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第2章 夏の始まり
第34話 試合前日
しおりを挟む7月も下旬に入り、夏休みに入った。
野球が今年勝ち進んでいる事もあり次の試合はかなりの人数が観に来てくれるらしい。
目立つのが大好きな俺である。
ラノベのやれやれ系主人公みたいな目立ちたくはなかったんだかとか寒気がする。
俺は目立って賞賛されたいし、チヤホヤされたい。
俗物だもの。
だから試合を明日に控えた前日練習でブルペンで軽く調整してるんだが、わりとピンチである。
「やべぇ。これはやべぇよ。制御出来ん」
体の出力が上がり過ぎてるのか、軽く投げてもボールを制御出来ず、コントロールがくそ。
自画自賛出来るレベルでコマンド能力には自信があったのに。
「タイガくーんたすけてー」
「いや、俺にどうしろと」
いやぁ。このままだと肘の靱帯も怪しい。
なんでこんな急に出力が上がった?
成長痛終わったから?
訳がわからん。
なんで膝の心配が終わったら肘なんだ。
ようやっと筋トレが出来る様になったとはいえ俺はまだ筋肉の鎧を纏ってないのである。
どこぞのキャプテンゴリラと違って棒人間なんです。
ママンには針金と最近呼ばれてます。
そんな状態で出力を上げられてもですね。
肘の靱帯が耐えれるか心配なのです。
その意識があるからか肘を庇う様に投げてる気がする。
フォームチェックしてみても些細な差なんだけど。
これは相当力抜いて投げないとコントロール出来ない。
「明日三井先輩が先発の予定だけど、変えてもらって初回からブルペン待機してもらおう。俺が先発で投げて、どうしようも無かったら即交代で三井先輩に投げ切ってもらう。先輩には悪いけど後ろに控えてもらってた方がいいだろ」
後から出て来て打たれるより、俺の火消しをしてもらう。
もしくは、1人で投げ切ってもらうか。
「とりあえずどこまで力抜いて投げたら制御出来るのか確かめてからじゃないと判断出来ないよ」
全力投球してみた弊害かな?
体がここまで出せると勘違いしてしまったかも?
これはやらかし案件である。
大会中に調子に乗ってしまった。
「うーん。この辺が限界かな?出力が上がってる分、力を抜いて投げても悪くないボールは来てるけどレオンぐらいのレベルになると通用しないね。どうする?」
「先発で投げる。なんとか五回1失点ぐらいでまとめたい。後は三井先輩にお願いって感じで。幸い明日の対戦相手の松美林は目立ったバッターはいるけどホームランバッターじゃないし」
明日の松美林は機動力が武器でとにかく出塁率がべらぼうに高い。
選球眼が良く150キロ超えのストレートでも平気でカットしてくるので四球が多い。
塁にでたらかなり掻き回してくるので厄介極まりない。
そして今大会、打率6割超えのスピードスターの白馬君。
ウルの上位互換みたいな人がいる。
これは明日相当忙しくなるぞーと思いながら俺は三井先輩と監督に明日の先発交代をお願いしに行くのであった。
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