79 / 116
第3章 勢力増強
第76話 帝国の現状
しおりを挟む「縄張りを綺麗にしといて良かったってもんよ」
「税を払う意思を見せたのも良かったのかもしれませんね」
騎士団長とついてきた数名の騎士、後は使い物なるのか知らないが、領主の騎士や衛兵を使ってスラムの一掃をするらしい。
まぁ、そうなるのを見越して俺たちの縄張りを急ピッチで綺麗にしたんだけど。
税も払いますよと恭順の意思も見せておいたからね。金のなる木をわざわざ潰そうとは思わないだろう。税を払うかどうかは、今回の騒動の展開次第だけどね。
☆★☆★☆★
『名 前』 ゴドウィン・ジェラード
『年 齢』 45
『種 族』 ヒューマン
『レベル』 321/456
『体 力』 A/S
『魔 力』 D/C
『攻撃力』 S/EX
『防御力』 A/S
『素早さ』 A/S
『知 力』 D/D
『器 用』 B/B
『恩 恵』 金剛城塞
『職 業』 騎士長
『属 性』 無 土
☆★☆★☆★
これが騎士団長がペテスに来た時に盗み見たステータスなんだけど。
アンジーが嫌がってただけあって普通に強いよね。当たり前の様に恩恵を持ってるし、職業も騎士長と多分二回目の進化というか、上位化をしてると思う。うちの騎士男こと、チャールズは大騎士だしさ。
「アンジーは苦戦するだろうなぁ」
もう少し拮抗してると思ってたけど、レベル差が40近くあるし、能力値もゴドウィンの方が全体的に強そう。魔力と知力は残念な感じだけど、聞いた限りの話では脳筋らしいし、魔法をあんまり使わないんだろう。アンジーがどれだけ対抗出来るやら。
魔法を上手く使えば立ち回れるって感じなのかな?
「アンジーとゴドウィンをぶつけて漁夫る予定だったけど、もう一アクションぐらい何か用意しておいた方が良いかなぁ」
いざ鑑定してみると不安になってきた。
今から小細工して間に合うのか。一週間ぐらい時間稼ぎ出来ないもんか。
潜入中の騎士に何かやってもらおうかな。
☆★☆★☆★
「団長。出発はもう少し遅らせて下さい」
「むっ? 何故だ?」
早速レーヴァンの討伐に出る為に慌ただしく準備をしていたゴドウィンや領主騎士、衛兵だったが、いつも難しい事は任せている副官に制止されてしまった。
「討伐行動に出るなら皇帝陛下の許可が必要です。我々は皇帝陛下の僕。許可無く動くと敵対派閥から攻撃される格好のネタとなってしまいます。いくら妹君の領地とはいえ、必ず情報は出回ります。許可が下りるまでお待ちを」
「むっ…」
「大体は我々は久々に妹君の顔が見たいという団長の休暇に付き合う形でこの地に来たのです。いくらスラムの人間を始末するだけとはいえ、勝手な行動は謹んでもらいませんと。副団長にも団長の勝手な行動にはくれぐれも気を付けるようにと釘を刺されております」
「むむっ…」
「今、早馬を出しております。許可を得られるまで一週間~二週間はかかるでしょう。準備はゆっくりとして頂いて大丈夫です」
「派閥の事などどうでも良いのだが…」
ゴドウィンは政治から距離を置いている。
自分の頭が良くない事を理解しているし、腹芸なんて出来る訳ないと思っているのだ。
しかし、帝国貴族は騎士団長という立場のゴドウィンを放って置けない。軍部にコネが欲しい者、コネで騎士団に入りたい者など、距離を置いていても有象無象が擦り寄ってくる。
そういった集合体が帝国内ではそれなりに大きな派閥なってしまっている。
ゴドウィンは神輿として派閥の長に祭り上げられて、渋々その派閥を纏めてる感じだ。
それも副官や副団長に任せているのだが。
「我々も出来る事なら政治等、面倒事に関わらず国防に力を入れたい所なんですが。残念ながら帝国の現状がそれを許してくれません」
現在のスパンダ帝国は政争にかなり忙しい。
皇帝派、貴族派、中立派と三つの派閥で利益を奪い合ってる真っ最中だ。
中立派の長となっているゴドウィンが皇帝派寄りなこともあり、現在は有利に進められているが、貴族派達の力は侮れない。
「とにかく。許可が頂けるまでは大人しくしていて下さい。くれぐれも勝手に飛び出したりしないで下さいね。暇なら領地の騎士や衛兵と訓練でもしておいて下さい。些か質が低すぎるように思えますので」
そう言って副官は書類を片手に去っていく。
団長が書類仕事をほとんどしない事もあり、休暇中でも仕事を持ち込んで処理しているのだ。
それを分かってるので、団長も強く出れない。
団長はショボンと肩を落としつつも、訓練所に向かった。
(ボスに出来たら時間稼いでって言われたけど、俺が何をするでもなく一週間~二週間は稼げそうだ。早速報告しよう)
騎士団長のゴドウィンと出発の準備を一緒にしていた領地所属の潜入騎士はホッと一息吐く。
昨日、急に出来たらで良いから時間を稼いで欲しいと言われた時は無茶を言うなと思ったもんだ。
当然無理する必要はなく、無理なら無理で気にしないで良いと言われていたのだが。
(クトゥルフは大丈夫なのかね。近くで見て分かったけど、この騎士団長は化け物だ。ボスやカタリーナの姉御も充分強いと思うけど、とてもじゃないが太刀打ち出来るとは思えないんだが)
そう思いながらも潜入騎士は何も言わない。
ボスなら上手くやるだろうし、もし負けても自分が潜入してる事を悟られなければ、この騎士の地位を維持出来るからだ。
この騎士が考えていたのは、次の戦いで死なないようにすること。ただそれだけである。
10
お気に入りに追加
725
あなたにおすすめの小説
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした
せんせい
ファンタジー
自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。
その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ!
約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。
―――
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
異世界でチート能力貰えるそうなので、のんびり牧場生活(+α)でも楽しみます
ユーリ
ファンタジー
仕事帰り。毎日のように続く多忙ぶりにフラフラしていたら突然訪れる衝撃。
何が起こったのか分からないうちに意識を失くし、聞き覚えのない声に起こされた。
生命を司るという女神に、自分が死んだことを聞かされ、別の世界での過ごし方を聞かれ、それに答える
そして気がつけば、広大な牧場を経営していた
※不定期更新。1話ずつ完成したら更新して行きます。
7/5誤字脱字確認中。気づいた箇所あればお知らせください。
5/11 お気に入り登録100人!ありがとうございます!
8/1 お気に入り登録200人!ありがとうございます!
天職が『盗賊』という理由で追放されました。盗みを極めし男はやがて魔王と呼ばれる
こたろう文庫
ファンタジー
王国の勇者召喚により異世界に連れてこられた中学生30人。
その中の1人である石川真央の天職は『盗賊』だった。
盗賊は処刑だという理不尽な王国の法により、真央は追放という名目で凶悪な魔物が棲まう樹海へと転移させられてしまう。
そこで出会った真っ黒なスライム。
真央が使える唯一のスキルである『盗む』を使って盗んだのはまさかの・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる