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第五章 魔王討伐
第159話 竜王とお話
しおりを挟むとりあえず俺だけ影から出て周りを見てびっくりした。更地が更に広がっている。
そして、アギャインが転がっている。
なんか寝てる時にうるさいなとは思ってたんだけど、こいつら戦ってたらしい。
アギャインは俺と戦った後で、既に瀕死だったと思うんだけど。
『アギャちゃんが喧嘩売ってきたからさぁ! 俺ちゃんも仕方なく、そう仕方なく応戦したって感じ? まぁ? 俺ちゃんにかかれば骨畜生なんて一捻りってやつよ! にゃはははは!』
朝からうるさい。こいつのテンションは一体なんなんだ。アギャインが嫌う理由が良く分かるぜ。
「俺になんか用でもあるわけ? こっちにはないからもうお帰りして頂いても結構ですよ」
出来れば1000年ぐらいは会いたくない。
勝てないし。自分より強い奴が目の前にいるのは落ち着かないんだよね。早く消えて欲しい。
『んまっ! レト君はつれないね! せっかく遠路遥々飛んで来たってのにさ! 同じ魔王同士親交を深めるべきだと俺ちゃんは進言しちゃうよ!』
同じ魔王同士ねぇ。いくら俺でもそれは恥ずかしくて言えないよね。格が違いすぎる。世界ではこれと同格に見られてるって事だろ? そりゃ、魔王には誰も寄りつきませんわ。
「ってか、なんで名前知ってんの? なんか噂では魔王の動向が分かるとか、それを人間に教えてるとか聞いてるけど? もしかして人間が好きな感じ?」
それなら俺とは相容れないけど。人間は玩具として見ているので。後は偶に眷属候補。
『グイグイ~! レト君グイグイ来るね~! 良いよ良いよ! 俺ちゃん、答えれる事は答えちゃう! 他の魔王連中とは違うね! あいつらはとりあえず喧嘩売ってくるから! そこのアギャちゃんみたいにね!』
ピクリとも動かない骨。あれ、生きてるんだろうか。いや、アンデッドだから死んでは居るんだろうけど。あれだけ苦労したアギャインがボロ雑巾の様にやられてるのは、なんだか心にくるものがあるよね。自分との差をはっきり見せつけられてる感じ。
『まず名前ね! これは俺ちゃんの能力としか言い様がないかな! レト君も似た様な感じの異能は持ってるでしょ? そんな感じ!』
鑑定的な能力って事? 俺の専売特許だと思ってたのに。こいつも出来やがるのかよ。そして俺の能力構成もバレてるっぽいと。あーやだやだ。鑑定で覗かれるって、こんな気持ちなのかよ。いつも勝手に覗いてすみませんね。やめる気はありませんが。
『魔王の動向が分かるのも俺ちゃんの能力の一つかな! 便利だよ~! こうして会う事が出来ると、自分の縄張りにいても念話を飛ばしたりも出来るからね! 偶に話し相手になってくれると嬉しいな! 他のみんなは基本的に無視だから!』
話し相手は却下させてもらうけど。こんなうるさい奴と喋ってられない。
俺は落ち着いたクールでダンディズムな魔王を目指しているので。
え? 俺と竜王は似た様なもんだって? お前ら名誉毀損で訴えてやろうか。
『えーっと、次の質問はなんだっけ? …あぁ! 人間に居場所を教えてる問題ね! これは下手に魔王を突っついて被害を出さないようにするためだよ! 昔はひどかったんだから…』
遠い目をしながら語る竜王。
こいつの昔ってどれくらい昔なんだろ。想像したくもない。俺はなんでこいつが人間に被害が出ないようにしてるのかが分からないが。
『あーそれね。最後の質問と被るし答えちゃうけど。俺ちゃん、お偉いさんから人間の管理を任されてるのね。別に人間が好きとかそんなんじゃないんだ。正直、どうでも良い。仕事だから減り過ぎないようにしてるってだけなのさ』
ほえー。なるほど。仕事とかあるんだ。
ん? って事は俺にもある感じ?
『んにゃ。仕事があるのは俺ちゃんだけだね! なんたって出来る魔王ですから! 偶に寝過ぎて気付いたら国が増えたり減ったりしてるけど! まぁ、人間の数はあんまり変わってないならOKって事で!』
こいつ適当だな。まぁ、俺には関係ないからどうでも良いけど。
とりあえずなんで人間が弱いのに、今も生存してるのかは分かった。
竜王に守られてた訳だ。他の魔王とも面識がある風に言ってたし、なるべく人間を殺し過ぎないようにとでも忠告してるんだろう。
そりゃ、こんな奴に言われたら縄張りで大人しくしておくしかないよなぁ。
『って事で、レト君にもなるべく人殺しは控えてほしいわけ! もう既に結構やっちゃってるでしょ? 100年に一回とかなら、国の二つ三つ潰しても構わないけど、頻繁にちょっかいかけられると、俺ちゃんが困っちゃうんだよね! テムっちにお願いされた仕事だし、俺ちゃんはしっかりやり遂げたいわけよ! 暇つぶしにもなるしね!』
えぇー。俺の楽しみなんだが? 月一で都市一つとかはダメ? ダメですか。
えぇ。つまんなくなるなぁ。これは本格的に国作りでもしろって啓示されてるのやもしれぬ。
国を作ったら、そりゃ戦争があるわけで。
戦争になったら、もう人を殺さないと仕方ない訳だ。
うんうん。完璧な理論武装だ。
よし。適当に国を作って戦争しよう!
「ん? テムっちって誰?」
『この世界の神の一柱じゃーん! レト君勉強不足だぞー?』
「あぁ。テムテン様とアイシュ様だっけ? 夫婦神なんだよな、確か」
『そそ! 後はもう一人お二方の子供も神として存在してるよー! これは神聖王国の人間も知らないけど! ※※※※様って、レト君は知ってるよね? 名付けしてもらってるくらいだし?』
そんな気軽に爆弾情報投げないでくれますかね。
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