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第3章 勢力増強

第70話 ローザの成長

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 領主の始末は至極あっさりした感じだった。
 寝ている領主にお薬投入。途中で起きて暴れ回ってたけど、それがまた良い味を出してたんじゃなかろうか。
 これで終わりである。マリクが拷問したそうにしてたけど、あんまり時間がないもんで。
 その後取り巻きも順次始末して、少し争った跡を残しつつ、レーヴァンの痕跡を残す。

 これで仕込みは終了かな。後はとにかく急いで強くなるのみ。
 優秀な人間を何人も引っこ抜いた事だし、更に外に出れる回数が増えるだろう。
 この一年で俺達がどれだけ強くなれるか。いや、場合によっては一年もないかも。とにかく訓練とレベル上げを重点的に頑張らなければ。


 強くならなければと決意したものの、スラムの改装計画を忘れてはいけない。
 とにかく俺達の縄張りをスラムっぽく見せないように、どんどんと改装していく。
 理想はスラムはレーヴァンの縄張りだけにする事。これが後々効いてくる筈なんだ。

 「だいぶ綺麗になってきたなぁ」

 「まだまだ細部は荒いんですけどね。とにかく大枠は早く完成させてしまおうかと。人通りも増やしたいですし」

 ホルトと一緒に縄張り内を回っていく。
 俺が前世の記憶を取り戻した時とはかなり様変わりしてる印象だ。

 無駄な建物は取り壊して更地にして、新しい建物をどんどん建てていく。
 かなりの予算と人員を投入してるから凄いスピードだ。

 「冒険者との軋轢とかはない?」

 「今の所は。みんな良く働いてくれてます。給金が良いのと安全なのが大きいんでしょうね」

 傘下の商会経由で冒険者に作業手伝いの依頼を出している。主に下級の冒険者が結構来てくれてるみたいなんだよね。
 安全で給金が良くて中々の評判みたいだ。ここで貯めたお金で武器防具を購入して、外に探索しに行くのが一種の流れになっている。
 安全で給金が良くて死ぬ心配がないからね。

 「ギルドマスターには要注意だな」

 「ですね。早速探りは入れてきてるみたいです」

 このペテス領の冒険者ギルドのギルドマスターは金の亡者という事でかなり有名だ。
 冒険者からのウケも悪く、様々な理由をつけては金を巻き上げようとしてくる。
 この依頼にもそろそろ口出ししてくるかもしれない。一回鑑定したけど、レベル150越えの槍豪だった。年齢はそれなりにいってたが、決して油断出来る相手ではない。いざとなれば実力行使にでるが。
 戦闘員の精鋭部隊で囲めば勝てるだろう。なんか殺すと色々面倒になりそうだから、そういう展開にならないでほしいけど。




 「いました。イヴィレオンです」

 「なるべく綺麗に倒すぞ」

 外の探索状況はというと、可もなく不可もなくって感じ。未だに中層でレベル上げと個々の技術を上げることに集中している。
 深層はジェイク情報によると、本当に一握りの強者しか入らない方が良いと忠告を受けたので。

 「とーう!!」

 あ、ローザちゃんが中層入りしました。
 この子戦闘方面での伸びが凄いんだ。多分そろそろ俺は勝てなくなる。
 今もイヴィレオンの場所が分かってるかの様に潜んでる場所に攻撃してるし。
 鼻をクンクンさせてたから、匂いで居場所を特定してるんだろう。獣人組はみんな同じ様にしてたから。

 「そっち行ったよー!」

 「土の精霊よ」

 カタリーナが居るからイヴィレオンの探索は任せてるけど、多分ローザにお願いしても見付けてくれると思う。この素材はエリザベスが欲しがってるから、なるべく綺麗に倒して渡したい。

 ローザが剣でイヴィレオンを動かして、カタリーナが更に土の壁で逃げ場を限定。

 「フラッシュ」

 土の壁を出すと、土からモグラ系の魔物が出てきたので怯ませる。
 こいつは楽で助かる。フラッシュで目眩しして殴れば終わり。爪はなかなか良い素材になるしさ。

 「てい!」

 ローザは身体強化に更に風属性の魔法を身に纏いイヴィレオンに高速接近。
 そのまま首目掛けて剣を振り下ろした。

 「ローザは強くなったなぁ」

 「えへへ。魔法が使えるようになってから、こーりつ? それが良くなったんだよー!」

 ほう。効率。ローザが難しい言葉を使うなんて。
 徐々に勉強の効果が出てきてるじゃないか。
 カタリーナの教育の賜物じゃないでしょうかね。

 「ボスがゲーム感覚で教えてやれば楽しく勉強するんじゃないかと言ってくれて助かりました。あれのお陰でローザは勉強を嫌がる事もなくなりましたし」

 「神のお告げ的なのがね。ほんと助かってます」

 前世のカルタの知識を応用したり、ストラックアウト的なのを生産部に作ってもらって、それを使って計算させたり。
 それはもうローザは大ハマりよ。言動にも学が出てきたんじゃなかろうか。

 「それにしても、またレベル上昇が停滞してきたなぁ」

 「150を超えましたからね」

 アンジーの200後半ってどれだけの修羅場を潜り抜けたらそうなるんだろ。
 傭兵時代に殺しまくったのかな。そのアンジーですら関わりたくなさそうだった、帝国の騎士団長とはいかほどのものか。なんか騎士団長が出張ってくるみたいな話の流れになると、途端に態度が軟化したからなぁ。情報が欲しい。

 「まぁ、いいか。俺達はアンジーを圧倒出来るぐらい強くなるのみ。そして味方になんとしてでも引き入れる。俺達の上位陣が揃えば騎士団長にも対抗出来るだろ」

 なんかアンジーって上手くいけば、戦わなくても味方に引き入れられそうなんだよなぁ。
 賢そうだし。勝てないと分かれば素直に引きそうな気がしないでもない。あくまで勘なんだけど。
 
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