安になって。幼い頃から親に勉強するよう言われて育った私には、すごく怖かった」
「だからと言って、何をしてもいいわけじゃないでしょ?家に帰れば勉強ばかりさせて、少しでも成績が下がったら鬼のように叱りとばしてさ。単に私の事、憎かったんじゃないかって思ってた」
「奈緒のこと、憎いだなんて思ったことはないよ。これだけはハッキリ言える。ただ、自分の願望が行き過ぎて、奈緒を自分の世界に閉じ込めてしまった。だから、あなたは私が嫌になって家出して、この町まで逃げてきたのかなって」
「お母さん……私が家出した理由は、それだけじゃないよ。お母さん、お父さんが死んですぐ彼氏作ってさ。その連れ子と私を何かにつけて比較してさ。すごく嫌だったんだ。私の居場所がだんだん無くなっていくようでさ」
「奈緒、私は単に、あなたに頑張ってもらいたかったの。あの時、成績が上がらず悩んでいたようだから、私なりに励ましたいと思って」
「ふざけないで!お母さんのそういう所が、大っ嫌い!」
「私は、単純にあなたに幸せになってもらいたかった。それには、いい大学に入って、いい就職先を見つけるしかないと思ってたの」
「違う!そんなのは幸せじゃない。私の幸せは、この中川町で時間を忘れて釣りを楽しんで、海や山でめいっぱい遊んで、友達とコイバナして、カッコいい彼氏を見つけること。それで安定した生活が手に入らなくても、気にならない。それが幸福かそうじゃないかは、私が決めることだから」
美江は大きくため息をつくと、髪をかき上げ、少しだけクスっと笑った。
「まあ、そう言うだろうな、と思った」
「え?」
「昨日ね、家出したあなたを匿った、コンビニの金子さんに会ってきたの」
「え、金子さんに?あの人、あなたのことあまり快く思ってないみたいですよ」
以前、金子から話を聞いていた健太郎は、まさかという思いで美江に問い返した。
「ハハハ、そうみたいね。」
美江は大笑いしながら答えた。
「でも、あなたが家出した時の事、逐一話してくれたわよ。勉強なんてほとんどしなくて、毎日釣りに行ったり、金子さんと海に行ったり、近くの町でおしゃれな洋服を買ったりして、毎日子どものようにはしゃいで楽しそうだったって話してたな」
「そうだよ。あの時は本当に楽しかったもん。東京の自宅で毎日勉強漬けで、お母さんの彼氏の娘さんと比較される日々から解放されて、天国みたいだった」
奈緒は、金子の言葉を追認するかのように、自分の思いを口にした。
「奈緒が私を絶対許さないのなら、それはそれで私は何も言わない。私は、奈緒の気持ちを知ろうともせず、自分の願望をひたすら押し付けていたんだから。それからさ、私、この前あなたのこと『本当に奈緒なの?』って疑ったけど、目の前にいるのは、間違いなく奈緒だもんね。他の誰でもない。私の娘の奈緒だった」
美江は、申し訳なさそうな表情で、奈緒の顔をみつめた。
「お母さん。目の前にいるのはまぎれもなく奈緒さんです。身体にぬくもりがあるし、感情があるし、言葉も話してる。奈緒さんの手を握ってみれば、わかりますよ」
健太郎は、目を細めて笑いながら、美江に促した。
美江は一歩前に進み、奈緒の手をそっと触れ、ギュッと握った。
「あったかい……紛れもなく奈緒の手だね。指が長くて、肌が白くて」
美江はホッとしたような表情で、奈緒の手を握りしめた。
やがてその細く鋭い目には、涙があふれてきた。
奈緒も、やがて大きな瞳から涙が一粒、また一粒と、こぼれ出てきた。
「お母さん、何で素直になれないの?ここにいるのは奈緒だよ。そして、何でありのままの私をわかってくれなかったの?」
奈緒の言葉に、美江は何も言い返さなかった。
ひたすら、奈緒の手を握りしめ、こぼれる涙をもう片方の手で拭った。
「お母さん、自宅に奈緒さんの写真がありましたよね。たった1枚でしたけど」
健太郎は、東京の美江の自宅のトイレにあった、奈緒の写真のことを問いかけた。
「ああ、あの写真だけは亡くなったお父さんもいれた3人で写ってたから、ずっと捨てずに取っておいたの。あの写真以外は、3人揃った写真って、なかなか無くてね」
美江は涙をこらえながら、か細い声で話した。
「俺、まだお母さんが、奈緒さんのことを心のどこかに留めてるんじゃないかと思ってたんですよ」
