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第6章 春到来
第130話 神町3
しおりを挟む二回表の龍宮の攻撃は三者凡退に終わった。
8番からの下位打線だし仕方ない。
因みに、俺の甲子園初打席は豪快な三球三振。
アウトコースのストレートにヤマを張っていて、実際にその通りにボールが来たんだけど、何故かバットにかすりもしなかった。
チームメイトからは暖かい失笑を頂きました。
最高に薄情な奴らだぜ。
「まっ、俺の仕事は0に抑える事ですし? 点はみんなが取ってくれるもんね」
「本当にアウトコースのストレートを狙って振って行ったんだよね? ボールとバットの間、20cmぐらいあったよ?」
不思議だよね。気分はホームランだったんだけど。イメトレは完璧なのになぁ。
「打者一巡するまでは、ストレート、チェンジアップ、ナックルカーブで抑えるぞ。スライダー系とツーシームはまだ温存しても大丈夫だろ」
「的を絞らせない様にリードしなきゃね。責任重大だ」
1番~3番を見た感じは、狙い球があるような感じでもなかったけど。
最初に投げた、ストレートに引っ張られてる感はあったけどさ。
先頭は4番。
当たれば何処までも飛んで行きそうな打者だ。
当たればだけどね。
初球はアウトコースへナックルカーブ。
反応はしたが、手を出さずにストライク。
ストレートにタイミングを合わせてそうな雰囲気だなぁ。
2球目はインコースへチェンジアップ。
抜けたり、少しでもコースを誤ると簡単に持っていかれるボールを平気で要求してくるタイガに震えるね。
「この、今の俺がコントロールミスをする事はあり得ないけどな」
そんな事を呟きながら、しっかり構えたところへ投げ込む。
これもバッターは手を出さずにストライク。
今回は反応すらしなかった。
3球目はストレート。
遅めのボールを続けて早いボールで仕留めるのは定石中の定石。
バッターもストレートを待っていたんだろうが、コースは予想外だったんだろう。
ど真ん中に投げられたボールを、内野に打ち上げた。
「ヒリヒリするなぁ。一歩間違えば柵越えだぞ」
ショートの隼人が定位置でキャッチしてワンアウト。27者連続三振の夢は途切れたな。
ここからはパーフェクト狙いだ。
「まっ、27者連続三振しようと思ったら、とりあえず変化球の封印なんてしてる場合じゃないわな」
流石にこれは最初から出来るなんて思っていない。いつかやってみたいとは思うけどね。
続く、5.6番を連続三振で仕留めてチェンジ。
脳内麻薬がドパドパと出て来て気持ちいい。
「絶好調。ああ絶好調。絶好調。豹馬」
「くそみたいな俳句辞めてくれる?」
失礼な。これ以上ない一句だろうが。
俺の状態をこれでもかと表してる、史上稀に見る作品だぞ。
エゴサしてぇ。
絶対今頃、SNSで掌ドリルが多発してるだろ。
この調子で、何か記録でも作りたいねぇ。
甲子園で完全試合って過去にあったかな?
もしないなら、ここで達成したい。
これで、一躍全国区だぜぇ。
まだ二回だから、意識するのは早いかもだけど。
油断だけはしないように頑張ろう。
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