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第一章 名も無き蝙蝠
第11話 ボスゴブリン
しおりを挟むあれから予想通り、帰ってこないゴブリン達を不審に思ってか、また少数の人員を派遣して来たので美味しく頂いた。
それを2回繰り返した後、とうとうボスが重い腰をあげた。もうちょっと数を減らしたかったけど仕方ないか。
取り巻きは残り15体程。
全員がこっちに向かってくるなら消音結界はいらないな。
いや、杖持ちには個別で結界使おう。これで詠唱が出来なくて、魔法を使えなかったら儲け物だ。
余裕がある時に詠唱無しで魔法が使えるのか実験しておけばよかったな。
そんな事を考えてたらいよいよ接敵。
先手必勝! サウンドボム!×3
一発で死なないのは分かってんだ。
とりあえずこれで取り巻きを倒しておきたい。
ここまでの数の複数に使った事は無かったから不安だったけど、しっかり効果はあったみたいだな。
【音魔法】が強すぎる。これだけで覇権とれんじゃないの?
取り巻きの生き残りをソニックニードルで仕留めていきながらそんな事を考えていたのがフラグになったのか。
「ギャギャギャ!!」
「え、こわ。無傷じゃん」
ボスは無傷でピンピンしていた。
えー、無傷は困る。とても困る。
多少なりとも効いてくれないと攻略法がわかんないじゃんね。
どうしたもんかと、とりあえずソニックニードルをぶつけてみる。
微動だにせず。ばけもんかよ。訳がわからん。
なんで効かないんだろう?
下っ端には有効だから何か訳があると思うんだけど。
そのままボスを観察しようとしてると、大剣を振り回しながら走ってきた。
「って、はや!」
俺は慌てて天井に避難するがお構い無しに飛び上がって大剣を振りかざしてきた。
「届くのかよ!! フィジカルすげーな!」
俺は避けつつもボスの背中に貼り付く。
からの! 【吸血】!
おお! 出来た! いや、うまーい!
脳が蕩ける。新しい扉を開きそう。
俺が血を堪能してると、ボスは壁に背中をぶつけようとしてたので背中から離れる。
そして、ソニックニードル!!
うーん、やっぱりこれは効いてないな。
【吸血】は効いたのに。
ちまちま削っていくしかないのかね。
それからは持久戦。
ちょこまかと飛び回りつつ偶に【吸血】。結構血を吸ってるので出血多量で死んだりしてくれるのを待ってるんだが、未だ衰えず。
【音魔法】は相変わらず不発。
何回も撃って分かったのはなんか弾かれてるっぽい。あれか? 身体強化的なやつか?
魔力を体に巡らせて身体能力を上げてるみたいなやつ。
俺も体に張り巡らせてるつもりだけど、やり方が違うのか、能力がないと使えないのか。
意識の問題かな?
まぁそれは、終わってから確かめるとして今どうするか。
体に巡らせてる魔力で俺の【音魔法】を弾いてるなら納得いくんだよね。
ボスの魔力を超える出力が足りてないんだろう。
それならばと、俺は今まで『針』のイメージで使ってたのを『矢』にする気持ちで使ってみる。
結果は、成功。ボスは確かにふらついた。
チャンス! と、ここで畳み掛けたい所だったんだがかなり魔力を使ったので連発できない。
逃げつつ、魔力を回復させてぶち込んでいこう。
「終わったー」
ふひー。疲れた。
合計で3時間ぐらい戦ってたんじゃないかな。
しかも、これで器がまた貯まった。
意識を内側に向けたら進化が始まるんじゃないですかね。
だが、その前に。
あちこちに散らばってるゴブリン達の魔石と血を回収しなければ!
下っ端達は、【吸血】で味わわずに、血だけを回収。今日はメインのボスがいるからね。
下っ端達の血と魔石を回収し、全てを血肉に変える。
おおー。最大魔力量がかなり増えたな。
これはこれで操作するのが難しくなるんだが。
そして! メインディッシュのボスゴブリン。
結局こいつの名前はなんなんだろうね。
ゴブリンも俺が呼んでるだけだから今更か。
まずは魔石を抉り出すが流石に大きい。
これ食べれるか? って思ったけどあっさり食べれた。
人間の拳ぐらいはあったと思うんだが不思議だね。
そして、先に味見をしてしまっている血。
いただきます。
「あーうまい。うまい。うまい」
これはあれだ。天然水から、高級ジュースにランクアップしてる。
やっぱり血の美味しさは強さ依存かな。
それなら尚更、どんどん強くならないとな。
俺は改めて決意して、ボスの血を楽しむのであった。
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