50 / 116
第3章 勢力増強
第47話 ローザの初戦闘
しおりを挟む「レイモンドー!!」
「ごはぁ!」
いつもの様に中庭で拳闘士の訓練。
これを始めてから早くも一ヶ月が経過している。
クトゥルフの状況は良好と言ってもいいだろう。
薬草畑は早速稼働してるし、鍛治工場もこの前ようやく完成した。
今は薬草畑の横にポーション生産所を造ってる真っ最中だ。屋敷の異臭とももう少しでおさらばである。
戦闘部門も外に進出して素材を持ち帰って来れるようになった。
今は安全を重視して、魔物が大量に居る場所には行かせてないが、それでも着実にレベルアップしている。
なにより、魔法を教えた面々の強さが段違いだ。
まだ身体強化しかやらせてないが、それでも見違える程強くなっている。上位の冒険者の中には無意識で身体強化を使ってるらしいが、意識させてやらせると効果が全然違うみたいだ。
「ローザ。俺の腹に突っ込んでくるなと何回も言ってるだろう」
「えへへ~」
身体強化してなかったら吹っ飛んでたんじゃなかろうか。それぐらいローザの突進は恐ろしい。
契約さん。お仕事出来てないんじゃないかな? 契約主が危ないですよ?
「ローザも魔物と戦いたい!!」
ローザの頭を撫で回してると、急にそんな事を言われた。どうやら、指導係が外に出てレベルアップをしてる話を聞いたらしい。
「むぅ。まだ早いと思うけど…」
「ボス。良いのではないですか? 子供と言うならボスもそうですし、ローザは英才教育すると決めたのでしょう? 早めに魔物との戦いを経験させておくのは悪い事ではないと思います」
「わっ! カタリーナが味方してくれたよ!!」
ローザはかなり驚いている。
いつもカタリーナに怒られてるからね。
まさか自分に味方してくれるとは思ってなかったんだろう。
☆★☆★☆★
『名 前』 ローザ
『年 齢』 10
『種 族』 獣人
『レベル』 4/456
『体 力』 F/A
『魔 力』 F/D
『攻撃力』 E/EX
『防御力』 F/S
『素早さ』 E/EX
『知 力』 G/D
『器 用』 F/C
『恩 恵』 戦闘学習
『職 業』 剣士
『属 性』 無 風
☆★☆★☆★
日々の鍛錬でレベルは上がっている。
戦闘職は魔物や人を殺した方がレベルの上がりは早い。実戦に勝るモノはないってやつかな。
生産職はその職に合ったモノを作るとか作業をするだけでぐんぐん上がっていくんだけど。
だから、エリザベスやホルトはもうレベルが10を超えてるんだよね。
本人は気にしてないかもだけど、ローザだけ置いていかれてるのはよろしくないか。
「能力値的に外は無理だけど、地下水道のスライムとかネズミならいけるか? ネズミは強さの割に速いし良い練習になるかもな」
「行っていいの!?」
「勿論付き添いありきだぞ?」
「やったー!! レイモンドありがとー!!」
「甘ーい!」
「むむむっ!」
そう何度も突進を喰らう俺ではないわ!
拳闘士の足捌きでひらりと躱してやったぜ。
ローザは悔しそうにしてるけど。だからそれはやめなさいって言ってるのにさ。
ほら。カタリーナさんがおかんむりだぞ?
「ローザ。勉強の時間ですよ」
「いやーっ!」
カタリーナに引き摺られて屋敷に戻って行った。
南無南無。ローザには勉強という罰が一番効くからな。これで一週間は突進してこないだろう。
今のうちに予定を調整してローザの地下水道に付き添えるようにしておくか。
翌日。
俺とカタリーナとローザ、それに騎士男が地下水道に降り立っていた。
「臭い臭い臭い!!」
ローザは狼の獣人という事でかなり鼻が良い。
地下水道は地獄だろう。クトゥルフには他にも獣人が居るが、大なり小なり苦労してると報告が上がっている。
外に出るほどの強さを持っていない下っ端達は訓練内容に地下水道でネズミの速さに慣れるというのがある。
下っ端獣人達は早くこの地下水道から抜け出す為にかなり真剣に訓練してるらしい。
「うぅぅ。鼻がもげちゃうよー」
「我慢してとしか言えないんだよなぁ」
俺も久々に来たけど中々にきつい。
ヒューマンの俺ですらきついんだもんな。
ローザは更に苦しい事だろう。
「諦めて帰るか?」
「いや! 魔物と戦う!!」
半泣きになりながらも魔物と戦う事を選んだ。
中々立派じゃないか。その心意気や良し。
ほら、早速スライムがやってきたぞ。
「てーい!!」
可愛らしい声とは裏腹にその剣筋はかなり鋭い。
ローザは既に大人サイズの剣を使ってるんだけど、全くブレがない。
身長は年齢相応だから普通の剣が大剣みたいになってるんだけどな。
将来は身の丈以上の大剣を振り回してるんじゃなかろうか。
「ふむ。やっぱりスライムは問題ないわな」
「偶に飛ばしてくる酸弾さえ気を付けてればスライムは子供でもなんとかなりますからね。その酸弾も軽い火傷程度ですし」
流石最弱の魔物。
ローザの初戦闘があっさり終わっちゃったよ。
「どうだった?」
「面白くない!!」
ローザに初戦闘の感想を聞いてみたけど、その顔は不満たっぷりだ。
そりゃ一刀両断で終わっちゃったもんな。
「スライムだもんな。ネズミは中々難しいかもしれないぞ。速いからな」
「頑張るよ!!」
スライムは余裕だったけどネズミはどうかな?
