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第四章 迷宮都市ラビリントス
第66話 進化5
しおりを挟む妲己が進化して、1ヶ月。
流石に犬畜生の顔も見飽きてきた頃。
俺にとって、待望の瞬間が訪れようとしていた。
「多分、この群れを仕留めたら器がMAXまで貯まる。もしかしたら、急に意識失ったりするかもしれないから、そうなったらグレースが指揮をとって俺が目覚めるまで待機で」
「かしこまりました」
さーて、やるぞやるぞー!!
《進化が完了しました。二つの魂を確認。片方の魂には既に異能がある為、もう一つの魂に異能を付与します》
《上位存在※※※※の介入を確認。異能が取り消されました》
《上位存在※※※※の介入を確認。進化特典の魔物能力が取り消されました》
《上位存在※※※※の介入を確認。魔物能力が選択式になります》
案の定気を失ってたな。
光に包まれた感は無かったから、特殊進化じゃないと思うんだけど。
あくびをしながら頭の下にある柔らかい感触を堪能する。
「お目覚めですか?」
「お目覚めだけど、もう少しこのままで。まだこの感触を堪能したい」
「夜になればいつでもお楽しみ頂けますが?」
「それはそれ。これはこれ」
寝てる間に膝枕されてるってのは、世の男性からすると中々のイベントだと思うんだよね。
こう、なんて言うか良いものなんだよ。
「私は構いませんが、せめて影の中に入りませんか? 戦い終わってすぐに気を失ってしまわれたので、森の中の地面です」
「それもそうだな」
俺はそう言いながら、影の中に全員を取り込む。
妲己とアシュラは寝ていたので、起こさない様に気を付けながら。
君達、お互いの時は心配してたのに俺の時は寝てるのかね。
妲己は俺が進化するのを見た事あるけど、アシュラはないだろう。
なんだか悲しい。
「アシュラも心配してましたよ。妲己が宥めて寝かしつけたんです」
「おかんかよ。妲己のママ味化が加速していってるな」
『ヴァンパイア・オリジン (子爵)
名前 レト・ノックス
【異能】
魔眼Lv4 (解析)
(魔力視)
(遠見)
(停止)
【魔物能力】
血液魔法
音魔法
影支配
眷属化 (3/10)
未選択 』
《上位存在※※※※からメッセージが届いています》
「ん? は? え?」
「どうかなさいましたか?」
「いや…ちょっと待ってくれ」
【魔眼】で進化後の自分を確認しようとしたけど、訳の分からん事が多過ぎる。
上位存在※※※※? 名前分かりませんけど?
自分の事よりメッセージが気になって仕方ない。
とりあえず見てみるか。
《やほやほー! 初めましてだね、レト君!僕の名前は※※※※だよー! 分かるかな? まだその段階じゃ分かんないかも? どっちでもいいや! もっと強くなったら分かるかもね! まぁ、僕の名前なんてどうだって良いんだ! 異世界から異物が流れ込んで来たから、君の事はずっと見てたんだよ! 欲望に忠実で実に面白いよね! 僕達の世界に良い影響があるかなと思ってちょこっと介入しちゃった! 君がそのまま好き放題やってくれるともっと面白い事になるかも? ならないかも? まぁ、とにかく君はそのまま僕達の世界を楽しんでくれると良いよ! この調子で頑張ってね! いつか僕達に会える事を楽しみに待ってるよ! じゃあね! ps レト君は眷属の子が進化する度に、能力を羨ましがってるからね! 今回からは選べる様にしちゃいました! 最初は逐一それっぽい能力を介入して付与してあげようかと思ってたんだけどね! 余りにもあれが欲しい、これが欲しいと要望が多いので! 僕も面倒臭くなっちゃったのさ! まぁ、僕からの応援だと思って有り難く受け取ってくれたまえよ! わははははは!》
「いや、テンション高いな」
メッセージを見ても全く訳がわからん。
上位存在は神って事でいいの?
僕達の世界とか仰ってますし?
で、俺はこの世界に蝙蝠として転生してから見られていたと。
異世界からの異物って言われたし、イレギュラーな事だったのかな?
目的があって呼び出されたとかじゃなさそう。
そんで、俺の生き様が面白いと。
失礼かもしれないけど言わせてほしい。
正気か? 好き放題殺し回ってるぞ?
それがどんな良い影響を与えると?
確かに、殺したのは盗賊が圧倒的に多いけど、多分それは今だけだぞ?
力を手に入れたら、もっと一般人にも手を出すと思う。
とにかく一回は大きい戦争してみたいし。
この上位存在とやらはそれを推奨してるのか?
もしや、邪神的な存在だったり?
「グレース。この世界に、テムテン様とアイシュ様以外に神様って居るのか? それか敵対してる邪教徒とか」
「いえ、聞いた事はないですね。辺境に行くと土着信仰もありますが、あくまでも御二方を尊重した上での事ですので」
本家本元の所に所属してたグレースでも知らないなら本当に二柱だけなのか。
それかかなり隠蔽されてるか。
うーん、分からん。
まぁ、殺すなって言われてないし良いか。
この調子で頑張れって言われてるしな。
んで、最後におまけの様に書かれてた能力についてだな。
この未選択ってのがそうだと思うんだが。
妲己の能力を羨ましがったり、心の中でこんなのが欲しいななんて思ったりしたからだろうか。
なんか駄々こねたみたいで恥ずかしいんだが。
選ばせてくれるなら喜んで選ぶけどね!!
進化自体はまぁ予想通りって感じだな。
順調に男爵から子爵になってる。
【魔眼】は停止ってのが増えてるな。
後で使い心地を確かめてみよう。
後は【影魔法】が支配になってる。
強化された感じなのかな。
これも後で要チェック。
今回1番安心したのは、眷属枠が増えた事だな。
5人のままだったら、これから眷属にする相手を相当厳選しなければならなかった。
この後も進化して枠が増えていくなら、偶にフィーリングで選んだりしても面白そうだ。
未選択はちょっと後回しだ。
チラッと見たけど、能力がズラーっと書いてあり、とてもじゃないけど直ぐには決められない。
今考えたいのは、上位存在についてだ。
グレースも気になってるのか、チラチラとこっちを見てるし、話を共有しよう。
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