「奈緒は、再婚した後自分の子になった今の娘とは違って、自分で産んで育てた、たった一人の子だもの。やっぱり特別な思いがあるわよ」
美江は、奈緒の手を握りながらつぶやいた。
「ごめんね……って言っても、たぶん奈緒は、簡単に私を許さないだろうけど。私は、これで帰る。奈緒、私は、あなたをずっと忘れないからね」
そう言うと、美江は奈緒の手を離し、立ち上がって涙をぬぐい、夜道をコツコツと靴音を立てて歩き去っていった。
「お母さん!待って!」
奈緒は下駄の音を立て、美江の元へと走っていった。
そして、美江の腰に腕を回し、強く抱きしめた。
「私……あなたにつらい思いをさせられたことは、ずっと忘れない。でも、こうして、あなたに愛されてたことも、ずっと忘れないからね」
そう言うと、奈緒は腕を離し、美江に背を向けて、健太郎の元へと戻ってきた。
美江は、大きな声を上げて嗚咽し、そのまま暗闇の中へと走り去っていった。
しかし、奈緒は美江の元へは戻らず、健太郎の隣でその様子を見ているだけであった。
「いいのか?お母さん、大声上げて泣いてるよ?」
「いいのよ私は。これでいいのよ」
そういうと、健太郎の方を振り向き、笑みを浮かべると、手を振っていつもの小径へと歩き去っていった。
一度深まった親子の溝は、簡単には埋まらないものの、健太郎から見た限りでは、今回の再会を通してお互いに胸の内を語り合い、美江が奈緒の気持ちを理解し、最後にはほんのわずかではあるが、お互いの心が通じ合っていたように感じた。
安堵したその時、健太郎は時計を見て、日付が変わっていたことに気づいた。
「あ、そうだ、俺たち、海に行く約束してたんだ!水着、持ってきてないんだよなあ。車もまだ買っていないし。今年も幸次郎から借りるしかないのか!」
健太郎は慌ててスマートフォンを取り出すと、幸次郎に連絡を取った。
今年もあの車高の低い爆音スカイラインで、海へとデートに繰り出すことになりそうである。
奈緒は、引きつった顔で、闇の中から現れた女性に向かって、おののくような声で語りだした。
「まだ、どうしても奈緒に言いたいことがあって。今、この時間ならこの場所にいるんじゃないかと思って来てみたの。奈緒に一言、謝りたくてね」
美江は、奈緒から目を逸らしながらつぶやいた。
「奈緒は、私にとってたった一人の子だった。だから、大事に育てたいと思ってた。でも、この町に越してきたら、高校さえ出ればいいやって考えてる人が多くて、放っておいたら奈緒が段々勉強しなくなるんじゃないかって不安になって。幼い頃から親に勉強するよう言われて育った私には、すごく怖かった」
「だからと言って、何をしてもいいわけじゃないでしょ?家に帰れば勉強ばかりさせて、少しでも成績が下がったら鬼のように叱りとばしてさ。単に私の事、憎かったんじゃないかって思ってた」
「奈緒のこと、憎いだなんて思ったことはないよ。これだけはハッキリ言える。ただ、自分の願望が行き過ぎて、奈緒を自分の世界に閉じ込めてしまった。だから、あなたは私が嫌になって家出して、この町まで逃げてきたのかなって」
「お母さん……私が家出した理由は、それだけじゃないよ。お母さん、お父さんが死んですぐ彼氏作ってさ。その連れ子と私を何かにつけて比較してさ。すごく嫌だったんだ。私の居場所がだんだん無くなっていくようでさ」
「奈緒、私は単に、あなたに頑張ってもらいたかったの。あの時、成績が上がらず悩んでいたようだから、私なりに励ましたいと思って」
「ふざけないで!お母さんのそういう所が、大っ嫌い!」
「私は、単純にあなたに幸せになってもらいたかった。それには、いい大学に入って、いい就職先を見つけるしかないと思ってたの」
「違う!そんなのは幸せじゃない。私の幸せは、この中川町で時間を忘れて釣りを楽しんで、海や山でめいっぱい遊んで、友達とコイバナして、カッコいい彼氏を見つけること。それで安定した生活が手に入らなくても、気にならない。それが幸福かそうじゃないかは、私が決めることだから」
美江は大きくため息をつくと、髪をかき上げ、少しだけクスっと笑った。
「まあ、そう言うだろうな、と思った」
「え?」
「昨日ね、家出したあなたを匿った、コンビニの金子さんに会ってきたの」
「え、金子さんに?あの人、あなたのことあまり快く思ってないみたいですよ」
以前、金子から話を聞いていた健太郎は、まさかという思いで美江に問い返した。