俺は光魔法のお陰でなんとかなったけど。
その体ぐらい大きな剣で素早いネズミを捉えられるのか。
楽しみにさせてもらいましょう。
10
お気に入りに追加
725
あなたにおすすめの小説
【完結】裏切りの暗殺者(当て馬兼最難関隠しキャラ)は、死にたくないしヒロインに忠誠も誓いたくない
月白ヤトヒコ
ファンタジー
どうやらわたしは、聖女がヒロインの乙女ゲームに転生したようだ。
それも……ヒロインを執拗に付け狙うストーカー暗殺者として。
暗殺者は、ヒロインが攻略対象とくっ付くための当て馬。そして……隠しキャラの、最難関攻略対象でもあった。
暗殺者にあるのは、攻略対象シナリオ分の大量の死亡フラグ!
唯一、暗殺者が死なないでヒロインに攻略されるというルートがあるが……それは通称『百合エンド』と称される暗殺者がヒロインに忠誠を誓うエンドのみ。
しかし、そこに辿り着くまでは難易度が高い無理ゲーでもある。ヒロインがステータスほぼカンストというそこまでの努力をしてくれる可能性は限りなく低い。
おまけにわたしは、このヒロインが嫌いだ。
真顔で「は?」と言いたくなるような・・・全体的に、イラッとするタイプのヒロインだった。まぁ、わたしの主観なのだが。
生き残れるのが通称『百合ルート』のみとは言え、リアルで百合って、相当仲良くないと無理だろ。
というワケで、死にたくないしヒロインにも忠誠を誓いたくないので、シナリオをぶっ壊そうと思います。
わたしの死亡エンド回避のためにっ!?
※通称『百合ルート』を回避するために動くので、百合ではありません。
設定はふわっと。
777番目に転生した俺の職業はチャラ男でした! -隠しスキル777で俺は理想の彼女をゲットし大商人になり上がる-
菅原みやび
ファンタジー
【これはチャラくない真面目なチャラ男の物語……】
現世にてIT企業に勤めていた主人公の真面目 杉尾(まじめ すぎお)。
名前の通りその生真面目さが災いし、過労の心臓マヒで死んでしまうことに……。
だがしかし、そんな彼に異世界の女神は救いの手を伸べる。
杉尾はその真面目さが故に異世界にて777番目に転生し魂。
女神は杉尾に最強武器及びチートスキルを与えようとするが……。
杉尾はそれをキッパリと断ってしまう……。
そう、彼には生前したかった事があったから……。
「魔王討伐とかどうでもいいので、その願いを叶えたい……」
杉尾の言葉に静かに頷く、女神。
「せめて貴方がなりたい職業に……」
女神が天に祈る中……杉尾は大草原に……真正面に町が見える場所に飛ばされてしまう……。
異世界を満喫すべく勇んで町に入る杉尾。
現代のスーツ姿が不審がられ、職業安定所に連れられて行く杉尾。
職業の水晶にて、職業を鑑定される杉尾。
そこで、表示された職業はなんと【チャラ男】だった⁉
そう、彼はチャラ男として異世界に転生してしまったのだ……。
戸惑うチャラ男、もとい杉尾……。
「チャラ男って職業だっけ?」そう思いつつも、女神とのやり取りを思い出してしまう杉尾……。
「そ、そうか、思い出したぞ! 俺は異世界で自由気ままに彼女を作りたかったんだ! 魔王? 世界の平和? 知らね!」
どうなる異世界! どうなる杉尾! どうなるチャラ男!
