116 / 116
第5章 クトゥルフ再始動
第107話 目標追加
しおりを挟む「なんかあれだな。全体的にレベルが低いな」
「ペテスは魔物が強かったもの。必然的にそれなりに強くなるわ」
店舗へ向かう道すがら、色々鑑定しながら思った。なんか弱いなと。
伯爵の騎士も弱かったし、これがスタンダードなのかね。
「とりあえず店舗の改装からやるか。あ、その前に宿に伝言残しておかないと。散ってる奴らと合流出来なくなる」
スラムも見に行きたいんだけどな。商人の坊ちゃんが近付く場所じゃないし。
その辺はもう少し日付を空けてこっそりと行くべきかな。
諸々の雑務を済ませて、店舗にやって来た。
まずやるのは地下室の作成だ。
「2階か3階からしか地下室に行けないようにしてくれ。何か手伝う事はある?」
「人手が欲しいっす」
一緒に来てた生産部の奴に聞いてみる。
まあ、そりゃそうだよな。少人数でやる仕事じゃねぇや。地下室に転移装置を設置する予定なんだけど、それ以前の問題でした。
って事で、とりあえず俺の魔法で生産部の人間を呼び出す。
作業にはちょっと時間が掛かるらしいので、それまでは宿で待機かね。
「平均レベル50もないな。これ、帝国が攻めてきたら普通に終わるんじゃない?」
「帝国は質は良いんだけどねぇ。周りは敵ばかりだから。連合を組まれると厳しいのよ。数には勝てないって事ね」
散ってた人間も戻って来て、情報をまとめる。
裏の方もチラッと覗いてきたらしいけど、制圧は容易そうらしい。
帝国の、ってか、ペテス領のスラムが魔境すぎた。レーヴァンが居たからだけど。
そんな魔境で揉まれ続けてきたクトゥルフがこんな弱小国のスラムに負ける道理はないね。
これは結構簡単にこの街を握れるかもなぁ。
「握ってからが問題でしょ。使えない人間を一定レベルまで押し上げるのは時間が掛かるわよ。基礎教育もしようって考えてるんでしょ?」
「そりゃな。馬鹿はいらないよ」
「基礎教育して、戦闘部や情報部は強さもいる。契約した人員を今のクトゥルフレベルの人間にするには最低でも半年は必要よね」
うーむ。そんな時間が掛かるか。
確かにクトゥルフが今の感じになるまでも結構な時間を掛けてるしなぁ。
「このまま勢力を拡大していくなら、育成は絶対必要だもの。時間を掛けてゆっくりやっていくしかないわ」
仕方ないか。時間が足りないなぁ。
俺が生きてるうちに世界を手に入れられるだろうか。長寿のカタリーナに後を託す感じになっちゃいそう。エリザベスに不老薬でも作ってもらわないとな。
「とりあえず地下室の完成までは街を見て回ろう。この街の需要とかも調べたいしね」
「街の外に何があるかも確認しておきたいわね。私達が来た方にはフレリア王国側の国境門しかないけど。後はここの伯爵の政敵とかも知りたいわ」
調べる事がいっぱいだ。
情報部の人間も追加しないと。
あそこは人員追加が急務な部署なんだけどな。
これから転送箱を使い始めたら激務になるのは間違いないし。書類仕事が出来る人間を増やさないと。
「子供達でもそろそろ働ける人間が出てきたらしいわよ?」
「らしいなぁ。成人するまでは勉強と遊ぶのだけで過ごしてもらっても良いんだけど」
「ホルトやローザ、エリザベスが普通にバリバリ働いてるからねぇ。ボスも成人前から動いてたでしょ? それが普通になってるのよ」
12歳からとか働くの普通だしな、この世界。
この辺も価値観の違いがあるよね。俺が順応しないといけないところだろうか。
子供達がそれで良いならいいけどさ。
「遊ぶってのも娯楽が少ないしな」
「ボードゲーム、カードゲームが増えただけでも充分よ? 今思えば賭場でサイコロ転がしてるだけだった頃が懐かしいわ。良く飽きもせずにあんな事やってたわねぇ」
チンチロも普通に面白いけどな。
前世で結構動画を見てた。いや、見てたのは一つか。お笑い芸人が4人くらいで滅茶苦茶楽しそうにやってるやつ。武道館でチンチロやるって、頭イカれてるだろ。それで客を集められるのが凄い。
まぁ、面白いからだろうな。狙ったかのように面白いところで面白い出目が出るんだもん。
笑いの神に愛されてるぜ。
「もっと娯楽を増やしたいけど、その辺は時期尚早かな。娯楽を増やすにはこの世界は危険が多すぎる」
「正直生きるのに精一杯ってところはあるのよねぇ」
特権階級が富を独占してますからなぁ。
まぁ、それは前世でもそうだったけど、それでも前世では庶民でも娯楽を楽しむ程度の事は出来た。
魔物とかの外敵がいないお陰でもあったんだろうけど。
「レイモンド君に新たな目標が出来ました。庶民でも娯楽を楽しめる世界にする」
「孤児0並みに壮大な夢ねぇ。裏社会の王になろうとしてる人間が持つような夢じゃないわ」
夢はでっかくないとね。
てか、この世界の人間はタチが悪いのが多すぎて、ダークな方に進もうとしてるのに、それを上回ってくる奴が平気で出てくる。
なんか結果的に俺が善行してるような感じになってるんだよね。
いや、別に良いんだよ。マフィアが善行したって。ヤクザがハロウィンの時に近隣住民にお菓子配るようなもんでしょ。
でもなぁ。なんだかなぁって思っちゃうよね。
1
お気に入りに追加
725
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(4件)
あなたにおすすめの小説
実家が没落したので、こうなったら落ちるところまで落ちてやります。
黒蜜きな粉
ファンタジー
ある日を境にタニヤの生活は変わってしまった。
実家は爵位を剥奪され、領地を没収された。
父は刑死、それにショックを受けた母は自ら命を絶った。
まだ学生だったタニヤは学費が払えなくなり学校を退学。
そんなタニヤが生活費を稼ぐために始めたのは冒険者だった。
しかし、どこへ行っても元貴族とバレると嫌がらせを受けてしまう。
いい加減にこんな生活はうんざりだと思っていたときに出会ったのは、商人だと名乗る怪しい者たちだった。
騙されていたって構わない。
もう金に困ることなくお腹いっぱい食べられるなら、裏家業だろうがなんでもやってやる。
タニヤは商人の元へ転職することを決意する。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした
せんせい
ファンタジー
自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。
その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ!
約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。
―――
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
異世界でチート能力貰えるそうなので、のんびり牧場生活(+α)でも楽しみます
ユーリ
ファンタジー
仕事帰り。毎日のように続く多忙ぶりにフラフラしていたら突然訪れる衝撃。
何が起こったのか分からないうちに意識を失くし、聞き覚えのない声に起こされた。
生命を司るという女神に、自分が死んだことを聞かされ、別の世界での過ごし方を聞かれ、それに答える
そして気がつけば、広大な牧場を経営していた
※不定期更新。1話ずつ完成したら更新して行きます。
7/5誤字脱字確認中。気づいた箇所あればお知らせください。
5/11 お気に入り登録100人!ありがとうございます!
8/1 お気に入り登録200人!ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
中継箱?
さすがなろう系。突拍子もないな、と笑ってられない現世界のインターネット
続きが気になるけど次はいつ更新やろ?
サブキャラの閑話とか挟んで頂くと作品に凄く奥行きが出て良いですね🎵
ちょくちょく色んなキャラでお願いします😁