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第6章 春到来
第121話 開会式
しおりを挟むいよいよ開会式。
全校集まって準備をしているが、やっぱり俺達は滅茶苦茶目立つ。
「開会式No.1高校は俺達のもんだな」
「そんなのないよ」
他校の選手達に見られているが、俺達は余り気にしない。
東京の時もそうだったしね。
「龍宮以外でも長髪の高校あるじゃん。なんで俺達だけ叩かれてるの?」
少数だが、龍宮以外にもちらほらと長髪の選手を見かける。
流石に染めてまではいないけど。
「態度とか? 染めてるのもあると思うけど」
長髪というより、坊主よりは多少髪があった方が色々と都合が良い筈なんだけどなぁ。
「あれか。ご年配の方々の頭皮が寂しくなってるから嫉妬してんのか。それなら納得だ」
「やめてあげなよ。ハゲをネタは戦争が起こるよ?」
俺も将来が心配だな。ハゲてきたら潔くスキンヘッドにする予定だが。
なんか最後の希望とばかりに、バーコードとか、てっぺんハゲとか、ちょろちょろと残してる方が見苦しいと思うんだ。
「綺麗に行進出来るかな? 一応練習したけど、不安だね」
「お前は本当にあがり症だな。ビシッと決めて度肝を抜かせてやるぐらいの気持ちじゃないと」
いくら高野連に喧嘩売ってても、行進ぐらいはちゃんとやりますよ。
行進に意味があるのかは分からないけど、綺麗に揃ってないと、お客さんも楽しめないだろうし。
開会式が始まり、各高校がどんどんと外野から出て行く。
俺達は真ん中の方で気が楽だな。
「意外と観客が少ないな。満員だと思ってたんだけど。いや、ほぼ満員だから十分なんだけさ」
「右、左、右、左、右、左」
前を歩いてるタイガに話しかけたんだけど、それどころじゃなさそう。
行進を合わせるのに必死みたいだ。
「左、左、真ん中、右、左、右、右」
「右、左、左…あ、あれ? ちょっと! 本当にやめろよ!」
無視されて寂しかったので、俺も口に出して邪魔したら滅茶苦茶怒られた。
かまってちゃんでごめんね。
行進が終わり、長々としてお話。
これ、夏にやったら拷問だよねぇ。
「よーし、終わった! この後の試合見て行く?」
「宿舎で見ようよ。神経使い過ぎて疲れちゃったよ」
タイガがそう言うが、せっかく甲子園来たんだから、生で観戦したりしないの?
みんなを見回してみると、タイガだけじゃなく、他のメンバーも少し疲れてそうだったので、諦めました。
「むむっ。やっぱり応援が凄いな」
センバツが始まって今日で3日目。
ようやく俺達の出番だ。
俺達の試合は第二試合で、試合前練習に出て来たんだけど、前の試合から引き続き応援するのか、外野席にも結構人が入っている。
「おお、龍宮側のアルプスにも人が結構いっぱいだ! なんか感動するなぁ」
吹奏楽部、いや、ブラスバンド部って言うんだっけ? まぁ、どっちでも良いけど。
チアと一緒にしっかり準備してくれている。
「北條先輩もなんだかんだ来てくれたね」
「俺は何故、マネージャーだった先輩と仲良く観戦しに来てるのか気になりますなぁ。確かに、マネージャーは彼氏居るって言ってたけど、北條先輩だったのか? そんな素振り一切なかったのに」
おのれぇ! ゴリラめ! リア充だったのか!
三年マネージャーの高嶺の花子さんだった人が、彼女だったのか!
まさか、旅行ついでに甲子園観戦しに来たのではあるまいな?
「沸々とやる気が出てきたな。この怒り晴らさずにはいられない!」
「パンはベンチスタートだけどね」
うるせぇ! ブルペンから主役を食ってやろうか!!
試合前練習を無難に終わらせて、いよいよ開戦。
龍宮高校先攻でスタートだ。
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