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第三章 人間の街
第27話 商業都市リブラ
しおりを挟む結局侵入したはいいものの、やる事が無かったので影の中で夜明けを待った。
妖狐を起こしてブラッシングをしたり、魔力操作の練習をしたりと、割と有意義な時間を過ごせた。
「すっかり、日が昇ってしまってるな」
熱中し過ぎて、もう結構日が高くなっている。
最近は魔力の隠蔽を練習してるんだよね。
魔物は基本的に魔力を垂れ流してる。
操作する知性がないんだろうな。
人間の街に入るにあたって、垂れ流しはまずいと思い人並みな感じは出してると思う。
魔力を見れる人間もいるだろうし。
「おお! 見渡す限り人! 目移りしちゃう!」
おっと、涎が。
今は自重しなければ。
因みにね、人間の血。
俺が何も言わない事で察して欲しい。
全然美味しくないの。
期待してたからかなりショックだった。
まさか、ゴブリン以下だとは。
ただ、強かった人間は美味しかった。
それでもキラー・オルカより下だけど。
「勇者とかいないのかな。それなら美味しいかもしれん」
後、女ね。
まだ飲んだ事ないのよ、女性の血。
ヴァンパイアは処女の血とか好きなんじゃないの?
どこかで飲んでみたい。
これで不味かったら人間の血は諦めるよ。
相当強くない限りストック行きだね。
「うわー。すげー。獣人がいる。ファンタジーすぎるだろ」
犬耳と猫耳を発見した。
自分がヴァンパイアになったり、魔法使ったりしてるのに今更感あるけど異世界に来たって感じがする。
なんか現実味が無かったんだよな。
「エルフとかドワーフもいるのかな? 後で探してみよう」
とりあえずの急務は服である。
フォレスト・スパイダーの糸があるから自分で作っても良いんだけど、とりあえず間に合わせの服が欲しい。
いつ、魔法が解けるかわからんからな。
そういうスキル持ちがいるかもしれん。
流石の頭イカれてる俺でも公衆の面前で裸になれるほど狂ってないからな。
「どれぐらいお金があったら足りるんだろうね。無理そうなら盗むか」
盗賊から頂いたお金で足りると思うが。
どこに服屋があるんだろうね。
とりあえず中心街に行ってみるか。
もうすぐ中心街に着くといったところで、目の前にいかにも騎士ですみたいな高貴なオーラを出してる美人さんが歩いてきた。
『名前 グレース・ミュラー
人種 ヒューマン
Lv 89
【ユニークスキル】
シックスセンス
【スキル】
剣術Lv8
盾術Lv6
体術Lv8
身体強化Lv7
集団指揮Lv5
水魔法Lv4
火魔法Lv4 』
え、つっよ。
ユニークスキルなんてのも持ってらっしゃる。
人間版の異能かな?
これ、なんで人間と魔物でスキルの見え方とか名称が違うのかね。
意味があったりするんだろうか。
ってか、シックスセンスってやばくね?
勘がめっちゃ良いって事だろ?
関わったらバレるかもしれん。
「いてっ」
「おっと、すまない。考え事をしていた。大丈夫か?」
「大丈夫ですー。お気遣いなくー」
やべっ。
【魔眼】で見る事に集中してぶつかってしまった。
今は関わりたくねぇ!
さっさと逃げるべし。
俺は目を合わせる事もなく、そそくさと立ち去る。
「バレてなさげ? バレるかと思ってヒヤヒヤしたな。シックスセンスはそこまで有用じゃないのかな? 丁度良いし、あれを眷属にしようかな~」
問題はどうやってするかだけど。
どうにかして、タイマンで喧嘩売って無理矢理血を飲ませるか。
勝てるかどうかがわからんな。
あの盗賊より強いし、人間で魔法使う敵とも戦った事がない。
実力を見てみたいな。
戦ってる所を観察して万全の状態で挑みたい。
どうしたもんか。
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