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第四章 迷宮都市ラビリントス

第120話 進化7

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 《進化が完了しました。二つの魂を確認。片方の魂には既に異能がある為、もう一つの魂に異能を付与します》

 《上位存在※※※※の介入を確認。異能が取り消されました》

 《上位存在※※※※の介入を確認。魔物能力が選択式になります》


 ふははははは!!!
 長かった! 長かった! 夏場の蒸し暑い体育館で行われる校長先生の話並みに長かった!
 来る日も来る日も魔物を倒して、飽き性の俺が良く頑張った。
 やっと迷宮から脱出出来るぜ。その際、迷宮をパクっていく事を忘れずにってな。

 「おめでとうございます」

 「うむうむ。苦しゅうない。良きに計らえ」

 良きに計らえってどういう意味なんだろうね。
 知らずに適当に使ってるけど。良い感じにしろって事? 昔の人はアバウトだね。俺みたいな適当な人間ばっかりだったのかしらん?
 そりゃ、俺みたいなのがたくさん居たら、戦国時代みたいに荒れるってもんよな。

 やっと作業狩りを終えられるという事で、俺達のテンションもMAX。
 しかもこの後、超越者達と遊べるというお楽しみも待ってるんだ。
 こんな良い日はないぜ。

 「今日は無礼講じゃ! 宴の準備だー!」

 「キュンキュン!」

 「ゴギャ!」

 いつも無礼講だって? そんな事言っちゃおしめぇよ、べらぼうめ!
 今日はグリフォンの血を飲むぞ!
 あれはストックが少ない貴重な血でとても美味しい。周回すれば良いんだけど、それはなんか面倒だし。ちょっと時間もかかるしね。
 こういう、節目とかに飲むのも悪くない。


 「ちょっとはしゃぎすぎたな」

 進化した翌日。
 テンションが高いまま飲めや食えやの大騒ぎをして、そのままグレースと馬車へ。
 ちょっと【感覚狂乱】を派手に使い過ぎて、まだグレースが起きない。
 【回復魔法】を覚えてタフになったとはいえ、まだまだ負けませんよ。魔王ですからね。

 「今のうちに、体のチェックと能力の選択をしておくか。能力はもう決まってるしね」


 『ヴァンパイア・オリジン (侯爵)
  名前  レト・ノックス
  【異能】
  魔眼Lv6 (解析)
      (魔力視)
      (遠見)
      (停止)
      (高速思考)
      (魂視)
  【魔物能力】
  血液魔法
  音魔法
  影支配
  眷属化 (5/20)
  感覚狂乱
  鬼魔纏鎧
  再生                 』


 進化は大体予想通り。
 爵位は一つ上がって侯爵になった。
 あの格が上がった様な圧倒的感覚はないけど、それでも種として強くなった感じはするな。

 「ん? 身長伸びたか? 視線がいつもと違うような? ちょっと、アシュラ」

 「ゴギャ?」

 既に起きて金棒の素振りをしていたアシュラを呼び寄せ、並んで立ってみる。

 「ふむん。多分大きくなったな。ちょっとアシュラが大き過ぎて比較にならないや」

 鍛錬の邪魔してごめんなさいね。
 どうぞ、続けておくんなまし。

 「能力の確認もしとくか」

 影を使って、自分を軽く斬ってみる。
 すると、切り傷がシュルシュルと治っていった。

 俺が選んだ能力は【再生】。
 今更かよと思うなかれ。これで俺の継戦能力はかなり上がった事だろう。
 しかも【再生】っていかにも、吸血鬼っぽい能力でしょ? これで、多少ダメージを負っても肉体スペックでゴリ押し出来る。

 再生に魔力を使ってるけど、それも微微たるものだ。魔法を補助的に使い始めてからは、魔力も余り気味だし。
 停止とかも、そろそろ積極的に使っていけるぐらいの魔力量になってきたしな。
 どんどん強くなってきたと実感出来る。

 「でも、今回も【血液魔法】と【音魔法】は支配にならなかったな。今回こそはと思ってたんだけど」

 こうなってくると、なんで影支配になったのか気になるな。熟練度的な問題?
 確かに影は常に使ってたみたいなもんだし。
 荷物を放り込んだり、居住地にしたり。
 もう少し積極的に二つとも使っていった方がいいかもな。特に【血液魔法】はヴァンパイア的にも能力的にも支配にしておきたい。

 「【眷属化】は案の定か。これからも枠が5ずつ増えていくので確定だな」

 後、公爵と王にはなると思う。
 って事は、最低で30人の眷属か。
 管理しきれる自信がないね。中間管理職みたいな眷属も欲しくなっちゃう。
 ユニークスキル【中間管理職】とか持ってる人間いないかね。すぐ眷属にします。

 でも、30人って多い様で少ないかもな。
 俺がこの世界に来て、5年ぐらい? もうちょっと経ってるかな?
 まぁ、どうでも良いけど、それでももう5人居るんだよ。
 やっぱり眷属にする時は慎重にならないとな。
 弱そうなユニークスキルだったら、無視するのもありかも。貧乏性の俺が果たして無視出来るのかは、その時になってみないと分からないけどさ。

 「後は、【魔眼】の魂視と【鬼魔纏鎧】か。早速、こっちが上位進化するとは思わなかったけど」

 みんなとの模擬戦でずっと使ってるからな。
 ここ最近、脳筋スタイルだから【影支配】に次いで良く使ってるかも?
 いや、【感覚狂乱】もほぼ毎日使ってるな…。

 まぁ、上位になっただけで、制御も一苦労だけど直ぐに慣れるだろう。
 高速思考がないと、自分の速さについていけなくなりそうだけどさ。

 で、魂視なんだけど。これはなんだろうね?
 カルマ的なのが見えるのかな?
 試しに自分のを見てみると、真っ黒だった。
 いや、微妙に薄い灰色みたいな所もある。
 これが僅かばかりの良心でしょうかね。
 眷属達や子供には優しいと評判のレト君ですし?
 まぁ、単純に考えて、白は善、黒は悪って事かな? 何を基準にしてるかは分かりませんが?

 「ん? んんん? あれれ?」

 俺、魂二つあるじゃん。
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