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第2章 抗争

第24話 人手不足

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 「殺せ殺せ! あいつらを近付けるな!」

 「うぐっ!」

 「ぎゃーっ!」

 中堅組織との争いも佳境を迎えている。
 争いが始まって、既に二週間近く経ってるが、どちらも死傷者の数が半端ない。
 俺が回復出来るからなんとかなってるけど、光魔法が無ければどうなってたことやら。

 「落ち着けよー。数では勝ってるんだ。複数人囲んでやっていけー」

 こちらは小競り合いの度に契約して、人数を増やして行ってるけど、向こうはそうじゃない。
 日が経つにつれて人数が減っていき、数の暴力で押し込んでる感じだ。

 今は相手幹部が潜伏していた場所を襲撃している。相手も中々の強さだが、数の暴力を押し返す程の強さではない。魔法があれば話は違ったんだろうけど。

 「ボス! こっちの回復お願いします!」

 「はいはーい」

 俺は回復要員と魔法で戦況を有利にする為に、参戦している。
 俺が適当に魔法をばら撒いたら、下っ端連中は簡単に片付けられそうなんだけどね。
 配下成長の為には仕方ない。人を経験値としてか見れないクズ野郎になってるが、それはもう今更だ。
 スラムから裏社会で成り上がろうとしているんだ。いずれ、こうなる事は分かっていた。

 「あ、レーザー」

 「ぐっ!」

 幹部が逃げようとしたので、足を魔法で貫く。
 ボスとか他の幹部がどこに居るか分からないんだよね。こいつは生かして情報源にしないと。

 「ボス! 終わりやした! こっちは死人は無しです!」

 「お、それは良かった」

 捕虜として15人程を確保。
 幹部も生きたまま捕えられたし、今回の襲撃は大成功じゃなかろうか。

 「よーし。契約してさっさと縄張りを安定させるぞー」

 「うす!」

 ここの組織は残して防波堤にしておきたかったんだけどな。
 ここまで俺達が侵略してしまうと、もう傘下にした方が良さそう。

 さっさと下っ端と契約して、縄張りの見回りに行かせる。俺達が争ってる所を掠め取っていく組織もたまにあるからな。

 「よし。じゃあ俺達はこいつを連れて帰るぞ。さっさと情報を抜いて次の襲撃の準備をしないと」

 俺とその護衛は幹部を引きずりながら酒場へ帰還。今日は長丁場だったからね。交代で下っ端連中を休ませてから行かないと。ブラックな組織にはなりたくないのです。



 「縄張りの広さに対して、人員が少なすぎる。人手不足は深刻だなぁ」

 「もう少し相手と戦力差があれば、生け捕りの数も増えるとは思いますが…」

 幹部と契約してから、情報を根こそぎ頂く。
 ボスやその他幹部が居そうな場所も聞き出せたし、準備が出来次第襲撃だな。

 そしてそれが終わるといつものように、酒場の私室でカタリーナに愚痴も漏らす。勢力を広げすぎて人手が足りなさすぎるんだよね。

 「早く子供も回収したいんだけど、人手が足りなすぎて面倒見れる奴が居ないんだよね」

 「子供を働かせるという選択肢もありますよ」

 そうするしかないかなぁ。子供のうちは教育に力を入れたいんだけど。
 そんな事してる余裕がないよな。この異世界では子供は10歳ぐらいから親の手伝いをするのが普通で、平民には教育って概念すらあるのか怪しいし。

 「仕方ないか。今やり合ってる組織との戦いが終わったらスラムに転がってる子供を回収しよう。受け入れる準備しといて」

 「かしこまりました」

 カタリーナの補助をする人員も欲しいよなぁ。
 今もほぼ一人で書類仕事を回してるし。疲れてる雰囲気はないけど、いつまでもこのままってのは組織を大きくしていく上でもよろしくない。

 「奴隷を買うって選択肢もあるけど、正規の奴隷は高いんだよな。闇奴隷は他の組織がやってる領分だから、俺達が金を払うと向こうの勢力を強化してしまうから手を出しにくいし。いっそのこと、闇奴隷を扱ってる組織にも襲撃するか?」

 「今の状態でそれをやられると管理しきれませんよ。闇奴隷は扱いが難しいらしいので」

 じゃあ無しだな。俺達は傍目から見ると余裕があるように見えるけど、結構綱渡りな状態だし。
 急激に組織を大きくした弊害だよね。

 「レベルも上がり方が緩やかになってきたしなぁ。最近は配下に譲ってるとはいえ、最初の頃ほどの伸びがない」

 「その年齢では破格の強さだと思いますけどね」

 まぁ、12歳にしては強いだろう。
 能力値は未だにCに到達したのはないけど、スラムの人間相手には無双出来る。
 ラブジーとかレーヴァンのボスとか幹部はまた別かもだけど。二大巨頭って言われるぐらいだし、普通に強い奴も居るだろう。

 「遠距離から魔法でスナイプするだけで勝てたりしないもんかね」

 「上位冒険者は魔法への対抗策を持ってましたし、スラムの上澄みは何かしら対策してあっても不思議ではないですね」

 だよな。しかもレーヴァンはごりごりの武闘派らしいし。こんなちんちくりんに魔法で一発でやられるほど弱くないだろう。

 「次の職業は近接も検討すべきか」

 「体の動かし方を知ってるだけでも変わるかもしれませんね」

 暗殺者の技能には助けられてるしな。
 格闘家的な、武器が無くても戦える系にすべきか。まだ俺の身長じゃ武器は大きくて扱えないんだよね。特注するほどでもないし。
 
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