「ハハハ、そうみたいね。」
美江は大笑いしながら答えた。
「でも、あなたが家出した時の事、逐一話してくれたわよ。勉強なんてほとんどしなくて、毎日釣りに行ったり、金子さんと海に行ったり、近くの町でおしゃれな洋服を買ったりして、毎日子どものようにはしゃいで楽しそうだったって話してたな」
「そうだよ。あの時は本当に楽しかったもん。東京の自宅で毎日勉強漬けで、お母さんの彼氏の娘さんと比較される日々から解放されて、天国みたいだった」
奈緒は、金子の言葉を追認するかのように、自分の思いを口にした。
「奈緒が私を絶対許さないのなら、それはそれで私は何も言わない。私は、奈緒の気持ちを知ろうともせず、自分の願望をひたすら押し付けていたんだから。それからさ、私、この前あなたのこと『本当に奈緒なの?』って疑ったけど、目の前にいるのは、間違いなく奈緒だもんね。他の誰でもない。私の娘の奈緒だった」
美江は、申し訳なさそうな表情で、奈緒の顔をみつめた。
「お母さん。目の前にいるのはまぎれもなく奈緒さんです。身体にぬくもりがあるし、感情があるし、言葉も話してる。奈緒さんの手を握ってみれば、わかりますよ」
健太郎は、目を細めて笑いながら、美江に促した。
美江は一歩前に進み、奈緒の手をそっと触れ、ギュッと握った。
「あったかい……紛れもなく奈緒の手だね。指が長くて、肌が白くて」
美江はホッとしたような表情で、奈緒の手を握りしめた。
やがてその細く鋭い目には、涙があふれてきた。
奈緒も、やがて大きな瞳から涙が一粒、また一粒と、こぼれ出てきた。
「お母さん、何で素直になれないの?ここにいるのは奈緒だよ。そして、何でありのままの私をわかってくれなかったの?」
奈緒の言葉に、美江は何も言い返さなかった。
ひたすら、奈緒の手を握りしめ、こぼれる涙をもう片方の手で拭った。
「お母さん、自宅に奈緒さんの写真がありましたよね。たった1枚でしたけど」
健太郎は、東京の美江の自宅のトイレにあった、奈緒の写真のことを問いかけた。
「ああ、あの写真だけは亡くなったお父さんもいれた3人で写ってたから、ずっと捨てずに取っておいたの。あの写真以外は、3人揃った写真って、なかなか無くてね」
美江は涙をこらえながら、か細い声で話した。
「俺、まだお母さんが、奈緒さんのことを心のどこかに留めてるんじゃないかと思ってたんですよ」
「奈緒は、再婚した後自分の子になった今の娘とは違って、自分で産んで育てた、たった一人の子だもの。やっぱり特別な思いがあるわよ」
美江は、奈緒の手を握りながらつぶやいた。
「ごめんね……って言っても、たぶん奈緒は、簡単に私を許さないだろうけど。私は、これで帰る。奈緒、私は、あなたをずっと忘れないからね」
そう言うと、美江は奈緒の手を離し、立ち上がって涙をぬぐい、夜道をコツコツと靴音を立てて歩き去っていった。
「お母さん!待って!」
奈緒は下駄の音を立て、美江の元へと走っていった。
そして、美江の腰に腕を回し、強く抱きしめた。
「私……あなたにつらい思いをさせられたことは、ずっと忘れない。でも、こうして、あなたに愛されてたことも、ずっと忘れないからね」
そう言うと、奈緒は腕を離し、美江に背を向けて、健太郎の元へと戻ってきた。
美江は、大きな声を上げて嗚咽し、そのまま暗闇の中へと走り去っていった。
しかし、奈緒は美江の元へは戻らず、健太郎の隣でその様子を見ているだけであった。
「いいのか?お母さん、大声上げて泣いてるよ?」
「いいのよ私は。これでいいのよ」
そういうと、健太郎の方を振り向き、笑みを浮かべると、手を振っていつもの小径へと歩き去っていった。
一度深まった親子の溝は、簡単には埋まらないものの、健太郎から見た限りでは、今回の再会を通してお互いに胸の内を語り合い、美江が奈緒の気持ちを理解し、最後にはほんのわずかではあるが、お互いの心が通じ合っていたように感じた。
安堵したその時、健太郎は時計を見て、日付が変わっていたことに気づいた。
「あ、そうだ、俺たち、海に行く約束してたんだ!水着、持ってきてないんだよなあ。車もまだ買っていないし。今年も幸次郎から借りるしかないのか!」
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