未冠の大器のやり直し

Jaja

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第4章 秋の戦い

第78話 VS秀徳1

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 「いや、やっぱりでかいって。俺よりでかい人久々に見たなあ」

 「巨人じゃん」

 「ハツを捧げよ!」

 「心臓って言ってよ。なんか気が抜ける」

 試合当日。
 実際に見たイライジャの圧力が凄い。
 やっぱり大きいってのはそれだけで武器になるよな。

 「妬ましいっすね。俺もあれぐらい大きかったらもっと人生楽しかったんだろうなって思うっす」

 普段は身長の事を気にしない大浦だけど、規格外には憧れるのな。
 その身長でホームラン連発してる方が俺はロマンがあって良いと思うんだけど。

 「嫌味みたいになるかもだけど、大きいっていうのは不便でもあるんだぞ? 怪我のリスクは跳ね上がるしな」

 「それはわかってるっす。でも今日は絶対打ちたいっすね」

 いつも以上に気合いが入ってる大浦。
 それが気負いにならなきゃいいけど。


 一回表。龍宮高校の攻撃から。
 特攻隊長のウルは一打席目、ボールを見る事と球数を投げさせる事に注力する。
 今日の龍宮の作戦は耐久作戦です。

 「ちょっとまともに前に飛ばせる気がしないね。手、めっちゃ痺れてるし」

 8球粘ったけど、結局ピッチャーゴロに倒れたウルが戻って来てから情報共有する。

 「ほな、金子はバットに当てん方がいいかもしれんな。ピッチングに影響でるやろ」

 確かに。
 根っこで打ったりした時のあれは筆舌にしがたいからな。
 マジで指の感覚が長時間戻らない事がある。

 「まあ金子はともかく、豹馬は気にせんでええやろ。バットに当たらんし」

 なんか聞き捨てならん事を言われた気がする。
 これ、モラハラというやつでは?
 いくら、寛容な俺でも限度ってのがあるぞ?
 なんで、父さんの才能が俺に遺伝しなかったのかね。
 前世でも、もう少し打てた筈なんだけど。

 そんな事を考えてると、タイガが12球も粘った末に四球で出塁した。

 「ナイスセーン!」

 これは大きい。
 レオンの前にランナーが居ると居ないでは、期待値が全然違うからな。

 威風堂々と打席に向かうレオン。
 なんか最近威圧感が半端ないよな。
 高校1年にして風格が出て来てる。

 初球のアウトコースへのストレート。
 レオンはぴくりとも動かず見送って判定はボール。
 嫌な見送り方だな。
 
 2球目はインコースをえぐってくるスライダー。
 レオンは腕を上手く畳んで鋭いスイング。
 芯を食った打球は、ファースト正面の殺人ライナー。
 たまたまグローブを出した所に打球が吸い込まれていった。
 ファーストの選手はあまりの打球の勢いに捕球した後倒れ込む。
 そのまま、一塁ベースをタッチしアウト。
 結果的にダブルプレーになってしまった。

 「うひゃー! ファーストの人大丈夫か? 捕球した方の手、折れたりしてない?」

 俺があんなの捕ったら間違いなく怪我してる。
 幸い、怪我してなさそうだけど顔は青ざめてる。

 「ちっ。微妙に詰まらされた。思った以上に変化球がキレてる」

 打ったレオンは不本意そうだ。
 俺にはジャストミートに見えたけど、詰まってたみたいです。
 詰まってあんな打球打たれるとかたまったもんじゃないね。

 「まあ、初回で20球以上投げさせたし及第点や。切り替えて守ってこい。金子は後先考えんと、全力投球や。あっちと違って、こっちには豹馬が控えてるからな」

 おおお。
 まだ何もしてないのに褒められるとは。
 
 「むふふふ。後ろの事は俺に任せとけーい!」

 「はいはい」

 単純な俺は、さっき馬鹿にされた事も忘れて舞い上がった。
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