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第三章 人間の街
第26話 侵入
しおりを挟む「うーん。やっぱり文明はお決まりの中世っぽいなー。いや、それよりはちょっと進んでるか」
真夜中の喧騒も静まった頃。
俺は空からリブラに侵入していた。
「警備もかなりザルだし。空からの侵入には気を使ってないのかな?」
あっさりと地上の目立たない所に着地し周りを見渡す。
街灯なんてものはなく、月の明かりだけでなんとか見えるといったところ。
まあ、俺はデフォルトで夜目がきくのであまり関係ないけど。
「うーん。入ったのはいいけどどうしよう。夜中に街を歩くのは目立つよね」
影の中に入って夜明けを待つかね。
因みに、妖狐は影でお休みしてる。
魔物って睡眠いるのかな?
俺も寝ようと思えば寝れるけどさ。
「あ、ここはお決まりのスラム街に行って裏組織的な所に喧嘩を売ろうかな? 異世界物の定番だよね」
迷うな。
スラム街での殺人は非常に心が惹かれる。
殺しても誰の迷惑にもならなそうだし。
「いや、必要悪になってる場合もあるか」
うーむ。
どうしようか。
虐げられてる子供とか見たら感情移入しそうなんだよね。
昔の俺を見てるみたいで。
大人はどうでもいいが、子供は可愛いからな。
「かと言って中途半端な施しは害にしかならないからなー。前世で学んだ」
助けるなら大人になるまでは面倒を見てやらないといけない。
その場だけ助けてもお互いハッピーにはなれないんだよね。
前世でも俺の境遇を見かねて助けようとしてくれる人はいた。
だが、親からの仕打ちは悪化した。
そこで更に何かをしてくれたら良かったんだけどな。
手を引かれて、世間体を気にした毒親が締め付けを強化しちゃったから。
まあ、あの時の俺は弱かった。
他人に期待しちゃいけないと学んだね。
「って事で、ここはスラム街は無しかなー。今の俺に助けてあげられる力もないし」
暴力は全てを解決する。
いくら財力、権力があろうとも殺されたら終わりだしね。
だけど、面倒見ようと思ったら財力と権力がある程度いるわけで。
暴力も俺の現時点が分からないのでは、目立つ行動は悪手だろう。
「すまぬな。まだ見ぬ子供達。俺が最強になるまで待っててくれ」
それがいつになるかは分からんが。
盗賊達に話を聞いたけど、この世界には魔王が最低でも4体はいるらしいし。
「噂の竜王なんて、今の所勝てるビジョンがわかないし。1000年は生きてるってなんだよ」
さぞかし経験値を貯めて進化を繰り返してる事だろう。
ここ最近はずっと寝てるから強くなってないかもしれないけど昔は大暴れだったらしいし。
こちとらまだ生まれて2.3年のぺーぺーよ?
恐らく、格そのものが違うだろうね。
「とにかく今は雌伏の時。いかに目立たず人間にちょっかいかけるか考えよう」
ついでに丁度良い人間の調達だな。
眷属化の実験をしたい。
その時にある程度力と権力を持ってる奴だと尚良し。
使い捨てにしても気にせず、かと言って無能でもなく。
「そんな都合の良い人間の方はいないもんですかね。有能だったら有能で重用したら良いし」
あれか。
裏社会を牛耳って影の実力者ムーブするのもいいな。
殺す人間はいくらでもいそうだし、楽しそう。
もしくは、国王とかその周辺を眷属にして戦争を仕掛けまくるとかな。
殺したい放題じゃないか。
俺が国を作って王になるのもいいな。
運営自体は眷属に丸投げして、殺したい時に戦争をする。
うーん。夢が広がりますな。
「まあ、どの案を実行するにもとりあえず強くならないとな。負けたくないし。喧嘩売って無様に敗北だけはしたくない」
とりあえず情報収集しますかね。
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