未冠の大器のやり直し

Jaja

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第1章 高校生活

第14話 GW合宿

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 今日からGW。3泊4日で学校で合宿である。

 「ふふっ。男達が、一つ屋根の下で何日も。何も起きない訳なく…」

 何も起きねえし、起こさねぇよ。

 腐ってる奴はさておき。
 この合宿は前時代に戻った様に徹底的に体をいじめるらしい。
 朝から夕方までひたすら練習。
 そして夜は勉強である。
 休みが明けたらすぐ中間テストがあるので。
 最終日はダブルヘッダーで練習試合を組んでいる。
 体が全然動かない状態での試合を体験し、コンディションが万全でない時の試合の仕方を経験するのが目的だ。

 
 午前はひたすらアメリカンノックである。
 監督曰く、守備の荒さがまだまだ目立つとの事でぶっ倒れるまでひたすらやるらしい。
 午後はノックの打ち過ぎ監督がダウンしたので喜んでいたら、おんぶで坂道ダッシュやらベースランニングやら、ランダンプレーの確認やら。
 ひたすらに基礎的な事をやる。
 日が落ちてくると、ナイター設備もあるので、トスバッティング、ティーバッティング等を丁寧に行う。
 ここで雑にやってバッティングフォームを崩してもロクな事にならんからな。

 「ちゃらーん! 秘密兵器を家から持ってきましたー! GET LINE BATちゃんでーす!」

 俺は家から持って来た父さんの私物を披露する。

 GET LINE BATとはバットのミートする所が平べったくなってるミート力が向上すると言われているバットである。
 ボールのラインを捉えて打てれば綺麗に飛ぶが、手首をこねたりするとボールが下に飛ぶので、打った打感ですぐわかる。
 真芯で捉えると結構気持ちいいので俺はオススメである。
 マシンで使ったりは出来ないが是非とも活用してほしい。

 夜の8時で練習を切り上げると、そこからは寮でお勉強タイムである。

 「はーい! 馬鹿は集まって下さーい。寺子屋三波やりますよー! 上級生も参加可でーす!」

 「豹馬って俺達の所の勉強も分かるのか?」

 キャプテンが不思議そうに聞いてくるが、当たり前である。
 これでも大学出てるので。
 教科書やらを読み直せば高校レベルはなんとかなる。

 「いつも言ってるけど、パンが頭良いってのはなんか違うよな」

 「「「わかるわかる」」」

 おめーらもう教えてやんないぞ。

 夜の10時まで勉強し、1時間の自由時間。
 ソシャゲしたら下世話な話をしたりと高校生らしい会話をする。

 「最近、俺の好きなタイプはギャルじゃないんじゃね? って思ってきた」

 「パンはそれずっと言ってるよな」

 「ギャルはAVだから良いんだと最近思ってきてな」

 「ずっと彼女が欲しいって言ってる癖に彼女いた事ないよね?」

 「なんかこう、ビビっとくる人がいねぇんだよ」

 
 そんなこんなで夜は更けてゆく。
 男子高校生なんてこんなもんだ。

 合宿最終日、茨城と群馬からわざわざお越し頂き練習試合である。
 どちらも、県ベスト4と相手に不足はない。
 ないのだが。

 「体が重すぎる。今日は2.3点取られるの覚悟ですわ。球が全然走らん」

 試合前の投球練習で今日は厳しいと認識する。
 
 「足腰がガクガクする。全然踏ん張りがきかん。五回持つかな」

 俺の今日の責任回数は五回までで、六回からは金子と交代する。

 案の定、五回までに2点取られて交代。
 金子は4点取られて、計6失点。
 試合自体は6ー6の引き分けで終わったが、なかなかにきつかった。
 因みに、珍しく俺はホームランを打った。

 2試合目は茨城と群馬のチームが試合をしてたので休憩。
 まぁ、俺はもう今日出番ないけど。

 そして迎えた本日最終戦。
 先発は三井先輩で五回3失点。六回からは吉見先輩が投げて、4失点。
 試合も5ー7と負けてしまった。

 俺が入学してから初めての敗北。
 合宿最後だし、勝って気持ち良く終わりたかったけどこればっかりは仕方ない。
 最近、みんなも勝ち続きで慢心もあったみたいだし、これも良い経験になるんじゃないかな。
 え? お前はいつも天狗だろって? 
 俺は良いんだよ。
 レオンに定期的に鼻折ってもらってんだから。


 「レオーン! 合宿最後に打席勝負やってこうぜー!」



 5打数3安打のボロ負けで初の高校合宿を終えましたとさ。
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