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第3章 勢力増強
第78話 開戦
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「来たわねぇ」
「ほう。出迎えとは殊勝な事だ。素直に降参する気か、狂姫よ」
「面白い冗談だわぁ」
スラムに入って少しして。
ゴドウィンとアンジー、そして両者の勢力が相対していた。
数はほぼ互角。10m程離れた位置で殺気混じりの会話がなされる。
「今日こそこの場で殺してあげるわぁ」
アンジーは海賊が使うようなカトラスを腰から引き抜く。
「ふははは! 出来もしない事を言うでない!」
ゴドウィンは背中から身の丈程の大剣を引き抜き一度大きく振ってから構える。
「マーヴィン。周りは任せるわぁ」
「了解です」
「我が副官よ。後は頼んだ」
「御意」
両総大将は右腕に全ての事を任せ、そして。
「はぁぁぁぁあ!!」
「ガァァァァア!!」
強者同士の戦いが始まった。
☆★☆★☆★
「おおー。派手ー」
「今の所互角ですね」
ゴドウィンとアンジー、領主対レーヴァンの戦いが始まった。
俺とカタリーナとチャールズは少し離れた場所でイヴィレオンの皮から作ったマントを着込んで観察している。
バレた様子はないので、中々優秀なマントなんだろう。
「あの指揮してる副官は優秀だな」
「ですね。質で劣る騎士達を上手く使ってます。レーヴァンも傭兵仕込みの戦い方で対抗してますが」
領主側は騎士団長について来ていた副官が優秀である。あんな弱っちい騎士と衛兵を上手く使って、武闘派のレーヴァンを相手に巧みに立ち回っている。職業も将軍だったし、そういうのが得意なんだろう。
「やっぱりあれだな。騎士団とか軍で出世してるような奴は職業が綺麗にマッチしてるよな」
「確かにそうですね。無意識に職業補正を使ってるんでしょう」
職業は重要って事だよなぁ。
俺も鑑定で適材適所に人員を配置してるお陰で、こんな短時間でスラムでのし上がれた感はあるし。
まぁ、カタリーナとか他の部署の奴らが優秀って事もあるんだけどね。
俺は人を配置して適当に口を出してるだけだし。
「さてさて。どのタイミングで手を出そうかね」
「まだ始まったばかりです。まだまだ早いですね」
ですなぁ。
アンジーとゴドウィンもまだ小手調べって感じで、ハイレベルな戦いはしてるけどまだまだ余裕はありそうだし。
「アンジーはカトラスを使ってるんだな。魔侍だから適性武器は刀だと思うんだけど」
「私はボスに聞くまで侍や刀の事は知りませんでしたし、聞いた事もありませんでした。もしかしたらこの世界には存在しないかもしれませんよ」
まぁ、アンジーは自分の職業の事なんて分からないだろうし、形が若干似てるカトラスがしっくりきたのかもしれんな。
あれが刀を持ってたら更に強いんだろう。
「異世界に日本風というか、和風な国があるのはお約束なんだ。多分東の島国に行けばあるはず。この世界はこういうお約束は外さないだろ」
知らんけど。ってか、日本風の国があって欲しいのは俺の願望も混じってるけど。
米、醤油、味噌。食いてぇっす。
米がないと発狂するとかそっち系の主人公ではないけれども。そろそろ、パン生活に飽きてきた。
固いし。酵母の作り方もふわっとしか知らんし。
今実験してもらってる最中だ。なんで主人公達はみんな作り方知ってるのかね。
異世界に飛ばされた時の為に予習してるのか?
おっと。思考が食に逸れてしまった。
今はこっちに集中しないと。
「アンジーとゴドウィンは身体強化は使ってるけど、接近戦をしながら魔法は使わないんだな」
「普通、魔法を使うのには集中力を必要とするんですよ。近くで戦いながら魔法を行使するのは中々難しいですよ。ボスは器用にやってらっしゃいますけど」
職業がいっぱいあるからね。
補正込みでズルやらせてもらってます。
なるほどなるほど。強者なら当たり前にやってる事だと思ってたけど、この辺は俺に分がありそうだな。
因みにカタリーナも普通に使える。精霊にお願いするだけですしって言いながら、日々の模擬戦で当たり前の様に使ってくるからな。
ほんと、精霊ってチートだよ。こんな逸材を追い出したエルフ達の気が知れないね。
「チャールズ達も最近は練習してるのにな」
「いや、俺達はレベルがMAXになって、これ以上伸びないんで。技術を磨かないと仕方ないじゃないっすか」
優秀だよね。カンストになってやる事が無くなっても向上心を忘れない。
こいつら、スラムになんて居ないで真面目に冒険者でもやってれば、それなりに大成したのでは?
なんか勿体無い事してる様な気がするよね。
「お? おおお?」
「戦いが激しさを増してきましたね」
アンジーとゴドウィンは未だに互角な模様。
いや、ゴドウィンの方が若干余裕があるか? あんな大剣を使ってなかったら、もう少し楽に立ち回れてたのではと思わなくもない。
対人戦に大剣は使い辛いと思うんだよね。
モブ同士の戦いはレーヴァンが押し始めた。
副官の人が頑張って立ち回ってるけど、やっぱり数が互角なら質が高い方が有利。
徐々に騎士側の人数が減ってきている。
「ゴドウィンが気付いたな。ペースを上げ始めた」
「アンジーを早く仕留めて救援に向かおうとしてるんでしょう」
俺達の出番も近いかなぁ。
出来ればもう少しゴドウィンが弱って欲しい所だけど。頑張れアンジー。腕の一本くらい持ってってやれ。後々俺達が楽するために。
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