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第2章 抗争

第41話 ラブジー壊滅

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 「レーザー」

 「風の精霊よ」

 「ぐっ! ちっ!」

 カタリーナと協力しながら、ラブジーのボスを遠距離から封殺する。
 俺単体では防がれていたのに、手数が増えたからか魔法が当たる場面が増えてきた。
 致命傷にはなってないが、着実にダメージを与えられている。

 「うーん。魔法強い」

 「ボス、合わせて下さい」

 「あいよー」

 これは貴族が魔法を独占するのも分かるな。
 こんな力をそこらの平民が持ってしまったら、圧政なんて出来ないだろう。反乱し放題だ。光魔法が強いのかもしれんが。

 「土の精霊よ」

 「レーザー×5」

 「ぐあああっ!」

 よっしゃ! クリーンヒット!
 カタリーナが土魔法っぽいので、地面を操作してボスの足を拘束。
 そこに腕やら肩やらにレーザーがヒットした。
 急所は守られてしまったが、これでさっきみたいに斧を振り回せないだろう。

 「一気に決めるぞ!! ちょっと時間稼いで!」

 「土の精霊よ」

 今から使う魔法はまだ練習中って事で、行使するのに時間がかかる。カタリーナに拘束を強めてもらって、その間に魔法を準備。
 このチャンスで一気に決めてやる。

 「うぅ。頭いてぇ」

 俺は空間魔法を行使して虚空を生み出し、その中にレーザーを大量に放り込んでいく。
 これは維持するのもしんどいので、脳にかなり負担がかかる。しかしここは頑張りどころ。

 「ボス。そろそろ限界です」

 「準備おっけー」

 いくら拘束を強めても相手はボスだ。攻撃力の能力値はB。そのせいか力はかなりのもので、今にも拘束を抜け出しそうだ。
 だが、こっちも準備は整った。

 「しゃらくせぇ!!」

 拘束を抜け出したボスは、このままじゃラチがあかないと思ったのか、斧を盾にして無理矢理突っ込んできた。
 多少のダメージ覚悟で接近して活路を見出そうとしたのだろう。

 「腕に結構ダメージあるのによくやるよ。まぁ、接近されたら俺達は弱いけどさ。レーザー×5」

 「止まりませんね」

 確かに魔法は当たってるが、それを気にした様子もない。こいつ防御力もBなんだけど、それも影響してるのかな? 魔法が無かったらボコボコにやられてただろう。

 「1秒止めてくれ。それで終わりだ」

 「かしこまりました。風の精霊、土の精霊よ」

 「邪魔だぁ!!」

 俺は座標確定させる為に少し集中する。
 その間にカタリーナは風の突風で進行を遅らせて、地面から壁をせり出させる。
 それを見てボスは壁を破壊しようと立ち止まって斧を振りかぶった。

 「フルアタックじゃい」

 その瞬間、ボスの周りからレーザーの雨が降り頻る。それはもう大量に。
 斧を振り下ろす寸前だったボスは今は無防備。
 四方八方からのレーザーに体を貫かれまくる。

 「がっ! ぎっ! うぐぁ!!」

 なす術もなくやられていくボスから目を離さずに、すかさずとどめを刺しにいく。
 もう勝っただろうけど、ここで油断して舐めプしない。確実な戦果にしないと。

 「カタリーナ」

 「風の精霊よ」

 なんとかまだ立っていたボスにカタリーナの風の刃が襲いかかる。
 そしてその一つが、ボスの首を刎ねた。

 「ふぃー。終わったな」

 「まだここからが大変ですが」

 「そうだな。さっさと片付けよう。おーい」

 ボスが片付いた事でホッと一息吐いたけど、抗争はまだ続いている。
 残敵処理に移らないとな。

 「うっす」

 「これ、刺してボスは討ち取ったぞーって喧伝してきて。降伏するなら受け入れる事。逃がすのだけは無しね」

 「了解」

 近くにいた槍を持っていた奴を呼んで、ボスが死んだ事を触れ回させる。槍に首を刺して走り回ってりゃ信じるだろう。

 「カタリーナにももう少し働いてもらうぞ。騎士の男と指揮を変わって包囲網を敷いてくれ。間違っても逃がさないように」

 「かしこまりました」

 すぐに騎士の男の元へ走り去っていくカタリーナ。俺は味方の回復だな。後は苦戦してそうな所の補助。後一時間もしないうちに終わるだろう。ここまで長かったぜ。

 出来ればボスは生け捕りにして使いたかったけどな。あのフルアタックはちょっと調整がまだ不完全でして…。それに手加減して勝てる程弱い相手でもなかったし。
 実際、今の俺は魔力がギリギリだしね。まぁ、ポーションあるけど。この後は契約地獄だし。




 「おっ。早速降伏し始めたな」

 味方の回復をしこしことやっていると、周りから戦闘の音がしなくなり始めていた。
 ボスの首が効いたかね。よきかな。

 「降伏した奴は武器とかを没収して、一塊にしといてー。後でまとめて契約しに行くからー」

 「了解」

 ふむ? 逃げた奴も結構いるのかな?
 残念ながら、カタリーナが指揮を取ってるんだ。
 包囲網は抜けられないだろう。もう少ししたら抗争終了かな。


 「ボス。全て捕え終わりました」

 「ご苦労様」

 捕虜は合計30人ぐらいかな? 最大人員を誇っていたラブジーさんも落ちぶれたもんですね。

 「さってと。優秀な奴は…。お? アハム君が残ってるじゃん。確かNo.2で出来る奴って報告書には書いてあったような?」

 ボコボコの状態で転がされてる軽薄そうな男。
 これがラブジーのNo.2らしい。

 「優秀なんですかね? 実質参謀的ポジションでしたが、結局ボスに良いように振り回されてただけですよ?」

 「確かに? そう考えると大した事ないのかもしれんな」

 俺の適当な作戦を見抜けないようじゃ、とても優秀だとは言えないよね。
 いや、もしかしたら俺がとてつもない天才って可能性が…。

 「それはないでしょう」

 心を読まないの。
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