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第五章 魔王討伐
第162話 NTR
しおりを挟む「ちきちき! 第ふんにゃろ回! レト・ノックス眷属会議~!」
アギャインが新たに眷属に加わり、他の眷属との顔合わせが済んだ。
比較的友好な関係を結べてるようでなにより。
って事で、これからどうするかを決める為に、恒例の眷属会議を開催した訳なんだけど。
「クカカカカ! 中々 悪クナイノォ!」
「違和感とかはないんだぞ? 可動域に問題は?」
「元カラ アッタ 我ノ 腕ノ様ニ 使エルゾイ」
「お爺ちゃん、魔法について教えてほしいの」
「オ嬢ハ ソノ年齢デ 驚ク程 魔法ニ ツイテ 分カッテオル。コノ 老耄ノ 知識ナラ ナンデモ 教エヨウ」
「………(コソコソ)」
「ムッ? 我モ オ主ノ 体ハ 気ニナッテ イタノジャ。キメラトナ? 実ニ 興味深イ」
ウェイン、テレサ、ヴェガが新しく加入したアギャインに懐きまくっている。
ウェインは実験対象として見てる感じだけど、アギャインはそれを気にする事なく応対している。
テレサはまだ分かる。魔法大好きだし、あれだけ使いこなしてたアギャインには興味深々だろう。
自分が今まで書いてきたレポートを抱えて、早速楽しそうに意見交換をしている。
ヴェガは新しく増えた腕を羨望の目で見ている。
どうやら自分にも生やしてほしいらしい。
俺には未だに声を聞かせてくれないのに、アギャインには腕の使用感とかをコソコソと聞いている。
「ふむ。これがNTRか」
「思ったよりも溶け込むのが早かったですね」
俺の眷属会議開催宣言は聞こえてるんだろうか。
君達の主人が無視されてますよーって。
拗ねたら面倒だぞーって。
「爺ちゃんの骨の強度は凄いんだぞ! アダマンタイトよりも硬いんだぞ!」
「クカカカカ! コレデモ 長ク 生キテルデナ。スケルトン種ハ 年月ガ 経ツニツレテ 骨ノ 強度ガ ドンドン 上ガッテ イクノジャヨ」
「お爺ちゃんの魔力探知は異常なの。スキルも無しにどうやってるのか教えてほしいの」
「魔力探知トハ 地道ナ 努力ノ 繰リ返シヨ。今ヨリモ 更ニ 魔力操作ノ 精密サガ 必要ニ ナルデナ」
「………(コソコソ)」
「ホウ! 足ヲ 増ヤシタイノカ。多脚ハ 接近戦デノ 安定感ガ 良クナルデナ。中々良イ 選択 ジャト思ウゾ」
聖徳太子かよ。三人にまとめて喋りかけられても無難に応対してるじゃん。あれ、実は作り話なんだっけ? よく覚えてないや。
優秀すぎる骨だ。流石魔王なだけあるね。
「よし。俺達は麻雀でもするか」
「諦めましたね」
「キュン」
「ゴギャギャ」
ちょびっと寂しい気持ちがあるけど、楽しそうに会話してるのを邪魔するのも悪いし。
特に子供組がお爺ちゃんに甘える感じでグイグイ行ってるのが個人的にはほっこりする。
アギャインも孫を甘やかす感じになってるし。
「さーて。今日も妲己ちゃんから搾り取ってやりますかね」
「キュン!」
尻尾八本で後頭部を叩かれました。
八連撃です。とても痛かったです。まる。
☆★☆★☆★
「魔王領域の近隣国は被害甚大!」
「街中に急に魔法が飛び出してくる模様!」
「既に王都が壊滅してる所もあるみたいです!」
魔王対魔王の戦闘が終わり、新たに眷属になったアギャインと親交を深めていた頃。
人間の国はパニックに陥っていた。
魔王の領域が近いという事もあり、神聖王国の援助も手厚く、それなりに栄えていた国だったのだが、原因不明の魔法の嵐にどう対応したら良いのか全く分かっていなかった。
「い、一体何が起こっておるのだ…」
「教会から本国に早馬を出しましたが、正直援軍を出してもらっても意味がないのではと思ってしまいますな…」
近隣国の一つの王城で。
主だった重臣と教会の大司教を交えて、緊急会議を開いていた。
魔法の雨は一日で収まったらしいが、第二波があるかも分からない。
前代未聞な事で会議は全く進まなかった。
「誰かが魔王領域で魔王に手を出したのでしょうか? その報復として、魔王が魔法を撃ってきたとか?」
「エンペラー・リッチは魔法が得意だった筈。可能性はあるな」
「魔法だけでは飽き足らず、アンデッドの大軍がやってくるかもしれんぞ!!」
辺境の街に魔王領域に踏み入った馬鹿はいないか確認したい所なのだが、既に壊滅している。
事の真相はノリで特攻を仕掛けたなんちゃって魔王の仕業なのだが、それは人間サイドには分からない。
「神聖王国の方から竜王に話を聞いてもらう事は出来んのだろうか」
会議は既に何日も行われている。
憔悴しきった国王が会議に参加していた大司教を縋る様な目で見つめる。
「本国の決定次第ですので、私からはなんとも言えませぬ。一応手紙を出していますが、この国から本国はかなりの距離がありますので…。本国に手紙が届いてから、竜王に話を聞いて返信となりますと、半年は時間がかかるかと思われます」
「半年か…。それまで我が国が耐えられれば良いのだが…。難民も大挙して王都に向かってきておるようだしの」
魔法で破壊された街の難民が既に王都に向かってきている。
受け入れ態勢は整えているが、それでも収容し切れるかどうか分からない。
王都では食料難が予想されていて、物価の高騰も起こり始めている。
「その旨も本国には伝えてあります。手紙の返事は時間がかかるやもしれませんが、物資の支援は間違いなくしてくれるでしょう」
「すまぬな。教会にはいつも助けられておる」
「それが我々の教義ですので」
結局、この王国は少しの餓死者は出たものの、教会や神聖王国の支援で耐え凌ぎ、壊滅の危機は乗り越えた。
そしてようやく落ち着いてきた頃に、今回の騒動の真相が分かり、議会はまた紛糾する事になった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
魔王編終了でーす。
前回の迷宮編の反省を活かして、なるべくだれないようにまとめてみたんですが、いかがだったでしょうか?
駆け足気味すぎて、説明が雑になった所もあるんじゃないかと、書き終わってから不安になっていますw
次章はどんな話にしようか未だに迷っています。
とりあえず腰を落ち着ける場所を探す感じになるんじゃないかなと。
一気に時間を飛ばす事も考えたんですが、ここ最近戦いばかりで遊びがないかなぁと思いまして。
軽く眷属一行の日常風景を入れれたらなぁと思ってはいます。
その後に国作りですかね。
その時は一気に時間を飛ばすかもしれません。
国作りを時間かけてやるのも面白いかもですが…
展開次第ですね。
作者は他にも作品を更新してますので、良かったらご覧下さーい。
ではではまた次章で~。
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