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第5章 甲子園へ
第99話 反響
しおりを挟む甲子園出場を決めた翌日。
学校に行くと沢山の生徒にもみくちゃにされた。
試合を見に来てくれた人も結構居たみたいでありがたい限りである。
「そういえば、あれないの? 祝!甲子園出場おめでとう! みたいな垂れ幕」
たまたま一緒になったマリンと喋りながら教室に向かう。
ああ、あれかー。
よく見るやつだよね。
「正確にはまだ決まってないからな。ほぼ確定なだけで。1月下旬ぐらいまで正式発表はないんじゃなかったかな」
99.9%決まりだけど。
いくら俺達が高野連に嫌われてようが、東京大会を制したのに出場出来ないなんて事にはならない。
これで選出外にしたら炎上するどころの騒ぎじゃないしな。
「だからより一層俺達は不祥事には気を付けないといけない訳だ。あいつら俺達を出場させたくない一心で粗探ししてくるかもしれないしな」
だからマリンさん。
18禁の本とか気を付けて下さいね?
「私が書いてる本は、男同士の肉体のぶつけ合いという青春漫画だから大丈夫なの。現に学校で布教活動してもお咎めなしだし」
「言い方よ。布教するなとは言わないさ。もう諦めたし。法に触れるような事はしないでねって話」
「隼人にも言っておかないと。あの子喧嘩っ早いんだから」
「あっちにはウルと一緒に行動するように言ってあります」
ウルは馬鹿だけど、物腰は柔らかいからね。
万が一隼人がキレても宥めてくれるだろう。
彼女が出来てから丸くなったからあんまり心配してないけど。
「お! きたきた! エース様が来たぞー!」
「三波君おめでとー!」
「今のうちにサインもらっておいて良いか?」
教室に到着すると、待ってましたとばかりにクラスメイトに囲まれる。
いやー、ここまで祝福してくれるとやっぱり嬉しいね。
承認欲求も満たされるってもんです。
「わははは! 並べ並べーい! サイン欲しい奴には全員書いてやらー!」
こんな事もあろうかと。
しっかり家でサインの練習もして来たのだよ。
三波豹馬、目立つ場面では抜かり無いのだ。
どうでも良いけど、プロスポーツ選手とか芸能人のサインって何書いてるか分からんくない?
俺にはミミズが踊ってるようにしか見えない。
って事で、俺は分かり易さを重視したサインになっております。
背番号の15もしっかり入れてある。
俺はこれ以外着ける気ないからね。
「おーい。授業始めるから席につけよー。あ、三波、先生にも後で頼めるか?」
「合点承知の助」
結局、サイン会は授業ギリギリまで続き、それどころか他のクラスからもやって来て、放課後まで続いた。
「うははは! 一気に人気者になっちゃったぜ! 決勝頑張って良かったー」
「レオンと大浦も結構群がられてたよ。他はずっと続く程では無かったかな」
「タイガと隼人は彼女持ちだからだろ。粉つけようとしてきた人もかなり多かったし」
もうね。目がギラギラしてるの。
獲物を逃さない肉食獣って感じ。
ちょっと逃げたくなったもんね。
豹の名が泣くぜ…
「よーし、全員揃ってるかー? 昨日の試合はお疲れさん。一息吐きたいのは山々やけど、もう今週末は神宮大会やからなー。ミーティングするでー。今日はそれで解散や」
神宮大会かー。
やる気出ねーなー。
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