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第3章 勢力増強

第44話 ペテスの街の現状

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 ラブジーとの抗争が終わって一週間が経った。
 レーヴァンはあれから反攻してくる事なく、自分達の縄張りで大人しくしている。
 ラブジーが潰された事はスラムにはすぐに広まった。そしてそれを成したクトゥルフの名も。
 レーヴァンは新しく台頭してきた俺達を警戒してるんじゃないかと思われる。

 「そうか。本当に外に出られたか」

 「はい。複雑な道順ですが地図があれば問題ないようです」

 レーヴァンが大人しくしてくれるのは好都合。
 俺達はその間にパワーアップするのみよ。
 って事で戦闘部門の人間を選抜して、本当に外に出られるのか確認してみた。
 結果は上々。出口は街の外の目立たない川沿いにあったらしく、そこから出入りする事は可能だろうと。

 「じゃあ安全第一で戦闘部門を強化していこうか。俺ももう少し落ち着いたら行ってみよう」

 「はい。私もご一緒します」

 確かに。カタリーナのレベルアップもしておきたいな。領主が健在なうちは常に狙われる危険があるし。

 「先に領主を仕留めても良いんだけどな」

 「現状維持が望ましいでしょう」

 領主を殺すと次の後釜は領主の子供になる訳なんだけど。
 まだ成人もしてないんだよね。しかも貴族は成人してからは帝都にある貴族学校とやらに通う義務があるらしく、着任するのはかなり後になる。
 その間は代官が来るんだろうけど、そいつが優秀な人間だったら困る。

 命が狙われる危険があっても今の馬鹿な領主の方が扱いやすいだろうということで、現状維持を選択した。
 その間に俺達は成長して、どんな領主になっても対応出来るようにしておかないと。

 「失礼するっす」

 執務室でカタリーナと喋ってると、アハムがやって来た。
 手には大量の資料を持っている。

 「これが今の人員の組織図になるっす」

 「ふむふむ」

 一応情報部門を任せてるアハムが今のクトゥルフの組織図を書いてくれた。
 情報部門の人間がかなり多いな。
 暗殺者とか盗人の職業持ちはまとめてここに放り込んでるから仕方ないけど。
 文官仕事が出来そうなのもここだしな。

 「ふむん。やっぱり何か稼ぎがないときついか」

 「ラブジーの全盛期より人が多いっすからね。養うにはそれなりに金がいるっす」

 「ボス。やはりここは多少のリスクを承知で動くべきでは?」

 「うーん…。そうだよなぁ」

 戦闘部門が外で狩りを始めたらそれなりの稼ぎにもなるけど、それだけじゃな。
 スラムの比較的表通りに近い場所の酒場や食堂、宿屋の収入もあるけど。
 新人冒険者向けって事で利益は微々たるものだし。

 で、今考えてるのは賭場を作ろうかって事。
 レーヴァンから何かアクションがあるかもしれないけど、稼ぎは確実に増えるんだよね。
 でも、賭場では喧嘩が付き物だし。万が一高ランクの冒険者とかが遊びに来て暴れ回られると困る。
 うちの戦闘員じゃまだ制圧出来ないだろう。こういうのは警備とかもしっかりしてから慎重に事を進めるべきだろう。

 「いや、もう少し我慢しよう。戦闘員が成長するまでは我慢だ。でも賭場のディーラーを育てておく事は始めておいた方がいいかもな」

 「でぃーらー?」

 ん? この異世界の賭場ってどんな感じなの?
 カードゲームとかしてるんじゃないのかな?
 それならイカサマとかをしっかり仕込んでおかないと。能力値で器用が高い奴を優先的に練習させればなんとかなると思ったんだけど。

 「かーど? そんなんじゃないっす。四角の球みたいなのを投げて数字を競ったりしてるだけっすよ?」

 なにそれ? おままごと? 子供でも出来るじゃん。丁半博打みたいな感じなのかな?

 「ふむぅ。分かった。後で俺が知ってる事についてまとめとくよ」

 「了解っす」

 アハムは次の仕事があるらしく、足早に部屋を出て行った。

 それにしても。
 この世界にはカードすらないのか。
 なるほどなるほど。

 「現代に比べると娯楽がだいぶ遅れてるな」

 「ボスの記憶の話ですか?」

 「そうそう」

 って事は俺が予定してる賭場はカジノみたいなのだったけど、ちょっと予定を変更しなきゃな。
 まずはトランプを流行らせるところからスタートか。先は長いぜ。

 「とりあえず器用の能力値が高そうな奴に練習させてみるか。エリザベスにトランプを作ってもらおう」

 アハムが持ってきた組織図を見る。
 最初にまず極秘って大きく書かれている。
 まぁ、今のクトゥルフの人員が全員書かれてるしな。それにどの部署に所属してるのかと、職業が書かれてある。

 「詐欺男以外にも詐欺師の職業を持ってる人間が何人かいるな。こいつらに練習させよう」

 「いいのですか? 詐欺師の職業持ちは情報部門でも重宝されると思いますが」

 「いずれ出来る賭場で情報収集すればいいだろ」

 賭場なんて大きくなったら貴族とかがお忍びで来るのはお約束なんだ。
 その時に色々と情報を集めてもらえばいいだろう。アハムと相談はしないといけないだろうが。

 「となると、今を耐える稼ぎが必要になるな。戦闘部門は焦らせたくないし」

 「焦って人員を失っては元も子もないですからね」

 となると、傘下の商会に何かを売らせるしかないんだけど。
 街で何が必要とされてるのか分からんな。
 情報部門に市場調査をお願いするか。

 
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