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第3章 勢力増強

第62話 執事確保

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 「な、なんだ貴様らは! こんな事をしてただで済むと思ってるのか!!」

 執事確保うぇーい。
 のこのこと俺達の縄張りに入ってきた瞬間に、はっ倒して屋敷まで引き摺ってきてやった。
 今は一応カタリーナに姿を隠してもらってる。万が一逃げられたりしたら面倒だからね。

 「どうなるか教えてほしいもんですねぇ」

 「スラムの下賤なガキが! 調子に乗るなよ!! 私は領主の筆頭執事だぞ!! お前達なんてどうとでもなるんだ! 今ならお咎めなしにしてやる! さっさと解放しろ!」

 おぉー。見事な三下セリフ。
 優秀な奴って聞いてたのに、言ってる事が下っ端なんだよなぁ。

 「領主の元から逃げる予定だった筆頭執事さんに何が出来るかご教授頂きたいですねぇ。ほら、スラムの下賤なガキなもんで。是非お願いしますよ。えーっと、ジェイクさん?」


 ☆★☆★☆★

 『名 前』 ジェイク
 『年 齢』 54
 『種 族』 ヒューマン
 『レベル』 62/200

 『体 力』 D/D
 『魔 力』 D/C
 『攻撃力』 E/D
 『防御力』 E/D
 『素早さ』 D/C
 『知 力』 B/S
 『器 用』 C/A

 『恩 恵』 無
 『職 業』 文官
 『属 性』 無 水

 ☆★☆★☆★

 ほう! ほうほう!
 文官じゃないか! 素晴らしい!
 まさしく欲しい人材でやんす!
 これは俺の代わりに社畜になってもらわねば!

 「な、なぜ私の名前を…。それに逃げる事まで」

 「逆になんで知らないと思ったんだ。ここは俺の縄張りだぞ? そこを通るんだから情報が入るに決まってるだろ」

 「俺の縄張り…? まさか! クトゥルフか!」

 「どうもクトゥルフのボスやらしてもらってます、名前はレイモンドです。よろしくどうぞ」

 「こ、こんなガキだったとは…」

 「で、逃げ出した執事のジェイクには選択肢が二つ用意されています。文句を言わずに俺の為に働くか、拷問されて無理矢理言う事を聞かせられるか。どっちを選ぶかは明確だよね?」

 「私がスラムの下賤なガキの為に働くだと!? そんな事は天と地がひっくり返ってもありえんわ! 拷問だと? 出来るものならやってみるが良い! 子供のおままごとに付き合ってやる!」

 「じゃあ、天と地をひっくり返してみますかね」

 せっかく楽に従える道を用意してあげたのに。
 これから社畜になるからとせめてもの温情を見せてあげたのにそれを不意にするとは。実はこいつ優秀じゃないのかな?

 えーっと、昨日レベルが110になったから拷問官をセットしてと。

 「おーい。道具を用意してくれーい」

 部屋の隅で待機していた戦闘員に道具の準備をお願いする。
 因みにここは屋敷の地下室だ。何故か牢屋があったんだよね。なんの目的で作られたのかは知らんが。

 俺の指示で心得たとばかりに、嬉々として道具を用意する戦闘員。
 こいつ戦闘員だけど、職業は拷問官なんだよね。
 全体的に能力値が高いから戦闘部門に所属してるけど。職業によって性格も左右されるのかな。
 唯一こいつしか拷問官が居ないから分からないけど、喜んで拷問に付き合ってくれる。

 「ひっ…」

 「おいおい。道具を見せただけでビビってるんじゃないよ。お前の言うおままごとはまだ始まってもないぞ?」

 鋏やらトンカチやらナイフやら無数の針やら。
 生産部門で鍛治をしてる奴に作ってもらいました。いつか使うと思ってたしね。

 「じゃあやっていこうか。マリクがやる?」

 「よろしいのですか?」

 隣にいた拷問官、マリクに声をかける。
 滅茶苦茶ソワソワしてたからね。やりたいんじゃないかと。俺は別に進んでやりたいとも思わないし。必要ならやるけど。すっかり異世界に染まっちゃったぜ。

 「だってもう顔が。やりたくてたまらないって顔してるぞ」

 「し、失礼しました。どうも好きに弄れるとなると感情が抑えられません」

 「いや、この後使うんだから後遺症とか残すのはやめてね?」

 「やりすぎた場合はボスが回復してくれますよね?」

 「回復魔法は心までは治せんのです」

 恍惚とうっとりとねっとりとした表情を執事ジェイクに向ける。その顔をみてさっきまでの威勢はすっかりなりを潜めて絶望感が漂っている。
 最初の提案を蹴った君が悪い。大人しくマリクに遊ばれておくれ。
 あ、因みにマリクは女ね。二十代前半で可愛らしい顔をしてるんだけど、そのギャップのせいでより怖く感じる。ラブジーの使用人として働いていて、最初は普通だったんだけどなぁ。
 いつからこうなったのやら。

 「では早速」

 「いぎゃー!!」

 数本の針を持ち、足の爪と爪の間に容赦なく差し込む。あれ、痛いらしいんだよなぁ。
 なんか神経が過敏になってる場所とかうんぬんかんぬん。拷問官の情報から知ったんだけど。

 「あははは! さぁ! どんどんいきますよ!」

 「ぐぁぁああ!」

 もうスイッチが入っちゃったよ。
 俺はどうしようかな。ここはマリクに任せて俺は執務室で少しでも書類仕事を進めておくか。
 一時間ぐらいで様子を見に来たらいいだろう。

 「もっと! もっとです! もっと綺麗な鳴き声を聞かせなさい!!」

 「ふ、ふぎゃー!!」

 ご愁傷様。
 俺は心の中で手を合わせてジェイクの健闘を祈っておく。
 多分一時間ぐらいで落ち着くと思うからさ。それまでは頑張ってくれたまえ。
 頼むから廃人になってくれるなよ。
 お前には社畜人生が待ってるんだから。



 
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