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第3章 秋までの道程
第62話 甲子園観戦
しおりを挟む翌日の朝の9時頃。
レオンとウルが一緒に我が家にやってきた。
「いらっしゃーい」
「お邪魔しまーす!」
「お邪魔する」
「コンビニでお菓子やらジュースやら買ってきたよ!」
「おおー! さんきゅ。助かるわ」
さすが、モテ始めてる男は気の利き方違うね。
それと残念ながら、渚ちゃんは妹の神奈と出掛けるらしく今日はいない。
非常に残念です。
明日と明後日は来てくれるらしいので気合いを入れておもてなししようと思います。
気を取り直して、今日は本来の目的である甲子園である。
「今日まで一回戦か。有名所は残ってるのか?」
「それが都合の良いことに残ってるんだよね、三高が」
「おおー! 丁度いいね!」
いやー、霊山が先に甲子園の土を踏むってなんか許せないよね。
俺より先に初勝利とかされたら、嫉妬で狂っちゃいそう。
「相手は?」
「奈良の天璃高校」
「僕でも知ってる有名校じゃん」
そうなんだよね。
一回戦のカードの中では1番面白いんじゃないかな。
「って事で試合始まるまでは、今やってる甲子園見るかこれまでのハイライトみるか。俺はゲームするけど」
「試合が始まる前に起こしてくれ」
「僕もゲームしよーっと!」
レオンは睡眠、俺とウルはモンスターバウンドをして時間潰した。
「やっぱり先発はエース同士か。初戦から冒険はしないよね」
三高はエースの菊池。
天璃もエースの坂上。
「へー。この坂上って2年なんだ。MAXは速くないけどコントロールがビタビタだな。菊池は相変わらずスピード狂と」
「うーん、なんか普通に三高が勝ちそうだよね」
「そうか? 天璃のピッチャーも相当厄介そうだが」
「僕からしたら、やっぱり分かりやすいスピードは脅威だよ」
「ふむん。俺はコントロールであちこち散らしてくる方が嫌いだな」
なんだか、打てる奴らの会話って感じ。
蚊帳の外であります。
だって、俺どっちも打てそうにないもんね。
試合は終盤の七回
スコアは1ー0と三高がリード。
ここで試合が大きく動く。
先頭バッターにこの日初めて四球を出した坂上はその後に連続ヒットでノーアウト満塁。
三高は勝負に出たのか、打者菊池の所で代打。
「あ、この人。僕達との試合でも延長で代打で出て来てタイムリー打った人だ」
「ああ。とにかくミートが上手い印象だったな。金子のカーブを簡単に拾ってたからな」
へぇー。なんでスタメンじゃないのかな? 怪我してるのか、守備が下手くそなのか。
そんな事を思ってると右中間に抜けて行くタイムリーツーベース。
ランナーは、全員帰り4ー0だ。
その後も、2点追加し攻撃が終わり、八回。
「げぇ!」
マウンドには霊山が上がった。
ちくしょう。甲子園マウンド羨ましい。
先越されちゃった。
負けない程度に、点取られてくれないかな。
負けたら後味悪いし、俺の心の安寧の為にも。
「相変わらず気持ち悪い球投げるなあ」
「俺からしたら、パンの球の方が気持ち悪いが」
「失礼な!」
俺の心の願いは届く事なく、2イニングをパーフェクトに抑えた霊山。
「なんか中学からより一層レベルアップしてるな」
「直接見てみないとわからんが、1打席は凡退してしまうかもしれんな」
あーやだやだ。
これから、甲子園目指そうと思ったらあれが立ち塞がる訳でしょ?
俺も早く怪我を治してレベルアップせねば、霊山に置いて行かれる。
それだけは勘弁してほしい。
あいつには負けたくないね。
そこ、現時点で負けてると言わない。
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