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第四章 迷宮都市ラビリントス
第95話 進化6
しおりを挟む《進化が完了しました。二つの魂を確認。片方の魂には既に異能がある為、もう一つの魂に異能を付与します》
《上位存在※※※※の介入を確認。異能が取り消されました》
《上位存在※※※※の介入を確認。魔物能力が選択式になります》
「おはようございます」
「うん、おはよう」
前回同様、膝枕でお出迎えしてくれたグレースに挨拶を交わし、ゆっくりと起き上がる。
自分の体を確認してみるが、相変わらず外見には変化がなさそうだ。
「きたこれ」
すっごい全能感がある。
今ならなんだって出来そうってぐらい。
やっぱり、伯爵になると違うのかな。
以前より、格みたいなのが上がってる感じ。
『ヴァンパイア・オリジン (伯爵)
名前 レト・ノックス
【異能】
魔眼Lv5 (解析)
(魔力視)
(遠見)
(停止)
(高速思考)
【魔物能力】
血液魔法
音魔法
影支配
眷属化(5/15)
感覚狂乱
未選択 』
進化は大体予想通りだな。
伯爵に進化して、能力はまた選べる感じ。
眷属化は5ずつ増える感じかな。
倍倍チャンスとはいかないみたいだ。
「む? そういえば、能力が進化したりはしてないな。【音魔法】か【血液魔法】が支配に変わったりするのを期待してたんだけど」
さすがに、魔力消費がなくなるのはやばいもんな。そう簡単には変わらないか。
俺、吸血鬼なんだし【血液魔法】が変わるのが普通だと思うんですけどねぇ。
「【魔眼】は高速思考か。これはありがたいな。魔物能力で取るか迷ってたやつだし」
一番の収穫はこれだな。
どんな感じか軽く試してみると、動体視力がかなり上がって、文字通り思考が速くなる。
魔力消費もそんなにだし、普段使いは出来ないけど、戦いの最中はずっと使えるだろう。
マルチタスクもやりやすくなった。
「身体強化がなんか違うな? いつもより強化出来るというか、魔力操作がかなりスムーズになった分、強化に回ってるというか」
人間でいう、身体剛化か?
格が上がったから出来るようになったか。
魔物は人間と違って、身体強化はスキルじゃなくて練習すれば使えるっぽいからなぁ。
「うん。悪くないな。少なくとも、前に見た超越者には負けないだろう」
「能力の確認は終わりましたか?」
カウチに座って煙草を吸う。
グラスに血を入れてたら、グレースが頃合いを見計らってたのか、声をかけてきた。
「後は、前回もあった能力選択だけだな。一応前のリスト持って来てくれる? 新しく選べる能力が増えてたりするか、確認しておきたい」
「既にこちらに」
ぷかぷかと煙で輪っかを作ってたら、出来る秘書かのように用意されていた。
流石グレースさんですね。俺のお世話させたら天下一品である。
「キュルン!」
リストと見比べてると、妲己が頭の上にやってきた。サイズ変更の魔道具を手に入れてから、影の中では小さくなってるんだよな。
可愛さをこれでもかってぐらい振り撒いている。
他のみんなは何してるのかなと思えば、アシュラとテレサがリバーシをしてて、それをウェインが応援してる感じだな。
あの二人は最近急激に仲良くなって、よく遊んでるんだよなぁ。
どうして俺には懐かないのか。
これが分からない。
「さてさて、新しく追加も無さそうだし、じっくり悩んで能力を決めましょうかね」
正直、滅茶苦茶強くなったと思う。
でもですね、これでも妲己に勝てるか自信がないんですよ。
高速思考の【魔眼】を手に入れたから、魔法の弾幕もなんとか躱せるんじゃないだろうかと期待してるんだけどさ。
急募。【超念力】の防ぎ方。
「なんか能力を選ぼうとしても、これ取っても妲己に勝てなそうって考えてしまう自分がいる。いつの間にか、打倒妲己の為の能力を探しちゃってるんだよな」
「キュキュ?」
なんでこんな可愛くて強いのか。
ズルすぎると思いますね、はい。
「妲己が苦戦したのは、進化する前のムカデだけですね」
「俺達の前にはいつもムカデが立ちはだかる。あいつはなんなんだろうな」
って事はムカデを参考にすればいいのか?
確か、念力も装甲に弾かれてたんだっけ?
あれは、魔法耐性との合わせ技っぽかったけど。
「ふむん。耐性系か。この機会に手に入れるのもありだわな。攻撃手段は魔法があるし、デバフ的なのは【感覚狂乱】がある。バフ系を取って更に、攻撃系を強化するか、耐性系を取って防御手段を手に入れるか。吸血鬼らしい能力も欲しいんだけどなぁ。また後回しになるね」
「いつか取れますよ。好きな能力が選べるなんて破格なんですから」
そうだよな。これ以上わがまま言ったらバチが当たるってもんだ。
十分優遇されてるんだから、感謝しないと。
「上位存在さん! せんきゅー! 今回はメッセージ無かったから届いてるかどうか分からんけど」
そういえば、やっぱり名前が分からないな。
前回見た文字を想像してみても、文字化けしてるし。どれだけ強くなれば分かるんだろうか。
「高速思考も手に入れたし、やっぱりここは防御を手厚くするかね! そうと決まればこれだ! ポチッとな」
いつまでも悩みそうだからな。
ここは勢いでいかせてもらおう。
「よーし! 使い勝手を確かめたら模擬戦だ! 妲己に勝つぞー!」
「キュンキューン!!」
どうやら受けて立ってくれるみたいだ。
その余裕も今日までだ!!
俺は今日、お前を超える!!
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