未冠の大器のやり直し

Jaja

文字の大きさ
上 下
87 / 171
第4章 秋の戦い

第77話 次の相手

しおりを挟む

 
 「ほな、ミーティング始めるでー」

 あー、眠い。8時間は寝たのにな。
 これも全部ロビカスが悪い。

 「次の相手は秀徳や。ま、普通に強いわな」

 まあ、3回戦も突破すると、強豪校としか当たりませんよね。

 「注意すべきは、4番でエースの若松イライジャ。日本人とアメリカ人のハーフや」

 「え、でかっ」

 「パンより大きくない?」

 秀徳のキープレイヤーは若松イライジャ君。
 名前がとてもかっこいい。
 右投げ右打ち。
 身長が211cmと、俺より10cm以上大きい。
 高校1年の頃には、身長の伸びが止まってたらしく、筋トレもガンガンしてるんだろう。
 俺の針金ボディとは大違いで、しっかり筋肉がついた恵まれた体をしている。

 「今時珍しい、まともなオーバースローで投げてくるんやけど、映像で見ても角度が凄いんや。地面に叩きつける様に投げてきてる」

 どひゃー! すっごい球!
 キャッチャーミットに収まった時の音が凄い。
 球速は150キロ前半しか出てないけど、滅茶苦茶重そう。

 「うわっ。この人、恵まれた体で慢心せず努力もちゃんとするタイプか」

 「天狗になって、ストレートでがしがし押してくるタイプなら御し易かったのにな」

 変化球も一級品ですな。
 カーブ、スライダー、フォーク、シュート。
 基本に忠実って感じがプンプンする。

 「なんでこれで話題になってないんだ?」

 確かに。
 俺も今日聞くまで全然知らなかった。
 こんな投手有名にならない方がおかしいだろ。

 「まあ、怪我やな。中学3年の春にトミージョンして、ひたすらリハビリしてたらしいわ。休んでる間にしっかり体作ったんやろなあ。本格化し始めたのが、今年の秋からって訳や」

 えー、滅茶苦茶厄介じゃん。
 うーん。打ち崩すのに時間が掛かりそう。

 「で、打つ方は完璧なアーチストタイプやな。アッパースイングで、多少ボール動かしても無理矢理持っていけるパワーはあるし、高目が苦手って訳でもない。ミート力はそこそこってとこやな」

 これ、金子と相性最悪だろ。
 可哀想に。

 「んで、イライジャのワンマンチームみたいに見えるけど、他のメンバーの平均値も高い。一昨年ぐらいに練習を見に行った事あるけど、だいぶ先進的な練習はしてたな」

 なるほどなるほど。
 イライジャ君も良い指導者に巡り会えて、ここまでの怪物君に育った訳だ。

 「まあ、こんなとこやな。正直、金子にはきつい相手になるやろうから、豹馬は早めに準備しといてくれ。バッター陣は、今から対策練習やな。マウンドに土を盛って、擬似的にイライジャを体験させてみるけど、実際相対してみんと分からん事もあるからなあ。こればっかりは頑張ってくれとしか言えんわ」

 うーむ。
 次の戦いは一筋縄ではいかなそうだなー。
 
 
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

わたしの家の“変わったルール”

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:937pt お気に入り:42

同居離婚はじめました

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:211

カラーメモリー『Re・MAKECOLAR』

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:618pt お気に入り:7

深きダンジョンの奥底より

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:228pt お気に入り:24

刺殺からはじまる侯爵令嬢、カロリナだってがんばります!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:33

ナノ魔人

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:3

愛さん

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

処理中です...