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第四章 迷宮都市ラビリントス
第84話 火山
しおりを挟む「ここに来て、パターンチェンジかー。いや、51階からは難易度が上がるって事かな?」
「レト様! 悠長に話してる場合じゃありませんよ! 逃げませんと!」
噴火なんて初めてみたなぁと思ってたら、グレースに怒られた。
なんか、石が飛んできてるんだよね。
それもかなりの量。
「火山弾? 噴石? そんな感じだよね。魔法で再現出来ないのかな?」
「レト様!!」
はいはい、逃げますよーって。
これ、どうやって探索するのかね。
そう思いながら、影に避難した。
「いやー、マジでどうする? 収まるまで待たないとダメな感じ?」
「困りました。私も山が噴火するのは初めて見ましたし、対応策が分かりませんね」
「ウェイン、なんか良い感じの魔道具作れないの?」
「良い感じって…。上から降ってくる石を防ぐなら結界の魔道具なんかがあるんだぞ。でも基本的に使い切りで、魔石も沢山消費するからおすすめはしないんだぞ」
「むーん。打つ手なしー? これから火山灰が舞ったりして、更に探索もしにくくなると思うんだけど」
火山灰って確かコンクリートに混ぜたら良い感じになるとかなかったっけ?
そんな研究を聞いた事があるんだが。
今は関係ないか。余裕があったら集めよう。
「とりあえず噴火が収まるまで待ってみるか。流石にずっとは噴火しないだろう」
「かしこまりました」
「ウェインー。作って欲しい物があるんだけどー」
「なんだぞ?」
「こういうのなんだが」
俺は紙に絵を描きつつ、説明する。
役立つか分からないが、いつか欲しいと思ってたし丁度良い。
「多分作れるんだぞ」
「んじゃ、よろしくー」
さて、俺は何をしようか。
妲己をモフり散らかしてやりたい所だが、既にテレサがお腹に埋まって睡眠中だ。
邪魔をするのは忍びない。
グレースとアシュラはリバーシ。
で、ウェインはさっき頼んだ作業。
俺だけ暇じゃんね。
ちょっと長めの睡眠でも取らせてもらおうかな。
最近がっつり寝てなかった気がするし。
「まさか、丸一日収まらんとはな。これで、また噴火したらやる気無くすぞ」
「不思議と森にそんなに被害は出てないんですよね。山は溶岩が流れたりとひどい有様ですが」
「これで、山の何処かに階段があるとかなら地獄だぞ」
8時間ぐらい寝たのに、未だに噴火は終わらず。
前世でこんなに噴火したら地球終わってただろうな。
15分に一回ぐらいのペースで噴火してやがる。
結局一日待って、ようやく噴火しなくなったんだ。
「とりあえず最初は俺だけが出るぞ。何かあったらすぐ影に逃げれるし。ウェイン、頼んでた物は?」
「出来てるぞ! こんな感じだぞ?」
「おおー! 良いじゃん!」
お願いしたのはサングラス。
せっかくマフィア風スーツ着てるんだし、いつか欲しいと思ってたんだよね。
火山灰も舞ってるし、付ける理由にもなる。
マスクは用意してないが。
似合わなさそうだったので…。
「さーて、どんな魔物が出てくるのかな」
俺は影からゆっくりと出て周りを確認する。
探知した感じ、群れてる訳じゃなさそうだ。
噴火しないか、内心ビクビクしながらとりあえず山へ向かって歩く。
探すのが面倒そうだが、どうせ山の何処かに階段があるんだ。
お約束ってやつだろ。
「んー? なるほど、トカゲ…ドレイクか。火山に出てきそうだな。それっぽい」
とりあえず小手調べにと、ソニックアローを飛ばす。
強さも上がってるだろうし、一発じゃ厳しいかなと思ったので五発ぐらい。
「およ? 死んだ? 弱くない?」
普通に当たって普通に死んだ。
【魔眼】で見た感じ、耐性系は無かったけども。
「もしかして、ここからは魔物が強くなるんじゃなくて、フィールドが面倒くさくなるタイプなの?」
えー、経験値効率くそ悪そう。
これなら猪狩りしてる方が、肉と経験値両方手に入ってお得じゃんね。
「いや、始まりだからチュートリアル的な可能性もあるか。もう少し…次の階層まで行ってみないとな」
とりあえず15分過ぎても噴火はしなさそうだから、ウェイン以外を影から出す。
もっと安全が確保出来たら、ウェインも出して採取に励んでもらおう。
「出てきたのはトカゲ。弱かった」
「見てました。魔法に対する備えが一切無かったですね。物理性能はどうなのか、気になります」
「うん。って事で次はグレースとアシュラで戦ってみて」
カッコつけでサングラス付けてるけど、視界悪いな。
名目は火山灰対策だけど、みんな普通に活動出来てるし、もう外しちゃおうかな。
「う、うーん。微妙?」
「微妙です。ミノタウロスよりは弱いです。サイズの問題もありますが」
グレースはサクッと。アシュラは多少苦戦したものの倒せた。
次はもっと効率良く倒せるだろう。
全長2mぐらいだし、ミノタウロスよりも戦い易い。
なんとも言えない感じだな。
「もう少し、戦ってみるか」
「ゴギャギャ!」
うむ。元気でよろしい。
「くそ! 嫌らしいな!」
「こういう妨害も込みの難易度という事でしょう」
あれから戦い続けてると、山の方から明らかに俺たち目掛けて石が飛んできた。
戦いの最中にも、歩いてる時にも関係なく飛んでくるから、対応するのも面倒くさい。
避けれない訳じゃないんだけど、一々神経を消費すると言いますか。
「グレースは余裕そうだな」
「こういう時の私のユニークスキルは便利ですね。なんとなく石が来ない場所がわかるんです」
シックスセンスうらやまぁ。
俺とアシュラは馬鹿正直に、避けたりはたき落としたりしてるのに。
テレサはグレースの後ろにピッタリくっついて回避してる。
それでいて、魔物はしっかり倒してるんだからちゃっかりしてるよね。
「こういう迷宮もあるんだなぁ。もしかして他二つも50階越えたらこんな感じなのかしらん。だったら嫌だなぁ。行く前からやる気が無くなっちゃう」
「他の迷宮の前にまずはここの迷宮に集中して下さい」
その通りですね、すみません。
さっさと階段見つけて、どんどん進んでいこう。
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