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第五章 魔王討伐

第155話 眷属達の戦い

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 ☆★☆★☆★

 「ゴギャ!」

 「面妖ナ」

 アシュラとデスナイト・ディザスターの戦いは互角に行われていた。
 アシュラは金棒の衝撃を上手く使って立ち回っている。相手はその対応に苦慮していているが、戦闘技術では勝っているので、なんとか一進一退の攻防を続けている。

 「ゴギャ?」

 「ムっ?」

 少し向こうでは妲己とドラゴン・ゾンビがこの世の終わりの様な戦いを繰り広げている。
 魔力を気にする事なく、ばかすかと魔法を撃ち続ける妲己。ブレスやその他魔法で対抗するドラゴン・ゾンビ。
 その余波がアシュラ達の戦場まで影響している。

 「ゴギャギャー!」

 「フヌっ!」

 だがアシュラは慣れたもの。普段から魔法使いとの模擬戦をしている事もあり、滅茶苦茶な環境でも問題なく戦える。
 それにアシュラには【戦闘学習】がある。今も相手の戦闘技術をどんどんと学習していて、技術で勝っていたからやり合えていたデスナイト・ディザスターが押され始めてきた。

 「ゴギャ! ゴギャ!!」

 「ソノ成長力ハ何なのダ!」

 一気にピンチになった相手は持久戦に切り替える。自分一人で倒すのは無理だと悟り、他の誰かが助けに来てくれのを待つ。
 しかし。

 「アシュラ。助けはいりますか?」

 そこにやってきたのは相手の救援。
 女騎士グレースと何故かかぼちゃ頭を自分に装備しようと四苦八苦しているキメラのヴェガ。

 「ジャックがヤラれたカ!」

 ジャック・オ・ランタンのジャック。
 エンペラー・リッチの中では幻術系統に長けており、搦手では幹部随一の力を持つ奴だったのだが。

 「レト様や妲己が普段から練習で【感覚狂乱】や【虚影魔法】を使って対策してますからね。びっくりする程早く片付きました」

 「ゴギャギャ!」

 「ふむ。では周りの魔物を片付けるとしましょうか。妲己達の戦いには介入出来そうにありませんし」

 アシュラは自分一人でやるとグレースの助けを拒否する。
 グレースも見た感じ有利に戦えてそうだったので、その意見を尊重し残敵掃討に入る。

 「ヴェガ、行きますよ」

 未だにかぼちゃ頭を装備しようとしていたヴェガを連れて他の魔物がいる場所に向かう。
 ヴェガは大切そうにウェインから貰った魔法鞄にかぼちゃ頭を入れてグレースの後ろへついて行った。

 「ゴギャギャー!」

 「ふぐッ」

 そして再開された戦い。
 それは最早戦いでは無かったが。

 アシュラは一番に倒してレトに褒めて貰いたかった。しかしグレース達が既に倒し終わっており、残念ながら一番乗りは取られてしまったのだ。

 「ゴッ…ゴギャギャー!」

 「な、何ダコレは!?」

 【阿修羅化】を使い、一気に勝負を決めにかかる。戦闘技術も学び終わったので、もうデスナイト・ディザスターに用は無いのだ。
 そうして、3分後。
 長くエンペラー・リッチを支えてきた幹部が命を散らした。



 一方、妲己とドラゴン・ゾンビの戦いも佳境を迎えていた。
 魔力切れの心配がない妲己は惜しみなく魔法を使っていく。
 相手は再生が全然追いついておらず、腐肉がどんどんと無くなっていき骨も見え始めている。

 「キュンキューン!」

 「厄介な力ヲ使イおっテ!」

 手加減無しの【超念力】に全く対応出来ない。
 レトは【鬼魔纏鎧】の練度を上げて、多少の被弾覚悟で突っ込んで接近戦に持ち込み、【超念力】を使う暇を与えない戦法を取っているが、ドラゴン・ゾンビにはその選択肢を取れない。

 初動で【虚影魔法】を使わせてしまった時点で、妲己相手にはかなり不利なのだ。
 近付く事もままならない。距離を取られてひたすら魔法を撃ち続けられている。

 「キュン?」

 「うぐぐッ」

 妲己が首を傾げる。先ほどから体が再生していないのだ。
 とうとう魔力が切れてしまったのだ。

 「キュンキュン」

 それならさっさと終わらせようと特大の【火炎魔法】で塵すら残さず焼き尽くそうとして、ふと思い至る。
 ウェインがこの素材を欲しがるかもしれないと。

 妲己は撃とうとしていた魔法を適当な方向へ飛ばしてキャンセル。
 ナチュラルに森林破壊をしたが、妲己の気にする所ではない。

 そして【超念力】で魔石だけを抉り抜く。
 今までは【超再生】で守られていたが、再生しなくなった体から剥き出しになっていたのだ。

 こうして、妲己とドラゴン・ゾンビの戦いは終わった。
 魔石とドラゴン・ゾンビの死体をピアス型魔法鞄の中に放り込み、周りを見渡す。

 アシュラ達は既に周りの魔物を片付けて始めていて、自分が一番遅かった事に気付く。
 少しだけシュンとしながらも、みんなと同じように魔物討伐に加わった。

 ☆★☆★☆★

 「レト様。みんなの戦いが終わりそうなの」

 「な、なにぃ!? 俺がドベか!」

 テレサの報告に少し焦る。いや、手を抜いてたとかじゃない。こいつが強すぎるんだ。

 「なんで俺と戦いながら晦冥球クラスの魔法を行使出来るんだよ! この化け物め!」

 「クカカカカ! オ主ニ 言ワレタクナイノォ! ドンドン 強ク ナッテ イキオッテ」

 やばい魔法は停止で停めてテレサに対応してもらっているが、それでもやばい。
 戦闘技術をどんどん学んで格闘戦や、それに混ぜ込む魔法の使い方は上手くなってる筈。
 それなのに、こいつはまだ合間合間に災害級の魔法をぶち込もうとしてくる余裕があるんだ。

 「骨のくせに! 骨のくせに!」

 罵倒も小学生レベルになるってもんよ。
 マジで強いな。今まででピカ一だ。
 これで『個』の魔王じゃないんだぜ。フェニックスとか竜王はどれだけ強いんだよ。
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