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第3章 勢力増強
第76話 帝国の現状
しおりを挟む「縄張りを綺麗にしといて良かったってもんよ」
「税を払う意思を見せたのも良かったのかもしれませんね」
騎士団長とついてきた数名の騎士、後は使い物なるのか知らないが、領主の騎士や衛兵を使ってスラムの一掃をするらしい。
まぁ、そうなるのを見越して俺たちの縄張りを急ピッチで綺麗にしたんだけど。
税も払いますよと恭順の意思も見せておいたからね。金のなる木をわざわざ潰そうとは思わないだろう。税を払うかどうかは、今回の騒動の展開次第だけどね。
☆★☆★☆★
『名 前』 ゴドウィン・ジェラード
『年 齢』 45
『種 族』 ヒューマン
『レベル』 321/456
『体 力』 A/S
『魔 力』 D/C
『攻撃力』 S/EX
『防御力』 A/S
『素早さ』 A/S
『知 力』 D/D
『器 用』 B/B
『恩 恵』 金剛城塞
『職 業』 騎士長
『属 性』 無 土
☆★☆★☆★
これが騎士団長がペテスに来た時に盗み見たステータスなんだけど。
アンジーが嫌がってただけあって普通に強いよね。当たり前の様に恩恵を持ってるし、職業も騎士長と多分二回目の進化というか、上位化をしてると思う。うちの騎士男こと、チャールズは大騎士だしさ。
「アンジーは苦戦するだろうなぁ」
もう少し拮抗してると思ってたけど、レベル差が40近くあるし、能力値もゴドウィンの方が全体的に強そう。魔力と知力は残念な感じだけど、聞いた限りの話では脳筋らしいし、魔法をあんまり使わないんだろう。アンジーがどれだけ対抗出来るやら。
魔法を上手く使えば立ち回れるって感じなのかな?
「アンジーとゴドウィンをぶつけて漁夫る予定だったけど、もう一アクションぐらい何か用意しておいた方が良いかなぁ」
いざ鑑定してみると不安になってきた。
今から小細工して間に合うのか。一週間ぐらい時間稼ぎ出来ないもんか。
潜入中の騎士に何かやってもらおうかな。
☆★☆★☆★
「団長。出発はもう少し遅らせて下さい」
「むっ? 何故だ?」
早速レーヴァンの討伐に出る為に慌ただしく準備をしていたゴドウィンや領主騎士、衛兵だったが、いつも難しい事は任せている副官に制止されてしまった。
「討伐行動に出るなら皇帝陛下の許可が必要です。我々は皇帝陛下の僕。許可無く動くと敵対派閥から攻撃される格好のネタとなってしまいます。いくら妹君の領地とはいえ、必ず情報は出回ります。許可が下りるまでお待ちを」
「むっ…」
「大体は我々は久々に妹君の顔が見たいという団長の休暇に付き合う形でこの地に来たのです。いくらスラムの人間を始末するだけとはいえ、勝手な行動は謹んでもらいませんと。副団長にも団長の勝手な行動にはくれぐれも気を付けるようにと釘を刺されております」
「むむっ…」
「今、早馬を出しております。許可を得られるまで一週間~二週間はかかるでしょう。準備はゆっくりとして頂いて大丈夫です」
「派閥の事などどうでも良いのだが…」
ゴドウィンは政治から距離を置いている。
自分の頭が良くない事を理解しているし、腹芸なんて出来る訳ないと思っているのだ。
しかし、帝国貴族は騎士団長という立場のゴドウィンを放って置けない。軍部にコネが欲しい者、コネで騎士団に入りたい者など、距離を置いていても有象無象が擦り寄ってくる。
そういった集合体が帝国内ではそれなりに大きな派閥なってしまっている。
ゴドウィンは神輿として派閥の長に祭り上げられて、渋々その派閥を纏めてる感じだ。
それも副官や副団長に任せているのだが。
「我々も出来る事なら政治等、面倒事に関わらず国防に力を入れたい所なんですが。残念ながら帝国の現状がそれを許してくれません」
現在のスパンダ帝国は政争にかなり忙しい。
皇帝派、貴族派、中立派と三つの派閥で利益を奪い合ってる真っ最中だ。
中立派の長となっているゴドウィンが皇帝派寄りなこともあり、現在は有利に進められているが、貴族派達の力は侮れない。
「とにかく。許可が頂けるまでは大人しくしていて下さい。くれぐれも勝手に飛び出したりしないで下さいね。暇なら領地の騎士や衛兵と訓練でもしておいて下さい。些か質が低すぎるように思えますので」
そう言って副官は書類を片手に去っていく。
団長が書類仕事をほとんどしない事もあり、休暇中でも仕事を持ち込んで処理しているのだ。
それを分かってるので、団長も強く出れない。
団長はショボンと肩を落としつつも、訓練所に向かった。
(ボスに出来たら時間稼いでって言われたけど、俺が何をするでもなく一週間~二週間は稼げそうだ。早速報告しよう)
騎士団長のゴドウィンと出発の準備を一緒にしていた領地所属の潜入騎士はホッと一息吐く。
昨日、急に出来たらで良いから時間を稼いで欲しいと言われた時は無茶を言うなと思ったもんだ。
当然無理する必要はなく、無理なら無理で気にしないで良いと言われていたのだが。
(クトゥルフは大丈夫なのかね。近くで見て分かったけど、この騎士団長は化け物だ。ボスやカタリーナの姉御も充分強いと思うけど、とてもじゃないが太刀打ち出来るとは思えないんだが)
そう思いながらも潜入騎士は何も言わない。
ボスなら上手くやるだろうし、もし負けても自分が潜入してる事を悟られなければ、この騎士の地位を維持出来るからだ。
この騎士が考えていたのは、次の戦いで死なないようにすること。ただそれだけである。
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