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第4章 雌伏の時

第98話 出発

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 「じゃあ行ってきまーす」

 「お気を付けて」

 商業ギルドでささっとギルドカードを作って来ました。なんか金属に名前が書かれてるだけなんだけど。これなら自分で作って偽造出来るよね。
 作りに行ってから思いついちゃったよ。今度からそうしようかな。てか、いずれはギルドも牛耳りたいよなぁ。そのうち潜入員でも送り込んで出世させようかしらん。いや、上層部を契約した方が早いかも。

 で、カードを作ったならさっさと隣国に拠点を作ろうって事で、出発する事にした。
 旅グッズも俺とエリザベスの合作で快適に過ごせるようになっている。
 その品々は旅しながら紹介出来たらなぁと思っております。

 「何かあったら転送箱で連絡して」

 「かしこまりました」

 旅にカタリーナはついて来ない。
 エルフはどうしても目立つからね。拠点を作ってから呼べば良いだろう。
 俺が留守にしてる間に秘密基地の管理をしてもらわないといけないし。

 「他国に行くなんて久しぶりねぇ」

 カタリーナの代わりという訳ではないが、アンジーがついて来てくれる。
 戦闘部のまとめはマーヴィンとローザにやってもらう。え? ローザが? そう思う人も居るだろう。でもね。ローザにも人を率いる経験がいると思うの。適性があるかは分からんが。いや、多分ないんだけど。とりあえずやらせてみようと。
 マーヴィンがかなりきついだろうが、ちょっと頑張って欲しい。どこかの街に着いたら一旦帰ってくるからね。

 その他でついてくるのは、商業部の人間が三人と戦闘部の人間が五人、情報部の人間が三人と生産部の人間が三人。
 商業部には向こうに着いてから商会を丸投げするし、戦闘部は護衛、情報部は街の情報収集に生産部は転移装置の設置だな。

 転移装置を設置したら、秘密基地から人員を呼べるから人数は最低限。
 俺は面白そうなところに首を突っ込む感じ。


 俺の転移で街道まで飛んで、アイテムボックスから馬車を出す。
 馬もしっかり確保してて、秘密基地で馬産も始まってるんだよね。まだ産まれてもいないが。これは騎士団からパクったやつである。どさくさに紛れて転移させました。某傾奇者の愛馬、松○みたいな馬四頭だ。暴れ馬じゃないけど。普通に忠順な馬だ。
 秘密基地にも後五頭ほどいる。

 「はいはーい。乗り込んでねー」

 馬車には特に細工はしていない。
 空間魔法を付与した内部がバグってる馬車を作ろうかと思ったんだけどね。もし誰かに中を見られる展開になったら面倒だ。それもいずれは作るけど、もっと表の世界で影響力を持ってからだな。

 だから大人数が乗れる箱馬車にしてる。これも、振動を軽減させるために、サスペンション? なんかよく分からないけど、バネみたいなのを差し込んで色々やってくれているらしい。
 俺がこういうのがあるんだよと生産部にお願いしたらすぐにやってくれました。俺のふわっとした知識をあっという間に形にしてくれる生産部はやはり天才の集まりである。

 「うおー! 馬車なんて初めて! テンション上がる!!」

 「落ち着きなさいよ」

 全員が乗り込んだ所で早速出発。
 御者は戦闘部の奴が持ち回りでやってくれる。
 で、動き出したらテンションが上がってしまった。馬車なんて日本に住んでたら乗る機会なんて滅多にないから。人力車ならワンチャン? 普通に嬉しいし面白い。
 秘密基地でも我慢してた甲斐があったぜ。

 「よーし。何からやる? やっぱこういうのはババ抜きからか?」

 旅がスタートしたって事で、俺は早速アイテムボックスからトランプを出す。
 こういうのが旅の醍醐味だと思うんです。
 ほら、修学旅行の新幹線の中とかさ。みんなでワイワイするの好きだったんだよね。

 ついでにお菓子(恐竜ジャーキー)とジュース(深層に生えてた林檎みたいな果物を絞ったやつ)も用意。
 御者してる奴にもしっかり渡しておく。
 これでお遊びの準備が整ったぞ。

 「はしゃいでるわねぇ」

 「馬車で旅なんて、厨二病が憧れない訳ないんだよ」

 昨日はウキウキして中々寝れませんでした。
 なんなら野営するのも楽しみだし、野営飯だって楽しみだ。夜番もなんやかんや少しだけなら楽しそうだなって思うし。キャンプしてるみたいだろ?

 「楽しむのは良いけど、ちゃんと外に気を配るのよ? まだ街から近いから大丈夫だけど、魔物や盗賊だって出てくる事があるんだから」

 「ちゃんと色んな職業技能を使ってるから大丈夫だよ」

 まぁ、アンジーの超直感をアテにしてる部分もありますが。俺に騙された事があるように、絶対反応する訳じゃないから油断は出来ないんだけど。
 今使ってるのは、高位暗殺者や怪盗の気配察知。
 魔力を使った探知に、大道士の呼吸術を応用した気配察知も使っている。
 これだけ複数使いこなすのは苦労したんだぜ。主に脳に負担が掛かりまくるのがね。

 「あ、なんか頭の回転が早くなるような職業を取ればいいのか」

 夜番の時とか暇な時に探してみよう。
 まだ職業枠は空いてるしね。

 「隣国はどんな感じなのかなぁ」

 「かたくなに情報を入れなかったものね」

 ちょっと古い情報になるが、周辺国の情報はアンジーやレーヴァンの傭兵組が持っていた。
 傭兵時代にあちこち行ってたみたいだからね。
 でも俺は楽しみが薄れるから、なるべく情報を教えてもらわないようにしてたんだ。

 ボスがそんなんで良いのかとか言わない。
 俺は所詮お飾りのボスだから。優秀な周りの人員が情報を押さえておけば、後は良い感じにしてくれると信じてます。やばい情報なんかはすぐに教えてもらうようにしてるしね。

 「あー楽しみ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 って事で今章は終了です。
 お疲れ様でした。
 主に秘密基地を作ったり、アーサー君の紹介をしただけの章ですね。
 これからも秘密基地の様子はちょこちょこ描写していく予定ですが、がっつりはやらないかも。
 予定は未定なので分かりませんがw

 明日にアーサー君のお話と閑話を挟んでから、次章に進もうかなと思ってます。

 ではではまた次章で~。

 あ、作者は他にも作品を更新してますので、良かったらそちらもご覧下さーい。
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