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第四章 迷宮都市ラビリントス
第98話 ボス戦の連続
しおりを挟む「91階からはこんな感じになってるのな。これは100階で終わりってのが現実味を帯びてきたな」
俺の進化も終わり、流石に89階も飽きてきたのでようやく階層を進める事にした。
これまでお付き合い頂いた実験体SE君に名残惜しくも別れを告げて階段を登る。
後、二つも迷宮があるんだし、そろそろ攻略スピードを上げないといつまで経っても、ラビリントスから次に行けないからな。
俺には魔王討伐という、崇高な使命があるんだ。
世の全ての人間達は感謝しろ。
エンペラー・リッチを討伐するんだからな。
その次の標的はお前達かもしれんが。
で、91階に来たらすぐに大広間があって、ボスさんの扉があった。
俺の脳内ラノベ知識によると、恐らくここからはボスラッシュなのだろう。
「どんなボスが出てくるんだろうな」
「これまでのボスの上位種とかじゃないですか?」
えー。って事は最初はゴブリンキングとか?
なんかやる気でないなー。
目新しさがないというか。面白くないよね。
「もしそうなら、行けるとこまでテレサ一人で戦ってもらうか。経験値は相応に貰えるだろうしな」
この迷宮で超越者になるってのは高望みし過ぎですかねぇ。
残りの迷宮でどうせ進化するだろうと思ってるから、そこまで期待はしてないが。
「まっ、とりあえず入ってみたら分かるか」
いざ行かん! 宝箱ラッシュへ!
「グレースの予想が当たっちゃったっぽいな」
中に入ると、かなりの数のゴブリンの上位種。
最低でもジェネラルクラスしか居ないというはっちゃけっぷり。
で、玉座みたいなのに座ってる、一際覇気を垂れ流してる王冠を被ったどでかいゴブリン。
「ゴブリンの最終進化があれなのかな? 風格は魔王そのものだけど」
「普通に強そうですね。超越者になる前なら苦戦したかもしれません」
普通にS級の魔物ぐらい強そうだよね。
これはテレサだけではきついかな?
「アシュラとテレサでやってみようか。それなら勝てるだろう」
「ゴギャ!」
「…頑張るの」
って事でアシュラは馬鹿正直に突撃。
相変わらず脳筋ですねぇ。
これでもかと強化された肉体を使い、高速で接近し金棒を振り回す。
それだけで、ジェネラル達は吹き飛ばされるが、死んでしまう程ではない。
アシュラは追撃する事なく、その場に留まり手当たり次第暴れ回る。
テレサはアシュラが吹き飛ばした魔物達を集中的に狙ってとどめをさしていく。
アシュラで崩してテレサで刺す。
かなり雑なチームプレイだけど、これが中々効果的でどんどん数を減らしていく。
「ゴギャラー!!」
「潰れろなの」
テレサは新しくけっこう魔法を覚えている。
俺が毎日90階のボスと戦ってたから、それなりの数の魔法書をゲットしてるんだ。
被りも多かったが、それはいつか使えるだろう。
今テレサが重点的に練習してるのは【重力魔法】である。
これが出てきた時は思わずガッツポーズしたね。
俺が覚えられる能力一覧にもあったから、いつか魔法書を手に入れたいと思ってたんだ。
テレサは文字の読み書きが出来るようになると、俺の前世知識を適当に書き殴った資料を読むようになった。
テレサぐらいの年代なら、まだ絵本とか読んでててもおかしくないんだけどなぁ。
まぁ、これを機会に仲良くなろうと、前世の科学知識を暇な時に教えてるせいか、なんとか仲良くなれてきてるとは思う。
それでも俺が一番距離あるんだよね。一応主人なのに。
「お、キングが動いたな。思ったよりもせっかちさんだ」
「取り巻きが半分も減らされたら仕方ないと思いますが」
こういうのはどしっと構えてるのが普通じゃないの? 俺は無理だけどさ。
キングは玉座のそばに立て掛けてあった大剣を手に取り、ゆっくりとアシュラに向かっていく。
とりあえず暴れてるアシュラを止めようという事かな。
「ゴギャ!」
「グルウァ!」
受けて立つとばかりにアシュラも応戦。
二人のタイマンが始まった。
「テレサはアシュラが抑えてるうちに周りの取り巻きを減らしていけー」
「わかったの」
テレサは後衛だが、動けるタイプの移動砲台だ。
グレースから体の使い方も教えてもらってるみたいだしね。
ちょこちょこと動き回りながら、魔法をぶっ放していく。
側から見たら中々に可愛い光景だが、やってる事はえげつない。
【土魔法】で足止めし、【雷魔法】と【風魔法】を使ってどんどん仕留めていく。
範囲魔法を使わないのはアシュラへの配慮かな。
「うーん。鮮やか。流石魔法系のユニークスキル持ちだな。上手に魔法を使ってる。超越者とも遜色ないんじゃないか?」
「そうですね…。しかし、神聖王国にいた神官の超越者も凄いものでしたからね。あれと比べてしまうと、後一歩というところでしょうか」
ほほう。俺は超越者はグレースと獣人の奴しか知らないからな。
やっぱり超越者は一味違うのかしらん。
「ゴギャ! ゴギャ!」
「グ、グギャ!」
あっちは、アシュラが優勢だな。
それでもすぐに仕留められるほどじゃない。
アシュラも本気じゃないからだけど、それに食らいついていけるキングもそれなりの強さということか。
【狂化】したら一瞬でケリがつきそうだけど、あれは魔力をべらぼうに使うからな。
使い所が難しいんだよね。
それから約15分。
テレサは取り巻きのジェネラルゴブリン達を全部仕留め、アシュラの方もキングは満身創痍だ。
良くもった方だと思うけど。91階でこれって事は、これからの階層がちょっと楽しみだな。
退屈はしなさそうでなにより。
妲己は一人でも片手間で倒しそうだけど。
あいつはもうなんかおかしいからな。
「ゴギャー!!」
あ、倒した。時間は掛かったけど、アシュラに傷はなく完勝といった所か。
「これ、テレサが一人でやると苦戦しそうだよなぁ。超越者に進化するのに壁を越える必要があるなら丁度良さそうだけど、どうしようか」
「先に進んでもいいのでは? もっと先の方がどうせ強いんですし」
それもそうか。いや、テレサがギリギリで勝てるぐらいのレベルじゃないと困るんだけど。
まっ、良いか。
「ん? 宝箱しょっぱいな。研磨済みの大量の宝石か。確かに一財産だろうし、これだけで人間なら一生遊べるぐらいの金になるんだろうけど、俺は原石をいっぱい持ってるんだよなぁ」
「あれだけ採掘すれば当然です」
ま、まぁ? こういうのはいくらあっても良いもんですし? そのうちウェインが良い感じに加工してくれるだろうよ。
「さて、次行こうか。これでまた同じ様な階層だったらボスラッシュ確定だろう」
軽く休憩し終えて階段を登る。
そして92階に着いたら案の定同じだった。
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