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第四章 迷宮都市ラビリントス
第71話 攻略階層へ
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俺はドロップした素材を確保しつつ、宝箱を死守する。
前回はさらっと開けられてワクワク出来なかったからな。
案の定、今回も勝手に開けようとしてた妲己とアシュラ。
尻尾で俺の事をぺしぺししてくるが、鋼の心で無視する。
「ええい! やめろやめろ! 開けさせてあげるから!」
別に俺は開けたい訳じゃないんだ。
何が出て来るかワクワクしたいだけ。
妲己が【超念力】を使って宝箱を開ける。
「むむ? 魔法書じゃん。2冊も入ってるぞ」
宝箱に入っていたのは、火と雷の魔法書。
大当たりじゃんね。
「キュンキューン!」
「凄いぞ! 良くやった!」
俺は妲己をわしゃわしゃと撫でつつ、魔法書を開いてみる。
「白紙とな? やっぱり魔物には魔法書は使えないか。グレース、雷の魔法書見た事ある?」
「いえ、基本の四属性のみです」
「それじゃあ、ちょっと読んでみてよ」
試しに、魔法書を開いて読んでみようと思ったが、白紙だった。
ちょっと残念に思いつつも、グレースに雷の魔法書を渡して、火の魔法書は影に放り込む。
大当たりだと思ったけど、俺達じゃあ宝の持ち腐れになるな。
何処かにユニークスキル持ちの人種は落ちてないもんか。
迷宮に篭りっぱなしで、ほとんど人間と会ってないからなぁ。
何処かで人材発掘の為に、地上に戻るべきか。
「ダメですね。私に雷の適性はないようです」
「そりゃ残念。現状使い道無しか」
グレースは読めはしたけど、適性は無かった。
いつか眷属が出来た時用だな。
「んじゃ、気を取り直して階層進めていこうか」
「ゴギャギャ!」
「キュンキューン!」
現在、47階。
攻略最新層までやってきた。
40階からここまで来るのに、2日しかかかってない。
40階から45階まで虫階層ってのが大きかったな。
いつミミズが出て来るか分からなかったから、かなり巻きで階層を進めた。
46階は鹿系、47階は猪系の魔物なので、階段を探しつつ経験値稼ぎをしてる。
「発破」
俺は最近、相手に触れて体を無理矢理振動させるのにハマっている。
別に触れなくても、使えるんだけど。
触れてると、内臓とかがぐちゅぐちゅになる感覚を肌で味わえるんだよね。
ダンジョンはどれだけ傷付けても、素材は綺麗な状態でドロップするし。
「浸透掌ってやつだな。グレースも良くこんなの知ってたな」
「知ってたというか、スキルのお陰ですね。体術が進化して総合武術になったので、色々な武術が使える様になったんですよ。勿論、練習は必要ですが」
良いスキルだよね、総合武術。
スキルを意識しながら練習すると、補助してくれるらしい。
最初はかなりゆっくりな型稽古みたいな感じだけど、慣れれば実戦でも使える。
それを、俺とアシュラにも教えてくれるから、体術系はかなりの熟練度になったんじゃないかな。
アシュラは【戦闘学習】のお陰でどんどん最適化していくし、俺はヴァンパイアの高スペックな体があるから、どんどん強くなっていく。
「おお? 次の階段みっけ。どうする? このまま進んじゃう?」
「ここで経験値を稼ぐのもありだと思いますが? アシュラがついていけるか怪しいです」
ふむん。確かに。
グレースと妲己は、ここら辺でも余裕があるけど、アシュラは攻撃が当たったりしてるからな。
「いや、とりあえず先に進もう。アシュラの限界ギリギリまで進めて、そこで狩りをしよう」
「ゴギャ!」
「かしこまりました」
アシュラもやる気だしね。
流石に次の進化はまだ早いよなぁ。
「結局50階のボス部屋まで来てしまった件について」
「思った以上にアシュラが頑張りましたね」
「ゴギャギャ!」
良い事じゃんね。
まぁ、47層から直ぐに進もうと思ってたら、猪の肉が美味しかったらしく、妲己とアシュラにお願いされて2ヶ月程狩り続けたのは無かった事にしてやろう。
肉の為に、余り得意じゃなかった身体強化の練習にも力を入れるようになったしな。
これからアシュラを釣る時は食べ物を用意しよう。
「一旦、ここ50階のボス倒したら地上に戻ろうか。煙草がね、無くなりそうなの」
色んな商会からパクってきたから、俺が好きじゃない種類の奴は余ってるんだけど。
正直、今更他の銘柄を吸う気にもならないといいますか。
いつか俺監修ブランド的なのを作るのもいいな。
作るのは誰かにやってもらうけど。
前世では煙草を嗜んでなかったからどうやって作るかも知らないし、素人がやって出来る事なのか知らないけど。
前回で出来なかった事をどんどんやってみたいね。
「良いんじゃないですか? 他にも調味料やら色々買い足しましょう。妲己達が実験と称してかなり使ってますからね」
「地上に1週間ぐらい滞在して、面白そうな人間探しもしたい。ユニークスキル持ちとかさ」
やっぱり、リブラであの服屋の店主を眷属にしとくべきだったか。
でも、店主はあくまで商人で作ってくれたのは職人さんだろうしなぁ。
まぁ、店主を抱き込めば職人もついてきたと思えば良かったのかも知れないが。
「地上に戻ると私達は余り表に出る事が出来ないので、レト様が主体となって動いて頂く事になりますが?」
「それはもう諦めた。いつか、良い感じの眷属が手に入るまで我慢します」
50年ぐらい経つまで、グレースは公の場には出さないよね。
それだけ時間が経っても、会った事のある超越者にはバレるんだろうけど。
それはもう仕方ない。
俺達が教皇直属の超越者と会う場面なんて、敵対してる時ぐらいだろうし。
「とりあえず、ここのボス倒しますか。宝箱は何が出るかな~」
前回は魔法書だったし、今回は魔道具が良いですねぇ。
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