未冠の大器のやり直し

Jaja

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第6章 春到来

第128話 VS神町1

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 2回戦当日。
 第三試合という事もあり、ゆっくり起きてから入念にウォーミングアップする。

 「よきかな。体は絶好調である」

 モチベーションもMAX。
 今日の豹馬君は一味違うね。



 「身体でけぇなー。ゴリラがいっぱいだ」

 「なによりも飛ばす事を考えてるチームだからね」

 試合前練習も終わり、まもなくプレイボール。
 相手ベンチを見てみると、ギラギラとした目であれを見ている。

 「良いね! やる気満々じゃん!」

 「舐めてかかってくる様な事は無さそうだね。脳筋の集まりみたいなチームだけど、情報収集もしっかりしてるみたい」

 もうスタメンも発表されて、俺が先発って分かってるからな。
 打撃偏重チームに俺のピッチングが通用するのか。今から楽しみだ。

 とはいえ、先攻は龍宮高校。
 サイレンが鳴り、プレイボール。

 1番のウルは、初球から積極的に打っていったがショートライナー。
 ちょっと球威に押され気味っぽい。

 「思ったよりも球が重い。コースは甘めだから、しっかり振り切れば捉えられなくもないかな」

 「言ってるそばから」

 タイガが3球目のストレートを捉えて、レフト前ヒット。そして迎えるはレオンである。

 レオンの名前がコールされて打席に入ると、甲子園は大歓声。
 TVでも放送されたし、木製バットでホームラン二本ってのはインパクトがあるからな。
 観客もほぼ満員だし、地鳴りの様な応援だ。

 「やっぱりホームランってのは、分かりやすい華だよなぁ。初戦で甲子園民の心をガッチリ掴んだみたいで」

 「こんな観衆の中、動じないレオンも凄いね」

 レオンは無表情で、ピッチャーと相対している。
 相手バッテリーは勝負を避ける事なく、積極的にインコースも攻めてきてるが、ゾーンには入っていない。

 ピクリとも動かないレオンに気押されたのか、4球目が若干甘く入る。
 それを見逃さず、レオンはバットを振り切った。

 「あー微妙に詰まったか」

 「金属なら入ってただろうね」

 それを言っちゃダメよ。木製バットで詰まってもフェンス直撃まで持っていく、高校生がおかしいんだ。
 それにしてもあいつ、スリーボールノーストライクからでも普通に打っていくな。
 一回戦でも打ってたし、狙ってるんだろう。
 大体はストライクを取りに甘く入ってくるからね。

 レオンのフェンス直撃のツーベースで、タイガが一塁から一気にホームまで帰って来て、先制。
 塁上にいるレオンは不満そうな顔をしてるが、一応ベンチに向かってガッツポーズをしている。

 尚もワンアウト二塁で4番の大浦。
 相手ピッチャーも一回戦でホームランを打っていたし、注意はしてたんだろう。
 しかし、身長に騙されたのか、真ん中付近に甘く入ってきたボールを見逃さず、左中間を真っ二つに割るツーベース。

 「流石、うちの打線だな。マジで相手ピッチャーが気の毒だ」

 俺も相手にしたくない。
 レオン、大浦、隼人の並びが極悪すぎる。

 そして、5番の隼人。
 一回戦は、ヒット一本に終わって不完全燃焼だったらしい。
 しかし、この打席は得点圏にランナーがいる。
 打点乞食がそれを取りこぼす訳もなく、インハイのボールを思いっ切り引っ張り、ポール直撃のツーランホームラン。

 「流石。得点圏にランナーがいる時の隼人はレオンよりやばいな」

 「通常の打席でもやってくれたらね…」

 そしたら、一気にレオンも食える程の打者になるんだけどな。
 まだまだ成長の余地はあるって事さ。

 続く清水先輩はセンターの深くまで飛ばしたが、外野が間に合いツーアウト。
 続く打者もファーストゴロに倒れて、一回表がようやく終わった。
 スコアは4-0。うちの打線も負けてないって所を存分に見せれただろう。

 「ってか、4点もリードを頂けるなんて。俺はなんて幸せ者なんでしょう。今日は勝ったな」

 「なんでそうやって、自分からフラグを立てていくの?」

 フラグ程度に俺がやられる訳なかろう。
 何故なら、今日の俺は絶好調だからだ。
 どんな理不尽もねじ伏せてやるぜ。

 俺はルンルン気分で、初の甲子園のマウンドに向かった。
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