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第四章 迷宮都市ラビリントス

第70話 グレースの進化

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 『名前  グレース・ミュラー (眷属)
  人種  ハイヒューム・ヴァンパイア・ナイト
  Lv  100
  【ユニークスキル】
  シックスセンス
  【スキル】
  剣豪術Lv2
  盾術Lv9
  総合武術Lv1
  軟体Lv2
  身体剛化Lv1
  身体制御Lv4
  集団指揮Lv8
  水魔法Lv8
  火炎魔法Lv1
  吸血Lv3
  教術Lv4
  性技Lv6
  速筆v2                                       』


 「ん…んぅ」

 進化で意識を失ってたグレースが目を覚ます。
 グレースは寝起きの少しの間だけ女子力を出してくる。
 普段はキリッとしてる人がぽけーっとしてるのを見るとギャップを感じるな。
 これが萌えというやつか。

 まぁ、やる事やってる分際で申し訳ないんだけど、恋愛感情的なのは湧かないな。
 多分グレースも無いと思う。
 尚、ヤンデレの波動は無かった事とする。
 お互い欲求を解消してるだけというか。
 どうでもいいか。

 「気分はどう?」

 「これは…凄いですね。なんて言うか全能感があります」

 意識がはっきりしてきた所で声を掛けると、グレースは手をグーパーしたり、軽く体を動かして調子を確かめている。
 見た目は変化無しか? いや、ちょっと美人度が上がってるかも?
 まぁ、極端な変化は無いっぽい。

 でもそれは外面の話であって。
 内面的なのは全然違う。
 人種の進化って凄いな。
 進化前とは別物と言ってもいい。
 妲己が進化した時にも思ったけど格が違う。
 体を渦巻く力の奔流を肌で感じる。

 「正直、ここまで変わるとは思ってなかったな。超越者を相手にする時は注意しないと」

 「進化したての私でこれですからね。長く超越者として君臨してる人達はもっと凄いのでしょう。第一騎士団の団長はそこまで強いと思わなかったのですが」

 「そこはあれだろ。自分をしっかり制御出来てたとか、そういう感じだろ。ここまで強さを垂れ流してたらゴブリンでも警戒するぞ」

 「身体のスペックもかなり上がってますね。これは慣れるのに時間が掛かりそうです」

 うーん。俺とアシュラは進化してもそこまで違いを感じる事は無かったんだけどなぁ。
 勿論、基礎スペックは進化前とは比べ物にならないぐらい上がったけど。
 こう、格が上がる的な? そういうのは感じなかったなぁ。

 「なんでだろうね? 小進化と大進化みたいな? 人種は初めての進化だからまぁ、分かるとしても、妲己はなんだろう。魔物にも一種の節目みたいなのがあるって事かな」

 そう言えば、蝙蝠から吸血鬼に進化した時は結構全能感があったような?
 うーん。異世界で過ごす時が長くなるほど謎が増えていくな。

 「レト様は次の進化でそうなるのでは? 子爵は下級貴族扱いですが、伯爵はそうではありませんし。アシュラは分かりませんが」

 じゃあグレースのナイトってのは騎士爵的な?
 こっからバロンとかになってく訳?
 それとも、主の専属騎士的な感じなのかな?
 良く分かんないね。

 「なるほど? そういう感じか。じゃあ次の進化に期待だな。いつになるか分からんけど」

 要求経験値量がもう馬鹿なんだよ。
 前回の3倍ぐらいいる。
 相手が強くなって経験値量も増えるだろうけど、かなり時間がかかるだろうなぁ。

 アシュラに関しては、次にどんな進化するのか見当もつかんから、なんとも言えない。
 本人も妲己が進化してからやる気出してるし、良い結果に繋がって欲しいもんだな。



 「うーむ。シンプルに強いな」

 進化翌日、早速試運転にムカデをしばきにきたが、普通に強い。
 進化前はかなり時間をかけて倒していたが、今回はすこぶる早い。

 「身体強化が上位スキルになったのが大きいですね。進化で身体スペックが上がったのもありますが、強化量が桁違いです。慣れないとかなり振り回されますね」

 3分程で、ムカデを倒しきり自己評価するグレース。
 【血液魔法】を使わない俺と時間変わらないじゃんね。
 進化は偉大である。

 「グレースがある程度慣れるまでこの階層でムカデ狩りするか。その後次に向かおう」

 アシュラが進化するまで粘ろうかと思ったけど、まだまだ先だろうしな。
 流石に飽きてきた。
 これまでとは違う魔物と戦って気分転換したい。
 味変ってやつよ。



 「誰もいないな」

 「都合が良いじゃありませんか」

 まぁ、そうなんだけど。
 人間相手にも進化した実力を試したかったというか。
 居るかなと思ってちょっと期待してたんだけど。

 40階のボス部屋まで来るのに、1週間ほどかかった。
 グレースが体に慣れるのに時間がかかったんだよね。

 「ここのボスってなんだっけ?」

 「熊系の魔物だと言われていますね。ここが攻略されてる1番深いボス階層ですので、あまり情報が出回っていません」

 熊か。まぁ普通だな。
 ミミズじゃなければなんでもいいや。

 「んじゃ、さっさと攻略してまたギリギリの相手を探しますか。強くなるのも楽しいけどマジで飽きてきた」

 「まだ一つ目の迷宮ですが、他の迷宮はやめておきますか?」

 「それはそれで中途半端になる感じが嫌なんだよな。やるなら全部クリアしたい」

 わがままですまんね。
 申し訳ないが、他二つの迷宮はダイジェストでお送りする事になるだろう。



 「グオオオォォ!!」

 「アシュラ! 競り負けるなよ! 押し切れ!」

 「ゴギャギャー!!」

 熊系だって話だから、でかいんだろうなと思ってたけど予想以上だった。
 5mはあるじゃないの? 腕4本あるし。

 アシュラを前面に出しつつ、俺と妲己は魔法でフォロー。
 グレースはアシュラがやばくなったら割り込んで助ける感じ。
 準タイマンみたいな感じで頑張ってもらっている。
 最初は苦戦してたけど【戦闘学習】のおかげか、段々と適応してきている。
 それでも倒し切るまではいかなそうなんだが。
 やっぱり火力不足だな。

 「グレース!!」

 「はい! はぁぁあ!」

 このまま続けてもダメそうだと、本格的にグレースを参戦させる。
 アシュラの対応に四苦八苦していた熊はそちらにまでは気が回らず、どんどん追い詰められていき、アシュラに顔をかち上げられた所をグレースに首を落とされて戦闘が終了した。
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