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第6章 シークレット始動
第133話 大苦戦
しおりを挟む「あーそれは知らなかったかなぁ」
桜が糸で傷口を広げて、そこに塩を塗りたくるように攻撃をする攻略メンバー一同。
これは案外すぐに終わりそう。そんな事を思ってたのがいけなかったのか。
亀の体が再生し始めた。
「どれだけ耐久寄りのステータスしてんだよ。再生まで使ってくるとは」
戦った事がないから、向こうの冒険者の情報や、本で見た知識しか知らなかった。
だから、こいつが再生までするとは知らなかった。そりゃS級冒険者が割に合わんと言う訳だ。
圧倒的火力で仕留めれないなら、長丁場になるのが確定してるもんね。しかも綺麗に倒さないと素材も取れないし。
狭間は倒したら勝手に素材に変わってくれるから、そこは気にしなくて良いんだけど。
総攻撃をしてたみんなは目に見えて焦ってるな。
ここで仕留められないなら、ペース配分を考えないと、後半ガス欠するだろう。
はてさて、どう判断するのやら。
「皆さん! 一旦引きましょう! 『MMM』と上杉さんだけ攻撃を続けて下さい! なるべくあの魔物を休ませないように!」
稲葉さんがこれはダメだと判断したらしい。
一応このギルド連合のまとめ役をしてるのが稲葉さんだからね。緊急時は誰の指示に従うかも決めてたんだろう。俺は知らなかったが。
「わっはっはっは! 者共! 筋肉を唸らせろ!! 時間稼ぎだ!!」
「「「おおおっ!!!」」」
「召喚! サンド・スコーピオン!」
『MMM』と『スキナー』の上杉さんが亀を休ませないように攻撃する。
再生するのにも魔力を使ってる筈なんだよな。
結界魔法を破った後に張り直してなかったから、魔力切れになってると思ってたんだけど、再生に回す分は残してたって事か。中々どうして頭が良い。
時間稼ぎを任せた他の面々は、こちらに急いで帰って来てポーションやらを飲んで仕切り直している。
「とにかく休ませずに交代しながら少しずつ削っていくしかありませんか?」
「織田さんみたいに高火力があれば別でしょうけど、自分達ではそうするかないでしょう」
軽く休憩しながら、矢継ぎ早に情報交換して今後の作戦を決めていくリーダー陣。
うーん。優秀になったなぁ。指導した側の人間として鼻が高いです。
「二ギルドずつ交代で受け持っていきましょう。万が一結界が復活したら、また全ギルドで攻撃する感じで」
「了解です」
方針は決まったらしい。
その様子を大村さんはキラキラした目で撮影していた。うんうん、分かるよ。極限状態の中でやる作戦会議って、なんかカッコいいよね。
「ん? あ、やばいな」
作戦会議も終わってそろそろ交代って時に、亀の口の中で魔力が収束し始めた。
これまた知らない情報だ。どうやらこいつはブレスを吐くらしい。これをB級認定してる向こうの冒険者ギルドはおかしいんじゃなかろうか。
俺から見ても普通にAはある。ほんと、この狭間は思いっきり外れだな。禁忌領域に当たったところよりはマシだろうけど。
「イージス」
俺は緊急時に備えて忠義に憑依していたので、とりあえず全員に結界を張る。
流石にこれは死者が出る。
「た、退避--」
「ガァアアア!!」
俺が結界を張ると同時に亀はブレスを吐いた。
いち早く気付いた真田さんが、全員に退避を呼びかけようとしたけど手遅れ。
時間稼ぎをしていた『MMM』と上杉さんは直撃、その他の集まっていた人員も大半が吹き飛ばされた。飛ばされなかったのは『シークレット』の面々くらいだ。公英は大ジャンプして避けてるし、桜はそれに便乗して公英に糸を巻き付けて一緒に回避。陽花は良くわからん。俺が見えたのはなんかブレスを受け流してる瞬間だった。原理は不明。
液体で一体どうやったのやら。
「あ、神田さんは飛ばされてるや。まだまだ修行不足だな」
『目が回りますっ!』なんて言いながら、吹き飛ばされていた。案外余裕がありそう。
「『風神雷神』『リア獣撲滅』お願いします!」
吹き飛ばされた面々は早々に戦線に復帰。
休ませたら回復しやがるからな。多分あのブレスも頻繁には撃ってこれないはず。
とにかく削らないといつまで経っても終わらん。
「よっしゃ! 行くで! 時間稼ぎしながらちょっとでも削るんや!」
「私達も行くよー!」
「童貞ギルドには負けてられないよー!」
なんかシンプルに悪口が聞こえた。いや、気にしないでおこう。『リア獣撲滅』が精神ダメージを受けてる様な気がするが…。
「織田さん、助かりました」
「いえいえ。流石にあれはやばかったですからね」
元はと言えば俺が情報を知らなかったせいだし。
ん? 違うな。普通は戦う前に情報なんて得られないし、やっぱり俺は悪くないな。
俺の情報を鵜呑みにして、自分達での情報収集を怠ったみんなにも責任があると思います。
まぁ、なんで情報を知ってんだって話なんだけどね。そこは俺だからで納得してもらってる。
みんなもあんまり深く聞いてこないし。
「マジでこれは今日中に終わりそうにないですね。徹夜での攻略も視野に入れて下さい」
「そうですね。ペース配分をしっかり調整していかないと」
んー。心配するし、誰かに一旦外に出てもらって野次馬達に時間掛かるって言いに行った方がいいか?
いや、いっか。そこまで気を使わなくても。
やきもきしながら勝鬨を待ってて下さい。
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