未冠の大器のやり直し

Jaja

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第2章 夏の始まり

第48話 最後のミーティング

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 試合が終わった後、みんなが軽く病院に来てくれた。
 目を真っ赤にしてたから泣いてたのはモロバレっぽかったけど。
 みんなと入れ替わりで、三高の監督と俺と接触した選手とその両親が来て、土下座する勢いで謝ってきた。
 勿論、悔しい気持ちもあるけど本当に仕方ない。
 お互い次から気をつけようね、と言ってお別れした。




 俺はあの後、病院から家に戻りすぐに寝た。
 そして翌日。
 松葉杖片手に外に出ると家の前にはマスコミが群がっていた。
 どうやら、昨日の試合で怪我をさせてしまった2選手が非難されてるらしい。
 馬鹿じゃねえの?
 どうして無関係の人が責めれるんですかねぇ。
 その権利があるのは、俺と三井先輩だけだし、そもそも試合中の事故。責めれる訳ないじゃんね。
 いつ、俺が加害者側になるかもわからんのに。

 「どんな時でも、スポーツをやってる以上怪我をするリスクはある。それがたまたま、接触プレーだっただけ。それを、外野の人間がぐちぐちと非難するのはフェアじゃない。一生懸命プレーした選手たちに失礼だと思いますね。批判してる人はもうスポーツを見るのやめたらどうですか?」

 無視して行こうと思ったのに、しつこいからトゲのある感じで対応してしまった。
 だってしつこいんだもん。
 大体、昨日怪我して試合も負けた高校生相手にそんな事聞いてくんなよ。
 まだ未成年やぞ?
 大人な対応出来るわけないやん。
 それで今日の事をまた記事にして叩くと。
 ほんと、マスコミってクズだわ。
 あ、俺、前世はおっさんだった。
 どうもすみません。
 怪我してるし、学校向かう途中にマスコミに突撃されても鬱陶しいので父さんに車を出してもらう。
 マスコミに囲まれながら行ってるのでセレブになった気分。

 学校にもマスコミがいたが、敷地内に入ると静かなもんである。
 他の部活の人達に話しかけられたりしたが、無難に対応しつつ部室に向かう。

 「おはざーす」

 気の抜けた挨拶をしながら部室に入るとほとんどの人がもう集合していた。

 「三井先輩! 足大丈夫っすか?」

 「豹馬こそ。病院で聞いてびっくりしたよ。大丈夫なのか?」

 その中には、足をギプスで巻いた三井先輩もいた。
 三井先輩は足首の骨折で経過次第だが早くて全治2ヶ月と言われている。
 そこからリハビリしたり落とした筋肉を戻したりすると秋大会は間に合わないかもしれない。
 俺は肋骨にヒビが入ってるのと、足首辺りを4針縫っただけなので、全治は1ヶ月程。
 成長痛が治ったと思ったらまた怪我。
 やれやれだぜ。
 まぁ落ちたテンションを上げる為の充電期間だと思っておこう。

 「よーし、全員集まったな? 昨日の試合お疲れ様でした」

 今日で引退になるキャプテンが挨拶をする。
 あぁ。このゴリラも見納めか。
 部活以外では会えるけどやっぱり悲しいな。

 「試合自体は、不幸な事もあり残念な結果に終わったが…俺はそれなりにやり切った感があるな。延長戦までもつれ込んだ事もあるだろうが、最後の方は勝敗関係なく、野球を楽しんでた様に思う」

 キャプテンが周りを見渡しながら語りかける。

 「初めて、ベスト4までいって満足してしまったのかもしれんな。甲子園に行きたかったのは嘘じゃないが、負けたあの時。不思議と悔しくはなかったんだ」

 「だが、後輩達には是非とも甲子園に行ってほしい。今まで以上に練習、勉強を頑張ってくれ。で、新キャプテンは三井。人をまとめるのは大変だと思うが周りに助けてもらいながら少しずつ慣れていけ」

 「はい、新しくキャプテンになった三井です。当分練習に参加出来ませんがよろしくお願いします」

 三井先輩は松葉杖を使いながら立ち上がり皆の前で挨拶をする。
 2年生エースで同期や後輩から慕われてるので妥当な人選だろう。
 そして、様々な引き継ぎをしたあと、三年生達は部室を去っていった。

 俺はそれを追いかけて、松葉杖片手に部活を飛び出した。
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