これは理想の彼女を探すため、隠しスキル777などを駆使し、真面目なチャラ男が仲間達と努力し、成長し、大商人になり上がっていく物語。
今、ここに適当にチャラ男の冒険がゆるーく開幕っ!
この作品はカクヨム様等にも投稿しております。
※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
当然チャラ男という職業は現在にはありません!
王太子から婚約破棄されて三年、今更何の用ですか?!
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「やはり君しかいない、君こそ私が真に愛する人だ、どうか戻って来て欲しい」ある日突然ユリアの営む薬屋にリンド王国の王太子イェルクがやってきてよりを戻したいという。
だが今更そんな身勝手な話はない。
婚約者だったユリアを裏切り、不義密通していたユリアの妹と謀ってユリアを国外追放したのはイェルク自身なのっだ。
それに今のユリアは一緒についてきてくれた守護騎士ケヴィンと結婚して、妊娠までしているのだ!
エーリュシオンでお取りよせ?
ミスター愛妻
ファンタジー
ある男が寿命を迎え死んだ。
と、輪廻のまえに信心していた聖天様に呼び出された。
話とは、解脱できないので六道輪廻に入ることになるが、『名をはばかる方』の御指図で、異世界に転移できるというのだ。
TSと引き換えに不老不死、絶対不可侵の加護の上に、『お取り寄せ能力』という変な能力までいただいた主人公。
納得して転移した異世界は……
のんびりと憧れの『心静かな日々』を送るはずが……
気が付けば異世界で通販生活、まんざらでもない日々だが……『心静かな日々』はどうなるのか……こんなことでは聖天様に怒られそう……
本作は作者が別の表題で公開していた物を、追加修正させていただいたものです。その為に作品名もそぐわなくなり、今回『エーリュシオンでお取りよせ?』といたしました。
作者の前作である『惑星エラムシリーズ』を踏まえておりますので、かなり似たようなところがあります。
前作はストーリーを重視しておりますが、これについては単なる異世界漫遊記、主人公はのほほんと日々を送る予定? です。
なにも考えず、筆に任せて書いております上に、作者は文章力も皆無です、句読点さえ定かではありません、作者、とてもメンタルが弱いのでそのあたりのご批判はご勘弁くださいね。
本作は随所に意味の無い蘊蓄や説明があります。かなりのヒンシュクを受けましたが、そのあたりの部分は読み飛ばしていただければ幸いです。
表紙はゲルダ・ヴィークナー 手で刺繍したフリル付のカーバディーンドレス
パブリックドメインの物です。
森の中で偶然魔剣を拾いました。
EAT
ファンタジー
小さい頃から騎士になることを夢見る少年レイルは東の最果てにある辺境の小さな村に住み、平和に過ごしていた。
15歳になると成人の儀というものでその人の一生を決める、天職というものを授かることになるのだがレイルが授かった天職は農民というごくごく普通のものだった。
農民として渋々生きていくことになったレイルはある日森である物を拾うのだが……。
※初めての投稿です。
誤字脱字など教えていただければ幸いです。
のんびりと投稿していければ良いなと思っています。
天職が『盗賊』という理由で追放されました。盗みを極めし男はやがて魔王と呼ばれる
こたろう文庫
ファンタジー
王国の勇者召喚により異世界に連れてこられた中学生30人。
その中の1人である石川真央の天職は『盗賊』だった。
盗賊は処刑だという理不尽な王国の法により、真央は追放という名目で凶悪な魔物が棲まう樹海へと転移させられてしまう。
そこで出会った真っ黒なスライム。
真央が使える唯一のスキルである『盗む』を使って盗んだのはまさかの・・・
チュートリアル場所でLv9999になっちゃいました。
ss
ファンタジー
これは、ひょんなことから異世界へと飛ばされた青年の物語である。
高校三年生の竹林 健(たけばやし たける)を含めた地球人100名がなんらかの力により異世界で過ごすことを要求される。
そんな中、安全地帯と呼ばれている最初のリスポーン地点の「チュートリアル場所」で主人公 健はあるスキルによりレベルがMAXまで到達した。
そして、チュートリアル場所で出会った一人の青年 相斗と一緒に異世界へと身を乗り出す。
弱体した異世界を救うために二人は立ち上がる。
※基本的には毎日7時投稿です。作者は気まぐれなのであくまで目安くらいに思ってください。設定はかなりガバガバしようですので、暖かい目で見てくれたら嬉しいです。
※コメントはあんまり見れないかもしれません。ランキングが上がっていたら、報告していただいたら嬉しいです。
Hotランキング 1位
ファンタジーランキング 1位
人気ランキング 2位
100000Pt達成!!
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる