未冠の大器のやり直し

Jaja

文字の大きさ
上 下
119 / 171
第5章 甲子園へ

第99話 反響

しおりを挟む


 甲子園出場を決めた翌日。
 学校に行くと沢山の生徒にもみくちゃにされた。
 試合を見に来てくれた人も結構居たみたいでありがたい限りである。

 「そういえば、あれないの? 祝!甲子園出場おめでとう! みたいな垂れ幕」

 たまたま一緒になったマリンと喋りながら教室に向かう。
 ああ、あれかー。
 よく見るやつだよね。

 「正確にはまだ決まってないからな。ほぼ確定なだけで。1月下旬ぐらいまで正式発表はないんじゃなかったかな」

 99.9%決まりだけど。
 いくら俺達が高野連に嫌われてようが、東京大会を制したのに出場出来ないなんて事にはならない。
 これで選出外にしたら炎上するどころの騒ぎじゃないしな。

 「だからより一層俺達は不祥事には気を付けないといけない訳だ。あいつら俺達を出場させたくない一心で粗探ししてくるかもしれないしな」

 だからマリンさん。
 18禁の本とか気を付けて下さいね?
 
 「私が書いてる本は、男同士の肉体のぶつけ合いという青春漫画だから大丈夫なの。現に学校で布教活動してもお咎めなしだし」

 「言い方よ。布教するなとは言わないさ。もう諦めたし。法に触れるような事はしないでねって話」

 「隼人にも言っておかないと。あの子喧嘩っ早いんだから」

 「あっちにはウルと一緒に行動するように言ってあります」

 ウルは馬鹿だけど、物腰は柔らかいからね。
 万が一隼人がキレても宥めてくれるだろう。
 彼女が出来てから丸くなったからあんまり心配してないけど。

 「お! きたきた! エース様が来たぞー!」

 「三波君おめでとー!」

 「今のうちにサインもらっておいて良いか?」

 教室に到着すると、待ってましたとばかりにクラスメイトに囲まれる。
 いやー、ここまで祝福してくれるとやっぱり嬉しいね。
 承認欲求も満たされるってもんです。

 「わははは! 並べ並べーい! サイン欲しい奴には全員書いてやらー!」

 こんな事もあろうかと。
 しっかり家でサインの練習もして来たのだよ。
 三波豹馬、目立つ場面では抜かり無いのだ。

 どうでも良いけど、プロスポーツ選手とか芸能人のサインって何書いてるか分からんくない?
 俺にはミミズが踊ってるようにしか見えない。

 って事で、俺は分かり易さを重視したサインになっております。
 背番号の15もしっかり入れてある。
 俺はこれ以外着ける気ないからね。

 「おーい。授業始めるから席につけよー。あ、三波、先生にも後で頼めるか?」

 「合点承知の助」

 結局、サイン会は授業ギリギリまで続き、それどころか他のクラスからもやって来て、放課後まで続いた。

 「うははは! 一気に人気者になっちゃったぜ! 決勝頑張って良かったー」

 「レオンと大浦も結構群がられてたよ。他はずっと続く程では無かったかな」

 「タイガと隼人は彼女持ちだからだろ。粉つけようとしてきた人もかなり多かったし」

 もうね。目がギラギラしてるの。
 獲物を逃さない肉食獣って感じ。
 ちょっと逃げたくなったもんね。
 豹の名が泣くぜ…

 「よーし、全員揃ってるかー? 昨日の試合はお疲れさん。一息吐きたいのは山々やけど、もう今週末は神宮大会やからなー。ミーティングするでー。今日はそれで解散や」

 神宮大会かー。
 やる気出ねーなー。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

処理中です...