サイコパス、異世界で蝙蝠に転生す。

Jaja

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第四章 迷宮都市ラビリントス

第68話 感覚狂乱

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 「くははははは! 強すぎだろ、これ! 半信半疑だったけどこれを選んで良かったぜい!」

 現在、犬畜生達で新しく得た能力の実験中。
 グレース達には手を出させずに、俺だけで戦っている。
 正確には、俺がまだこの能力を使いこなせてないので巻き添えにならないように控えてもらってるんだけど。

 「でも、やっぱりこの能力は魔物より人相手の方が使えそうなんだよな。知能がある相手の方が刺さる。早く使いこなさないと」

 「ですね。私達も近付けないので、しっかり練習して頂かないと」

 俺が新しく得た能力は【感覚狂乱】。
 なんで異能じゃないのってぐらい強い。
 一覧にはそんな能力がいっぱいあったんだけど、これにはロマンを感じた。
 グレースには内緒だが。

 「魔物相手だとチョロすぎるな。っていうか、抵抗する手段が無ければ確殺だぞ」

 まぁ簡単に言えば感覚がおかしくなるってだけの能力なんだが、やばいに決まってるよね。
 弱めにかけても、コボルトの上位種程度なら前後不覚になる。
 自分では右に進むつもりなのに、左に進んだり。
 それだけで強いって分かるよね。

 「まぁその分対処は簡単なんだが」

 「それも強くなれば解決するでしょう」

 【感覚狂乱】には魔力を使うんだが、使った魔力以上の魔力を放出すれば抵抗出来る。
 実際、妲己は簡単に抵抗してきた。
 無駄に魔力を使うから、あんまりやりたくないらしいが。
 要するに、相手より魔力が多くないと使えない能力という訳だな。
 で、俺もまだ使いこなせてないから、周りに撒き散らすように使ってるんだけど、味方にもかかっちゃうんだよね。

 「ゴ、ゴギャギャ!?」

 「キュンキュンキュン!」

 初めて能力を使った時、軽めにしか使ってないから、グレースと妲己はすぐに抵抗出来たけどアシュラはモロにかかってしまった。
 魔力操作が苦手だからな。
 あっちにふらふら。こっちにふらふら。
 かなり戸惑って訳も分からず涙目になってるアシュラを見て、妲己はヘソ天して爆笑していた。
 申し訳ないけど、それぐらい面白かったんだよ。

 「今は雑魚狩り専門みたいだけど、俺が強くなれば魔力も増えるしな。いつか国のど真ん中で使って高みの見物してやろう」

 絶対面白いと思うんだ。
 どうなるか想像もつかないね。

 「さて、【感覚狂乱】はこのぐらいにしといて、他の能力も試すかな」

 レベルアップした【魔眼】の停止はそのままだった。
 見た対象を止める。
 強い。強いんだが。

 「これ、べらぼうに魔力使うな」

 使う対象によって魔力消費も変わるが、最低でも1割は使う。
 妲己を1秒止めようと思ったら、半分ぐらい使った。

 これは使い所を選ぶなぁ。
 もっと魔力が増えたら良いんだけど、現時点で俺の魔力も相当多いと思うんだよね。
 Lv99のグレースの倍ぐらいはある。
 超越者になったら一気に増えるかもだけど、それでも人類で強い方のグレースの倍はあるんだ。
 それでこんなに使うんだからな。

 「強い能力はそれだけ使うのが難しいって事かな」

 「それにしては妲己の【幻影魔法】はおかしいと思いますが」

 それな。
 あれも、結構魔力使ってるけど差し引いても使い勝手が良すぎる。
 最近は、3体目を出そうと練習してるし。
 この前は幻影で俺を出していた。
 妲己が使える能力しか使えないが、おかしいよね。
 なんか俺が【火炎魔法】を使ってるのは新鮮だったけど。
 客観的に見た俺はカッコよかったです、はい。

 【影支配】は、唯の上位互換かなと思ってたけど、全然違った。
 これ、魔力消費が無くなってるんだよね。
 なんか、影空間を維持するのが楽になってるなーと思ってたら、魔力消費してなかったんだよ。
 それでいて、操作もかなり楽になってるときた。
 支配の名は伊達じゃない。
 マジで影を支配してる。
 これが普通の能力ってんだから、魔物は強くなればなるほど手が付けられなくなる。

 「これさぁ。人類はもっと魔物討伐に力を入れるべきだと思いますよ? 放置してこんな強くなっていったら人類終了のお知らせじゃん」

 「いえ、こんなスピードで進化していく魔物はそうはいませんよ? 普通は弱い段階でほとんどは淘汰されるものです。自らダンジョンにやってきて、強くなろうとするなんてイレギュラーもいいとこです」

 そうなんだけどさぁ。
 なんか楽観的だよね。
 万が一とか考えないのかしらん?
 もっと大々的に、それこそ魔物が絶滅するレベルでやらないと。
 緩やかに破滅に向かってる気がしてならない。

 「俺が国を作るとしても、冒険者ギルドはいらないな。国主導で魔物討伐はするべきだ。どれだけ金がかかろうともな。大体、外敵を信用も出来ない奴に任せる事がおかしいんだよ」

 「国ではそこまでする余裕がないのでは? 雇われでは報酬も違いますし」

 「いや、冒険者ギルドを国がしっかり管理出来てるなら良いんだよ。冒険者になるには国の許可がいるとかな。底辺の冒険者なんて野盗と変わらんだろ」

 前々から思ってたんだ。
 国から独立した組織です、みたいな。
 国が管理出来ない戦力を信用しすぎなんだよ。

 「ま、こんな事考えてもまだまだ先の話だし。直近の問題を片付けますかね」

 「では、とうとう?」

 「うむ」

 俺は能力チェックを終えて、全員を影の中に入れる。
 ふかふかのソファに座り煙草を咥え、血をグラスに注ぐ。

 「時は来た」

 偉そうに足を組みながら煙草をふかす。
 取れたてほやほやのコボルトの血を一息に飲み干す。
 うんまい。

 「ムカデリベンジじゃー!!」

 「「「……」」」

 え、ノリ悪くない?


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 某厨二病ブッ刺さり漫画の能力をパクったとか言わない。
 平○さんの刀の能力じゃない。
 逆○邪八宝塞じゃないんや。
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