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第二章 名も無き吸血鬼
第20話 初遭遇
しおりを挟む「キュンキュン!」
妖狐が【火魔法】を使って、猿の魔物を仕留める。
狐と言えば狐火だよね。
【火魔法】を授けた神様的な存在は良く分かってらっしゃる。
居るのか分からないけど。
転生したんだから、居るんだろうなーとは思ってます。
海の魔物を1週間程狩り続けて、存分に血をストックした後。
俺と妖狐は、海から森に逆戻りした。
どうせなら、まだ行ってない方向を開拓しようと思い、来た場所とは全然違う方向へ向かっていると、未知の魔物が結構増えた。
群れで襲ってくる猿の魔物のフォレスト・モンキーや、猪の魔物フォレスト・ボア。
後は、異世界定番のオークも初めて見た。
あの時はテンション上がったね。
くっ殺ごっこをしてたら妖狐に不思議そうな目で見られたもんだ。
そういえば気になってんだけど、オークって豚なの? 猪なの?
どっちでも良いけど、不意に気になった。
「あーずっとおんなじ景色は飽きるなー」
「キュン」
海から離れてかれこれ半年は経つ。
経験値もやっと8割ぐらい貯まったところ。
森を彷徨ってかれこれ累計で1年は過ぎてる。
特別強い魔物もいないし、なんで人間と遭遇しないのかね。
「お、反応あり。これは…オークか?」
「キュン!!」
オークの名前に反応する妖狐。
オークは結構美味しいらしい。
俺は食べていない。
顔が気持ち悪過ぎて抵抗がある。
ってか、この世界に来て、固形物を食べてないような?
血オンリー。
ヴァンパイアの名に恥じない行動だな。
あ、魔石食べてるか。
「キュンキュンキュン!」
おお?
妖狐が瞬殺したと思ったら、体が大きくなった。
尻尾が3本になってるな。
『三尾妖狐
名前 無し
【魔物能力】
超念力
火魔法
回復魔法 』
進化きたー!
いいないいなー!
特殊演出的なのは無かったから通常進化かな?
このまま尻尾が増えていくっぽいね。
……言っちゃ悪いけど面白味がないな。
「キュンキューン!」
まあ、妖狐が嬉しそうだから良しとしよう。
俺も後少しだから早く進化してー。
「ふむ? 回復魔法もダメージ無しか。ヴァンパイアってマジで弱点無し? 無敵じゃん」
妖狐が【回復魔法】を新たに覚えたので、俺に使ってみたけどなんとも無かった。
後はなんだ? にんにくとか十字架とか? 銀もダメなんだったような?
物が手に入ったら試してみたいな。
それから2週間程歩き、とうとう見つけた。
やばい。心臓の高鳴りが抑えきれない。
「ぎゃはははは!」
「親分! 今日も余裕でしたね!」
「おうよ! この辺の奴らはちょろいぜ!」
「奪ったもんも中々の品ですぜ!」
「野郎共! 今日は飲むぞ!!」
「「「へい!!」」」
人間だ。ああ人間だ。ニンゲンだ。
「クヒッ! クヒヒヒヒ!」
ダメだ。とても抑えきれそうにない。
しかもTHE盗賊。
初めて会ったのが盗賊とは。
善人だったら、ちょっぴり迷ったかもしれない。
「いいよね? もういいよね? 転生してからどれだけ待ち焦がれたか」
「キュウ?」
「妖狐は影の中に入っといて。今回ばっかりは俺の獲物だ」
俺の【影魔法】は、相手の同意があれば影の中に生物も入れられる。
魔力で無理矢理放り込む事も可能だけど、格下ぐらいじゃないと無理かな。
後は意識が無い奴とかね。抵抗されないから。
妖狐は歩くのがだるくなってきたらいつも影の中にいる。
結構快適みたいです。
いつもは、狩りは一緒にやってるんだけど今回はダメ。
何が何でも1人でやらせてもらう。
「相手は15人ぐらいか」
体はかなり昂ってるけど、頭は冷静に。
俺の強さが人間相手にどれだけ通用するか分からないからな。
「クフッ」
ああ。タノシミダ。
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