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第2章 抗争

第23話 覚悟

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 「まずは土下座だよね」

 「ひ、ひぃ…」

 お隣さんが喧嘩を売ってきた二日後。
 カタリーナが情報を精査してくれた結果、特に偽装工作もなく、周りの抗争の雰囲気にやられて攻めてきただけだったっぽかったので、早速戦闘員を連れて報復に向かった。

 配下の強化の為に今回は俺は補助に回る。
 本当はバシバシ殺して、どんどんレベルを上げていきたいんだけどね。
 俺だけのワンマンアーミーになったら組織としては良くないだろうし。
 仕方なしに魔法で補助しつつ、止めは配下に任せる。

 ☆★☆★☆★

 『名 前』 レイモンド
 『年 齢』 12
 『種 族』 ヒューマン
 『レベル』 20

 『体 力』 E/S
 『魔 力』 D/S
 『攻撃力』 E/A
 『防御力』 F/A
 『素早さ』 D/S
 『知 力』 D/S
 『器 用』 E/A

 『恩 恵』 鑑定 複職
 『職 業』 盗人 暗殺者 魔法使い
 『属 性』 無 光 闇

 ☆★☆★☆★

 最初はさ。能力値がDとか馬鹿にしてたんだけど。これ、Dでも充分強い。
 というより、Cに上がるのに一種の壁的なサムシングがありそう。
 職業に魔法使いを入れてもDから上がらなかった。レベルなのか経験なのか。今後も要注目だな。

 これを見ると、地下水道にいたネズミの素早さCってとんでもないな。そりゃ魔法が当たらん訳だ。光魔法がなかったら苦労していた事だろう。
 それでも弱かったが。残念ながら他の能力値がゴミだったし、歩幅が小さい事もあって素早さを十全に活かしきれてなかった。

 それにカタリーナの優秀さがわかるよね。
 魔力は既にCだったし。これで冒険者ランクはDってんだから、まだまだ俺は弱いって事だよな。


 で、現在、何をしてるのかと言うと。

 「降伏したんだから抵抗するなよなぁ」

 「ぎゃーっ!」

 中堅組織の縄張りのカチコミをかけて、降伏させたんだ。まだ下っ端連中しか居ない場所だけど。
 ボスや幹部は別の場所に居るらしい。
 で、20人ぐらいはいたけど、半数以上は配下が殺して経験値に。そして残った奴は鉄砲玉にする為に契約しようとしてきたんだけど。

 「なに? ガキだから舐めてるの?」

 「ず、ずみまぜん…」

 俺が前に出ると叫ぶ、暴れる、調子に乗る。
 こういう時は子供は不便ですねぇ。早く大きくなりたい。最近はちゃんと食べてるし、成長して欲しいもんです。

 「馬鹿はいらないなぁ」

 「ひぃ! ゆ、許して下さい!」

 俺は調子に乗っていた男の一人の指を魔法で一本ずつ消していく。ゆっくりと、なるべく嗜虐的に。
 因みに今の俺では部位欠損は治せないので、こいつのお先は真っ暗だ。まぁ、殺すからどうでも良いんだけど。

 他の降伏した奴らに見せつけるように。
 もう歯向かうなんて思わせないように。
 俺はゆっくりと拷問してから、一人の男を殺した。

 「さて。お話出来るよね?」

 残りの奴らは一斉に頷いた。
 初めからそうしとけよ。二度手間なんだよ。

 因みに俺の内心は吐きそうです。
 舐められないように、頑張って強者ムーブして拷問したけど。
 流石に俺はまだそこまで極まっていない。
 殺すのには慣れてきた。でも拷問はまた別だ。
 あれはまた別のしんどさがある。これもまたいつか慣れるのかね。まだサクッと殺す方が楽に思える。



 「ただいま」

 「おかえりなさいませ。早速報告お願いします」

 契約を済ませて、怪我した奴は回復。
 で、やり返してくる事が予想出来るので、大半の人間を現地に滞在させる。
 後で物資とか送ってやんないと。金銭はパクってきたけど、食料とかはそのまま置いてきた。
 それでも、人数が増えたのですぐに足りなくなる。俺達、クトゥルフは今の所食料は潤沢なので、余裕を持って送れるな。
 俺は今日はお役御免という事で先に帰って来た。
 明日には更に侵攻するんだけど。

 「こっちは二人死んだな。でも8人契約してきたから、人は増えた」

 「なるほど。ボスの様子を見る限り、目立った職業や能力値の人材は居なかったみたいですね」

 「うん。戦闘職が多めかなとは思ったけど。それだけ。特攻要員にしかならないな」

 カタリーナに今日の事を色々と報告する。早くこいつも外で活躍してもらいたいんだけどな。
 ラブジーがもっと弱ってくれないと。後、依頼元が確定しないとな。なんか資料を見ても、いくつかの商会を経由してるっぽいんだよな。
 元凶まで中々辿り着けない。もっと人材が増えてきたら情報収集にも力を入れられるんだけど。

 情報ってのはとても大切だ。他の組織ももっと情報をしっかり集めれていれば、ここまで俺に良いように遊ばれていないだろう。この文明レベルでは、情報の大切さはまだ分かってないのかもしれないね。現代人からすると当たり前の事なんだけど。

 俺もカタリーナも人を数字でしか見ていない。
 っていうか、俺はそういうようにしている。
 下手に仲良くなると、死んだ時に精神的にダメージが強すぎる。だから、下っ端連中には必要最低限だけ関わるように心がけている。
 現時点でも詐欺師の男とか、俺の護衛をよくしてくれる騎士の男が死ぬとそれなりにダメージを受けると思う。

 まぁ、裏社会で成り上がろうと思ったら、絶対人の生き死には出るよね。
 仕方ない事だと割り切れれば良いんだけど。
 流石に俺にはまだそこまでの覚悟がない。

 「はぁ。頑張ろ」
 
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