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第四章 迷宮都市ラビリントス

第131話 グレースVSカラミス

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 『名前  カラミス
  種族  ハイ・ヒューマン
  Lv 167
  【スキル】
  身体剛化Lv3
  短剣術LvMax
  暗殺術LvMax
  体術Lv5
  気配完知Lv4
  隠密Lv9
  罠探知Lv9
  罠解除LvMax
  風魔法Lv8                               』


 もうね。ゴリゴリの斥候職。暗殺も出来ますよっていう、貴族とかに好かれそうな人材。
 これでユニークスキル持ってたらなぁ。眷属にしてた事間違いなし。

 「良くここまでレベルを上げれたもんだと感心するね。人間って弱すぎて魔物よりも経験値少ないからさ。このスキル構成じゃ、大型の魔物を討伐するのにも苦労しそうだし」

 いっぱい努力したんだろうなって思う。
 ここで死んでしまうんだけどさ。
 来世はユニークスキル持ちで生まれて来るといいね。

 「そういえば、後天的にユニークスキルを得る場合もあるのか。この戦いで覚醒したりしてくんないかね」

 「都合が良すぎるの」

 異世界はご都合主義だらけだもの。俺的には今の所、この世界はイージーモードだし、もっとご都合主義が発揮されても良いと思うんだ。

 「まぁ、妲己とか破格の魔物を見つけれてる時点で、その辺は発揮されてるか」

 妲己以上なんて、正直見つかりそうにないし。
 これ以上望むとバチが当たりそうだ。

 「相手の人やりにくそうなの」

 「そりゃ、暗殺者が一対一で正面から戦えばそうなるよね」

 戦況はグレースの圧倒的優勢。
 剣を使うまでもないと、短剣の間合いで体術で対抗している。

 「不意の一撃で決めるスタイルなんだろうな。まぁ、それもグレースには通用しないんだけど」

 うーん。なんかアシュラとデスターが戦った時より、面白味がないな。
 負ける要素がない。
 妲己とマスカードは、こっちの戦いが終わるまでやる気がないのか動いてないし。

 「動こうとはしてたの。竜の人が人間を助けに行こうとして、妲己が牽制してたの」

 おお。そうなのか。見てなかったぜ。
 まぁ、知り合いが負けそうな戦いをしてたら普通なら助けようと思うか。

 「ぎ、ぎゃーっ!」

 「ひぃ!」

 俺は足元に転がしてるパーティーメンバーの一人の目を抉る。
 どっちのメンバーか知らないけど。
 退屈な試合展開を見せられて暇だから仕方ないよね。

 「これもなるべく綺麗な死体で渡さないとダメだしな。あんまり過度な拷問が出来ないのが残念だ」

 「簡単のならテレサが治せるの」

 ありがとうございます。
 適当に遊ぶ程度にしておきますね。
 あ、この目は治せない? 失礼しました。



 ☆★☆★☆★

 「おまえ、元団長ってのはどういう事だ?」

 「そんな事はどうでも良いでしょう? これ以上引き出しがないのなら殺しますよ? 手加減してるおかげで生き長らえているのを分かっていますか?」

 「はん! 調子に乗れるのも今のうちだぜ! こんな事をするのはS級冒険者として、格好がつかないが、マスカードのオジキが救援に来るまでは逃げ回ってやらぁ!」

 「それは無理でしょう」

 戦いが始まって五分程しか経っていない。
 しかし、カラミスはこの短い間で実力の差は嫌というほど理解出来た。
 こうも向かい合ってると不意打ちも出来ない。
 マスカードがあの魔物を倒してこちらに救援に来るまで逃げ回る事に決めて、距離を取ろうとする。

 「あの竜人がこちらの救援に来る事は万に一つもありませんよ。あなたが私を殺す方がまだ可能性は高いです」

 「でかい狐ごときにオジキが負けるかよ!」

 「……無知とは恐ろしいですね」

 「お前らこそオジキの強さを分かっちゃいねぇ!」

 「はぁ。もう良いです。逃げるしか能がないなら終わらせてしまっても良いでしょう。レト様も退屈してらっしゃいますし」

 グレースはチラッとレトの方を見てから、ギアを一段どころか五段ほどあげる。
 魔法鞄から魔剣を取り出し、強化系スキルを使って一気に接近。
 剣の腹の部分で頭を思いっきり殴る。

 「ごはぁ!」

 「ふむ。意識を飛ばすつもりで殴ったのですが、耐久力は中々。実験素材じゃなかったら、良いサンドバッグになれたでしょうね」

 「じ、実験素材だとぉ? お前ら一体何をしようとしている?」

 「それはあなたが未来永劫知る事はありません。レト様の糧になれる事を喜びなさい」

 「あ、あの赤髪の男がお前らの主かよ。指名手配されてる奴じゃねえか」

 戦う前は目の前の女騎士に集中し過ぎて気付いてなかったが、良く見れば禁忌を犯した罪で指名手配されてる男がソファに座ってこちらを見ていた。

 「あ、あいつが何をしたのか分かってるのか?」

 「当たり前です。これでも元神聖騎士団の団長をしていたのですから」

 「な、なに!?」

 カラミスは意識が朦朧としながらも、逃げ道を探す。喋りかけ、情報収集もしつつ、なんとか少しでも情報を持ち帰ろうと画策していた。女騎士はもう勝負がついたと思っているのか、わりとなんでも教えてくれるのは僥倖だった。
 自分が負けてもマスカードがいる。なんとかこの状況から抜け出して、情報を元に再起を図ろうとしていた。
 しかし。

 「あちらも始まりましたね。ああ。終わりましたか」

 「終わった?」

 「ええ。あちらは一瞬でしたね」

 カラミスが瀕死に追い込まれて、向こうの戦況が動いた。
 カラミスを助ける為に見てる場合ではないと思ったのだろう。

 「そ、そんな…。オジキが…。ラビリントス最強だぞ!?」

 「あれは初見で防げるとは思いません。レト様も模擬戦で初めて負けたのは、あの技でしたからね」

 カラミスが倒れながらも視線を向けて目にしたのは、膝をついて動かないマスカードの姿だった。
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