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第五章 魔王討伐
第161話 魔王で実験
しおりを挟む「こっからどうするかね」
竜王が飛び立って行った。
結局何しに来たのかは良く分からない。俺とアギャインの戦いを止めに来たんだろうけど、結局来たのは終わってからだし。
魔王の動向が分かるって言っても、そこまで正確じゃないのかね。
「神の話をちょろっと聞けたのは良かったな」
上位存在は相変わらず謎だけど。
やばい存在なんだろうなってのは良く分かった。
二柱の神には親しげだったのに、上位存在には様を付けてたからな。
子供の方が敬われてるというか、恐れられてる感じだったのは奇妙だけど。
「アギャイーン。生きてるのかー?」
何から手を付けたものかと思ったが、とりあえずボロ雑巾になっているアギャインの安否確認。
俺と激闘を繰り広げた奴が、竜王にかかればこうなるんだもんな。たまんねぇよ。
「返事がない。ただの屍のようだ」
本当に屍ですし。骨ですし。
いや、魂視で見たら生きてるのは分かってるんだけど。気絶してるとかそんな感じなんだろうかね。
「むふっ。ついでに眷属に出来るか試してみよう」
気を失ってるなら都合が良い。
色々説得して、眷属にしてやろうと思ってたけど手間が省けた。
アギャインを眷属にすると、人手不足が一気に解消されるんだよね。アンデッドを生み出せる訳だし。
「問題は骨にどうやって血を飲ませるかって事だな」
「おや? 竜王は居なくなったんですか?」
「あー! 素材が欲しかったんだぞ!」
影からグレースとウェインが出てきた。
グレースは辺りを見回して、竜王が居なくなってる事に驚き、ウェインは竜王に素材をねだろうとしていたらしい。
こいつ、怖いもん無しかよ。
「ちょろっと話をして帰って行ったな。これからの予定がちょっと変更になる話をされちゃったぜ」
「予定ですか? 魔王戦が終われば適当に国を滅ぼしに行くみたいな話でしたよね?」
「レト様! あれは生きてるんだぞ? 死んでるなら新しいキメラの素材にしたいんだぞ!」
その予定が変更になっちゃったんだよ。
上位存在に好きにしたら良いとは言われてるものの、あの竜王にお願いされちゃいますとね。
無視したら殺されちゃいそうだし。まだまだ異世界を楽しみたい俺からすると少し困る。
程々にって話だし、数を調整しながら殺す事にしました。人間牧場本格始動だな。
「って事でこれからどうするかも決めないと。後、ウェインはあれを素材にするのはやめてね。一応生きてるから」
「生きてるんだぞ? 全く動かないんだぞ?」
そこらにあった木の棒で、アギャインをツンツンしてるウェイン。
マジでこいつ怖いもん無しじゃん。
「この魔王はどうするんですか?」
「色々と便利そうだし、話をしてみたら面白かったから眷属にしようとしてるんだけど」
ジャンプ式戦力補充システム。
敵だった強者が味方になる事をこう呼ぶんだけど、その方法が分からん。
「実験! 実験してみるんだぞ!」
すまぬな、アギャイン。
こうなったウェインは止められんのだ。
魔王を実験出来るという数少ない機会をこのマッドが見逃す訳ないんだよなぁ。
「ウ…ウム…?」
「あ、起きた」
「次はこの部分の骨の強度実験を--え!? 起きたんだぞ!?」
眷属には出来た。時間はかかったけど。
とりあえず口の中に血を放り込んでみたんだけど、案の定飲めそうな雰囲気ではなかった。
だからひたすら骨に血をかけ続けてみたら、眷属に出来た。
骨そのものに血管が通ったみたいに、若干気持ち悪い感じにはなっちゃったけど。
それで実験が終わりになれば良かったんだけど。
この骨に【再生魔法】をかけたら再生する事が分かったウェインが暴走。
強度はどれくらいなのかとか、再生した骨は切り離した骨と強度は一緒なのかとか。
部位毎の強度の確認だとか、逆に切り離した骨を再接合して部位を増やす事は出来るのかとか。
アギャインが気を失ってるのを良い事に、自分の欲望を満たす為に実験しまくった。
目をギンギンにさせて、更なる実験をしようとしてたら、とうとう目を覚ましてしまったという訳だ。
「ム…。ナンダ コノ感覚ハ…」
「おはよう。気分はどう?」
ウェインはアギャインが起きて、慌てて影に避難した。あいつ、ビビってやがるな。意識ない間は好き放題やってたくせに。
「オオッ。コレハ レト様! ン? レト様?」
目覚めたアギャインは自分の意識にかなり戸惑ってる様子。
違和感バリバリだろうな。なんか急に俺の事を主人と思い始めてるんだから。
「とりあえず説明しよう」
首を傾げて不思議に思ってるアギャインに眷属化についての説明をする。
話を聞いていたアギャインは愉快そうに笑い、あっさりと受け入れた。
「クカカカカ! 我ハ 負ケタ 立場ヨ! 下僕ニ ナルノモ ヤブサカデハナイ」
寝てる間に眷属化したのは怒ってない模様。
器でかすぎかよ。まぁ、怒られてもどうしようもないが。
「シテ 今ノ 説明ヲ 聞イテモ 分カラヌ事ガ アルノジャガ」
眷属化については納得した。
それでも腑に落ちない事があるらしい。
まぁ、大方予想はつくんだけど。
「何故 我ノ 腕ガ 四本ニ ナッテオルノジャロウカ」
それはレト君の賢い頭を持ってしても分かりませんな。眷属になったら腕が増えるんじゃね?
知らんけど。後でウェインと話してみたら、何か分かるかもしれません。俺は知らんけどな。
ノリノリで腕を増やしたりしたのに付き合った事実はありませんので悪しからず。
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