104 / 171
第4章 秋の戦い
第92話 VS三高2
しおりを挟む「はぁー。なんでアンダースローで140キロ近く出てるんですかねぇ」
霊山は大阪の名門シニアでぶいぶい言わせてた、右投げのサブマリンである。
そのくせに、MAX138キロのストレート。
カーブにスライダー、シンカーと変化球も超一級品。
特にシンカーの変化の仕方がかなり気持ち悪い。
「中学の頃は、ストレートはまだ130キロ出てなかった筈なんだけどなぁ」
高校に入ってから10キロ以上球速が伸びてる。
まぁ俺もだけど、アンダースローでこの球速は反則だろう。
先頭バッターのウルは、中学時代に対戦経験はあるがやっぱり苦戦している。
高めに抜けてくるボールを待つしかないっぽいよなぁ。
低めにコントロールされるとかなり打ちにくいらしい。
俺は対戦した事ないから分からんけど。
結局ウルは5球目のカーブを引っ掛けてファーストゴロ。
タイガは初球のストレートを狙い打ち、良い当たりだったが、ショートのファインプレーでギリギリアウト。
そして注目の対決である。
シニアでは霊山からホームランしか打ってない男、浅見レオンである。
初球、アウトコースにボールからストライクになるカーブ。
レオンはそれに手を出し、レフトのスタンドへ。
しかし、ギリギリファールゾーンに切れた。
「うーん。今の狙ってたろ? それを仕留め損ねたって事は、やっぱりスランプなのか。それとも思った以上に霊山が上手なのか」
「本人が不満そうな顔してるから、多分仕留め損ねた方だと思うよ。困ったねぇ」
確かに、納得のいってない顔してるな。
これは今日長引くかもなぁ。
右バッターは、打ちにくいから大浦と隼人も攻略はすぐには出来ないだろうし。
2球目はインローへのストレート。
見逃してストライク。
3球目はアウトコースへシンカー。
これはボールゾーンに外れていった。
4球目、インハイへのストレートをレオンは腕を畳み腰の回転だけで打つ。
打球はライト後方へ。
入ったかなと思ったけど、ライトがフェンスギリギリでジャンピングキャッチ。
この回2度目のファインプレーでチェンジである。
霊山を見ると、かなり顔が引き攣ってたけどホッとしてるな。
「んはー! 入ったと思ったけど! 惜しかったなー」
「微妙に擦ったな。やっぱり微妙にバッティングがズレてる感じがする」
「まあ、後2打席で結果出してくれればいいさ。今日は我慢比べも覚悟してたし。とにかく霊山にだけは絶対負けねぇ」
三高打線にはレオンがいないし、俺の方が有利か。
そんな事を思いながら、二回のマウンドに上がる。
先頭の4番をツーシームで空振り三振。
5番をストレート3つで見逃し三振。
6番はチェンジアップで空振り三振。
三者三振でスパッとスリーアウト。
うーん、肩があったまってきたし、三振取ってるお陰でアドレナリンがギュンギュン出てる。
ふははははは!
どっちが先に折れるか勝負だぜ、霊山。
1
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。


俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる