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第4章 秋の戦い
第90話 決戦前日
しおりを挟む関東一高との試合が終わり、そのまま学校に戻り、ミーティング。
終わった後はレオンの練習に付き合って帰宅した。
フォームチェックしたり、金子に投げてもらったりしてポコポコ打ってたから大丈夫なんじゃないかな。
本人も最後は納得してたし。
「まーた三高か。早実の方が楽で良かったのに」
決勝の相手は、俺達が夏に負けた三高。
リベンジするチャンスがやって来たと思おう。
生意気にも霊山がエースナンバー付けてるし。
2年生エースもいたはずなんだけど、実力で奪い取ったって事だろう。
今日の試合は、決勝を見越して投げてなかったけど明日は先発で投げるだろう。
「俺は連投になるなー。高校入ってから初めてだけど、大丈夫だろうか」
俺は明日も先発する予定。
今日の試合前にも言われてたので、球数を減らしたかったんだけどな。
コールドは有り難かったけど、へぼ審判のせいで思ったよりも球数が増えた。
許すまじ。
そんな俺は今、家にある酸素カプセルに入っている。
100万近い値段がするのに、個人用で置いてあるのはブルジョワとしか言えないね。
父さんも現役時代に使ってたらしいけど、俺用に新しく買ってくれた。
過保護で恵まれた環境にいると改めて思う。
「これさー。効果あるのかね? 気持ちの問題なんじゃないの?」
カプセルで仰向けになりながら独りごちる。
やる事がなくて暇なんだよ。
疲労回復するらしいけどさ、老化を早めるとか、寿命を早めるとかグーグ○先生で見たんだけど。
いつも通りママンのマッサージだけで良かったんではなかろうか。
「ふぁー。眠い。終わった後のマッサージで寝そうだな」
俺が明日全力で投げれる様に両親がバックアップしてくれている。
この期待にはなんとしてでも応えたい。
いつも通り緊張はない。
明日投げたら当分投げなくても良い気持ちで投げる。
神宮大会があるけど、それは金子と大浦に任せよう。
正直、神宮より甲子園の方が重要だし。
「肩と肘の調子はどう?」
酸素カプセルから出た後、ママンにマッサージしてもらいながらお話する。
「うーん。試合が終わった後は軽く熱持ってたけど、今は平気かな。それより足腰の方が心配」
怪我で練習できなかった期間があったせいで、フィジカル面に不安が残る。
試合終わった後、体重2キロ減ってたし。
肩肘より、体力面が心配だな。
「成長期も終わって、ようやく本格的に体を鍛え始めたばっかりだからね。効果が出るのは早くて春よ。冬次第ね」
「まー、明日さえ乗り切ればほとんどオフみたいなもんだし。今の全力を出し切ってくるよ」
「怪我だけは気を付けなさい。豹馬ちゃんはまだ1年なんだから。まだまだチャンスはあるのよ」
そうなんだけどさ。
後一つ勝てば甲子園ってなると、多少は無理したくなるよね。
これが日本人の性なのか。
アマチュアで無理しても良い事ないけど、何故か甲子園には行きたいんだよね。
後、ちゃん付けで呼ぶのはやめて頂きたい。
もう高校生なので、恥ずかしいです。
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