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第5章 甲子園へ
第116話 続・練習試合
しおりを挟む東海大と浦和の試合は2ー4で浦和が勝利した。
同世代の増田が七回一失点の好投。
スライダーとストレートの組み合わせに、東海大がキリキリ舞いだったな。
「七回まで投げたって事は次の試合は出てこないのかな? 残念。投げ合えると思ったのに」
いや、俺は先発じゃなくて途中からだから、そもそも可能性は低かったかもだけどさ。
見知った顔の人間が居ると、はりきりたくなるんだよね。
最後の試合は龍宮と浦和の試合。
先発はカーブマスター金子。
この冬、徹底的に体力アップに取り組んで、更にカーブを磨き上げた模様。
ストレートとツーシームも質が上がってきてるから、ますます効果的に使える様になるだろう。
「今日は一応六回で交代予定だけど、ペース配分はしっかり考えて投げろよ。それこそ完投する気持ちで」
「適度に力を抜いて投げて抑えれる程、俺は良い投手じゃないんだけど」
「お前は十分良い投手だと思うけど」
「豹馬がそれ言っちゃうと嫌味にしかなんないよね。悪気なく言ってそうなのがタチが悪い」
いや、本当に思ってますし。
130キロ後半のストレートを投げれて、多彩なカーブにツーシームだぞ?
他の強豪校でもエース張れるだろうよ。
比較対象が俺とキャプテンしか居ないのがいけないのかな。
大浦は専業じゃないし。
金子はまだまだ伸び代だらけなんだ。
まだもう少し身長が伸びそうという事で負荷の強い練習が出来てないから、体が出来上がってない。
3年になる頃には140キロも当たり前に出せるぐらいにはなってるはずだ。
これは母さんの受け売りだけど。
そんなこんなで試合開始。
金子は力の抜き方ってのが分かってないのか、初回に連打を浴びて失点。
なんとか最小失点で後続を断ち切ったが、うまくいってないみたいだな。
本人も首を傾げてる。
「俺、余計な事言っちゃった?」
「うーん。俺もいずれペース配分を学ばないといけなかったから良いんだけどさ。難しいよね。匙加減が。点を取られてから結局全力で投げちゃったから意味ないし」
「練習試合だからいくらでも試せるさ。センバツまで時間はないけど」
「センバツで俺が完投する様な事ないでしょ」
それはそうかもしれんけど。
また怪我とかあるかもじゃんか。
どれだけ気を付けても怪我する時はするからね。
まっ、徐々に慣れていくしかないよね。
こればっかりは経験も必要だしさ。
その後も毎回ランナーを出し、時には失点して。
六回まで投げて三失点だった。
本人が難しいなりに試行錯誤して、色々試したのは良い事だろう。
納得のいく結果はではなかろうが、これからに期待だね。
「うーん。体をイマイチ使い切れてない感があるんだよね」
「球、全然走ってないんだけど?」
で、金子と交代で俺の出番なんだけど。
この冬で体が大きくなってから、滅茶苦茶調子の良い日と、くそみたいに調子の悪い日がある。
今日はくそ寄りの日だ。
まだちゃんと体を使えてない。全身の力が逃げてる感覚。一応制御出来る範囲で体を作ったつもりなんだけどな。
死後の世界でMAXを経験してしまってるせいだろうか。無意識にそれに合わせに行って絶好調と絶不調を行き来してるんだよ。
俺だけの成長期あるあるだ。いつもはすぐアジャスト出来るんだけど、今回は本格的にトレーニングしたからだろうな。ちょっとズレが大きい。
絶好調の時も無理してる感覚はないから、なんとかそれに合わせて感覚を調整しないと。
「センバツまでには絶対なんとかするから大丈夫。でも今日は打たれるだろうね」
ストレートも140キロ後半は出てるんだけど。
なんかこれじゃない感があるんだよね。
まっ、練習試合だし俺も色々試そうか。
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