69 / 116
第3章 勢力増強
第66話 即バレ
しおりを挟む屋敷から出て縄張りを出て行く。
高位暗殺者の技能を使ってなるべく気配を消して表通りを目指す。
どこにレーヴァンの監視の目があるか分からないからね。
そして表通りに出てからは姿を隠さない。
男爵の職業で得た素振りを出さないように気をつけつつ、新人冒険者らしく少しオドオドしながら通りを歩く。
今日の為に拷問官を外して役者の職業をセットしておきました。効果が出てる事を祈る。
向かったのはクトゥルフとは表向き関係のない商会。そこで詐欺男こと、ブリムリーが待ってくれていた。
「ボス。お久しぶりっす」
ブリムリーが周りに誰も居ない事を確認してから声をかけてくる。
報告書を読んでたけど、実際に会うのはかなり久々だ。
「上手く馴染んでくれたみたいだな」
「あー。それはどうすかね。仲良くはしてるんすけど、どこか監視されてる雰囲気もあるんすよ」
「報告書にも書いてたな」
「っす」
勘でしかないけど、どこか一線を引かれてる気がする。そんな感じの報告書だった。
俺もそれを見て早いかなと思ったけど、いざとなれば逃げれるって思ったのと、そろそろアンジーの情報がないと手詰まりになると考えたから、多少の危険を冒してでも決行した訳だ。
「店から出たら俺はお前の下っ端になるから。お前も良い感じに対応してくれよ」
「了解っす」
って事でやって来ました。
レーヴァンの縄張りは初めて入ったけど、中々に見た目が危ない奴が揃っている。
鑑定で能力や職業を見ると、そうでもないんだけど、見回りをしてる戦闘員っぽいのはみんなレベルが高い。
レベル100を超えてる奴も見かけた。
これは賭場の中には更に実力者がいるのでは。
なんか縄張りの雰囲気がピリピリしてるし。
「ブ、ブリムリーさん。ここ、ほんとに大丈夫なんすか?」
「あははは。俺に任せておけ。これでも結構常連なんだよ?」
賭場に入ってビビってる演技を開始する。
実際結構ビビってるし。
周りをチラリと見渡すと、いくつかのテーブルに別れてサイコロらしきモノを振って一喜一憂してるチンピラが多数いた。
あ、あの冒険者っぽいの強い。レベルが150もある。
「姉御!?」
俺は客に集中し過ぎて近付いてきてる女性に気付かなかった。
気付いた時には目の前にいて。
「あなたは一体何者かしらぁ?」
妙齢の美人さんが俺を見てにっこりと笑ってる。
目が笑ってないってこういう事を言うんだなとしばし現実逃避。普通に怖い。圧が凄い。
なんか初手からバレてる気がする。
俺は内心焦りながら演技を継続。
そして鑑定をしてみた。
「お、お、俺っすか!? お、俺はブリムリーさんに良い遊びを教えてやるって言われて…」
「ふふふ。そうなの。ちょっと裏で話しましょうか?」
☆★☆★☆★
『名 前』 アンジェリカ
『年 齢』 34
『種 族』 ヒューマン
『レベル』 286/456
『体 力』 B/A
『魔 力』 B/S
『攻撃力』 A/S
『防御力』 C/B
『素早さ』 B/A
『知 力』 B/A
『器 用』 B/S
『恩 恵』 超直感
『職 業』 魔侍
『属 性』 無 火 水 風
☆★☆★☆★
あーだめだめ。
これはやばいでしょ。
魔侍ってなんだよ。なんて読むんだ。
レベルも能力値もやばい。
俺より100以上も高い。話にならん。
こんなのしみったれたスラムにいちゃいけないでしょ。もっと中盤で立ちはだかってくるタイプのボスじゃんか。
「な、な、な、なんでですか!? 僕は訳も分からず連れて来られただけで…」
「うふふ。可愛いわぁ。食べちゃおうかしら?」
ひえっ。これはやばい。
一応転移の準備はしつつブリムリーの手を掴む。
こいつを見捨てるのはしたくないからな。転移する時に連れて行かないとと思ったけど、これが逆に良い感じにビビってる演技になってるんじゃなかろうか。アンジー以外は少し戸惑ってる雰囲気があるし。
これ、恩恵の超直感のお陰か?
ブリムリーが監視されてるっぽいって言ってたのは何かアンジーの勘にに引っ掛かったのかも。
こんなずっこい恩恵持ってるなんて予想外だよ。
どれだけバレない様にしても、勘でバレちゃうんだろ? とんだ斥候殺しだぜ。
アンジーを先頭に、レーヴァンの構成員に囲まれて関係者用の部屋に連れて行かれる。
うーん…。もうここで逃げるべきか…。
もう少し引っ張って話を聞くべきか。逃げても勘でうちの縄張りにやって来そうなのが怖いんだが。
「そこに座りなさい」
「ひゃ、ひゃい!」
「うふふ。その演技を見てるのも面白いのだけど。そろそろ本当のあなたを見せてくれないかしら?」
役者さんが仕事してませんよ。
いや、こいつの恩恵がずっこいだけか。
ほんと予定が狂いまくりで困る。
詐欺男のブリムリーも顔は平静を装ってるけど、さっき手を握った時の手汗はやばかった。
正直浄化したいぐらいに。
うむ。うむむ。うむむむ。
仕方ない。ここは覚悟を決めて普通に話して更なる情報収集をすべきか。
既に転移はいつでも発動出来る。
アンジーか構成員が少しでも変な動きをしたら即逃げしよう。
なんかいつでも逃げれるってなると緊張も薄れてきたな。
「ちっ。入ってすぐ変に思われると思わなかったな」
「あらあら? それが素のあなたかしらぁ?」
俺はビビってる演技の為の極度猫背を正してソファにふんぞりかえる。
どんな演技してもバレそうだしな。堂々としてた方がいいだろ。
一気に態度が変わった俺を見てレーヴァンの構成員は剣呑な雰囲気になっちゃったけど。
こいつらなら襲ってきても対処は出来る。アンジーには手も足も出ないだろうけど。
さてさて。
ここからはレイモンド君のコミュ力が試されるな。ギャルゲーで培ったパーフェクトコミュニケーションをみせてやるぜ!!
10
お気に入りに追加
725
あなたにおすすめの小説
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした
せんせい
ファンタジー
自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。
その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ!
約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。
―――
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
異世界でチート能力貰えるそうなので、のんびり牧場生活(+α)でも楽しみます
ユーリ
ファンタジー
仕事帰り。毎日のように続く多忙ぶりにフラフラしていたら突然訪れる衝撃。
何が起こったのか分からないうちに意識を失くし、聞き覚えのない声に起こされた。
生命を司るという女神に、自分が死んだことを聞かされ、別の世界での過ごし方を聞かれ、それに答える
そして気がつけば、広大な牧場を経営していた
※不定期更新。1話ずつ完成したら更新して行きます。
7/5誤字脱字確認中。気づいた箇所あればお知らせください。
5/11 お気に入り登録100人!ありがとうございます!
8/1 お気に入り登録200人!ありがとうございます!
天職が『盗賊』という理由で追放されました。盗みを極めし男はやがて魔王と呼ばれる
こたろう文庫
ファンタジー
王国の勇者召喚により異世界に連れてこられた中学生30人。
その中の1人である石川真央の天職は『盗賊』だった。
盗賊は処刑だという理不尽な王国の法により、真央は追放という名目で凶悪な魔物が棲まう樹海へと転移させられてしまう。
そこで出会った真っ黒なスライム。
真央が使える唯一のスキルである『盗む』を使って盗んだのはまさかの・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる