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第四章 迷宮都市ラビリントス
第85話 採掘
しおりを挟む「火山灰って正確には凄く小さい石の事だよね?」
レト・ノックス一行は、喋りながら、そして警戒しながら、ゆっくりと山に向かって歩いていた。
そして、ふと気になったのでグレースに聞いてみる。
「すみません。噴火を見たのも初めてなので、知識がありません」
「あ、そっか。そういえば、そんな事言ってたね。うーん、まぁここまで問題無かったし大丈夫か?」
「何か懸念でも?」
「いや…。んんっ。なぁ、グレース。粉塵爆発って知ってるかぁ?」
「いえ、知りません」
「あ、そう」
ってか、よくよく考えたら屋外では条件満たさんか?
風向きやらなんやら。
あれはベクトル操作してたからなんとかなったんだっけ?
ちょっとにわか知識だから覚えてないな。
あの一方通行さん好きだったんだけど。
「それで、粉塵爆発とは? 名称が物騒ですが」
「かくかくしかじか」
「なるほど」
説明は面倒なので割愛するが、これって屋内なら火山灰でもいけるんかな?
凄く小さい小石群だし、燃えないなら無理か?
ま、不意に思い付いた事だし、どうでも良いんだが。
「はい、山に到着ー!」
「所々に洞窟な様なものが見えますね。あれを一つ一つ調べないといけないという事でしょうか?」
「くそ面倒だが、そういう事だろうな。【音魔法】で反響させて調べたら一発だから、洞窟に入る必要性はないが、近くまでは行かないとな。多分、洞窟のどれかに階段があるパターンだろ」
【音魔法】便利ー。
何個か洞窟入ってみて、どんな感じかは調べてみるけど、どうせ魔物の溜まり場になってるんだろうよ。
宝箱とかもありそう。しっかり魔法を使ってチェックせねばな。
とりあえず1番近い洞窟に入るか。
「ふむん。そんなに広く無さそうだな。妲己は動きにくいかも? 影の中に入っとくか?」
横幅10mもないし、高さも3m程だ。
妲己はそれなりに大きいのでかなり行動が制限されるだろう。
「キュン」
本人? 狐? も余り乗り気じゃなかったのか、すぐに影の中に飛び込んでいった。
ウェインも居るし遊び相手には困らんだろう。
「うーん、探知した感じ魔物も居るなぁ。ドレイクだろうけど。階段も宝箱も無し」
「どうしますか? 次の洞窟へ?」
「いや、せっかくだし一旦入ってどんな感じか確かめようぜ」
ノックス探検隊! 出動である!!
……しっかり寝たせいか、テンションが高いな。
「うーん、ここは大丈夫だけど、あんまり魔法は使わん方がいいかな? 深めの洞窟とかなら、【火魔法】を連発すると、酸素不足になるし、威力が強すぎると崩落する危険もあるからな」
ダンジョン産の洞窟がそこまで脆いのかは分からないけど。
後で入り口から思いっ切り魔法使って、崩落するか確かめるか。
「って事でここは、テレサは控えめで。アシュラメインでグレースと俺がサポートだな」
アシュラさん、そろそろだと思うんすよ、進化。
前回から半年以上経ってるしさ。
その間ほとんど戦い続けてるんだし。
「ゴギャギャ!」
結構頻繁に出てくるドレイクを叩き潰していく。
金棒の使い方も様になってきたな。
重量調整が出来るだけのシンプルな武器だけど、もっと良いの出てこないもんか。
宝箱から出てくるのが先か、ウェインが作れる様になるのが先か。
これからが楽しみだな。
「んあ? 鉄鉱石じゃん」
なんの気もなしに、洞窟の壁を【魔眼】でみてみると鉄鉱石だった。
もしかして、ここって鉱山なの?
「そういえば、迷宮では鉱石なども取れると聞いた事はありますね。鉄だけでなく、金銀やミスリル、宝石なども取れる筈です」
「ばっきゃろー! それを早く言いなさいよ! ウェイン呼ぶぞ! 採掘の時間だ!」
「ええ…? 必要ですか? 影の中に結構な量がありますけど?」
いるに決まってるだろ。
そういう光り物はあればあるだけ良いんだよ。
知ってるだろ? 俺は貧乏性なんだ。
「取り尽くすぞー。全ての鉱山から鉱石を取り尽くす」
「かなりの時間がかかると思いますが?」
「おいおい。俺達は不老だぜ? 時間なんてあってないような物だろうがよ」
「はぁ」
グレースさんが呆れてため息を吐いてるが気にしない。
正直取り尽くす程取って、どうするんだって話だけど。
いつか使うかもしれないし…
ウェインの生産活動でも使うだろうし…
「呼んだんだぞ?」
「おお! 採掘するぞ! ここは宝の山だ!」
商会からパクってきたピッケルもある。
正直いつ使うんだと思ってたが、役に立つとはな。
「レト様、まさか人力でやろうとしてますか?」
「え? うん」
それ以外に方法が?
あるなら是非教えて欲しい。
「一つの山に年単位かけるんですか? どれだけ鉱山があるか分かりませんが、10階続くだけで10年以上ですよ? 断言します。絶対にレト様は飽きますよ」
お、おお? グイグイくるな。
確かに、すぐに飽きそうだな。
でも宝石欲しい。ミスリル欲しい。
アダマンタイトとかオリハルコン、ヒヒイロカネも欲しい。
これらはあるのか分からんが。
「魔法か。前世ではダイナマイトで爆発させてなんかしてたみたいだが」
詳しい事は知らないんだよね。
まさか自分が鉱石掘りするなんて思ってなかったから。
何かでチラッとみてスルーよ。
しかしここは異世界。
魔法がある世界だ。
「俺達の中に【土魔法】覚えてる奴はいないな…。ってか、グレースは覚えられなかったんだっけ? テレサは覚えれるとして…」
「いや、レト様? まず、魔法書がないのですが?」
そうでした。困りましたな。
「むーん。参ったな。魔法書手に入るまで諦めるか、【土魔法】覚えてる奴を攫ってくるか、魔法書持ってる奴からパクってくるか」
「魔法書を持ってる可能性があるのは、領主か大商会、冒険者ギルドに教会ですね」
むむ? 結構持ってそうな奴多いな?
覚えれる奴を攫ってくるにも、それだけの為に眷属にしたくないしなぁ。
シャバに戻って、パクってくるか、自力で【魔法書】手に入れるまで諦めるか。
うーん。悩ましいな。
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