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第6章 シークレット始動

第132話 戦闘開始

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 「がっはっはっは! 固い! 固いぞ! これだけ殴っても壊れない物は団長以来だ!!」

 「蒲殿! これは良いものですな!」

 戦闘が始まって1時間が経過した。
 ギルド連合は未だに結界を突破出来ていない。
 亀の魔物も土魔法を使ったり、踏みつけたりして対抗しているが、いかんせん動きが遅い。
 そのせいで避けるのは容易であり、こちらが一方的に攻撃出来ている。出来ているのだが。

 「どーん!」

 「どーんだよー!」

 前衛は公英や稲葉さん、安藤さん、それに『MMM』の筋肉集団が務めて、結界を四方八方から殴っているが、結界に阻まれる。
 後衛は『風神雷神』を中心に魔法の雨も降らせているのだが、とにかく固い。

 「シャコパンチ!」

 ミシッと結界が軋む音が聞こえる。
 しかしそれでも破れない。溜めに溜めた神田さんのシャコパンチは、公英の本気の一撃をも凌駕するんだが。軋むだけマシか。

 「あたしはあんまり役に立たないね~」

 「私は結界がなくなってからが本番かしら?」

 桜も束糸で遠距離からペチペチと叩いてるが、あまり効果があるように見えない。
 桜は暗殺者ムーブが得意だからな。とにかく固い相手とは相性が悪いだろう。

 今回の攻略で重要なのは陽花だ。
 結界を破壊した後も、固い体が待ち受けてる訳だが、それを酸やら毒やらで一部分だけでも弱体化させてくれたら。後はその傷口を集中狙いで、攻撃すればダメージを与えられるんじゃないか。
 そう思って今は待機してるらしい。

 因みに作戦を立てたのは、ギルド連合の皆さんで、俺は関与していない。
 あくまでも付き添いと、大村さんの護衛というスタンスを貫かせてもらっている。

 俺ならどうしますかとは聞かれたけどね。
 魔法でグシャっとやって終わりです。あの時のみんなの参考にならねぇよという視線は忘れられないね。仕方ないじゃん。俺の戦闘は基本的にゴリ押しなんだから。

 今回の大阪の狭間は中々外れの部類に入ると思うけど、これを攻略出来るなら禁忌領域以外はなんとかなるんじゃないかなと思っている。
 それぐらい成長してるなぁとしみじみ思う。
 引きこもりたいのに、それを我慢して頑張って指導した甲斐があるってもんよ。

 「なんか映画の怪獣戦争を見てるみたいだな」

 「あ、それですか。私もさっきから何かに似てるなと思ってたんですよ」

 少し離れた場所で大村さんと戦闘風景を眺めてたんだけど、こんな感じの映画をこの前見た。
 人間は超能力なんか使って無かったけどね。戦車やら大砲やらで対抗してるやつ。

 「ふむん。面白そう。能力を使ったこういう映画とか作ってくんないかな」

 「ハリウッドとかは真っ先にやりそうですよね。なんでしてないんでしょう?」

 それは知らん。
 狭間攻略の方が儲かるし国の利益になるからな。
 そんな事してんじゃねぇって国から言われてるのかもしれん。

 「こういう怪獣戦争モノの映画なら、『スキナー』の上杉さんに協力してもらったら、それなりに面白いのが出来そうなんだけどな」

 『召喚』で見映えの良い魔物なんか出してもらったりしてさ。今回の亀の魔物なんて持ってこいじゃん。これを『召喚』するのは中々魔力がきつそうだけど。

 「1級の狭間大量発生フェスティバルが終わったら、是非協会にお願いしよう」

 「私も少し気になりますね」

 「大村さんがカメラマンとかやってくれたら、最高にいいのが出来そうです」

 終わってからの楽しみが出来たぜ。
 生産者学校を作ったり、忙しいんだけどね。
 なんかやっぱり俺って、自分から仕事を増やしにいってる。まぁ、面白そうな事には逆らえないから仕方あるまいて。お高くとまってるハリウッドに一泡吹かせてやりたい気持ちもある。
 日本の映画の凄さを思い知らせてやろう。

 「お」

 「割れました!!」

 そんなお話をしてると、とうとう結界が割れた。
 シャコパンチやら、公英の本気の一撃、その他前衛組がタイミングを合わせて放った攻撃は、結界をしっかり破壊した。まぁ、魔力が減ってきて結界の強度が落ちてたってのもあるんだけど。

 「私の出番ねぇ」

 陽花が待ってましたとばかりに、体をドロッとさせて亀の魔物に液体を射出する。
 見た目が明らかによろしくないけど、効果はかなりあると予想してる。なんたって。

 「団長さんに貰った毒は凄いわねぇ。解析して取り込むのに時間が掛かったけど…。その甲斐があったわぁ」

 俺が異世界産の毒を色々渡したからだ。
 多分毒とかそっち系に関しては異世界の方が上だと思う。しかも俺が渡したのはS級以上の魔物が持っていた毒だからね。
 陽花はそこから更に自分流に配合してアレンジしてるらしいけど。

 「グガァァァァァァアア!!」

 この日初めて亀の魔物が苦しい悲鳴の様な鳴き声をあげる。それだけ陽花謹製の毒がやばかったんだろう。

 「魔法組! 傷口を集中狙いです!」

 この機を逃すものかと稲葉さんが全体に指示を出す。これの弱点は素手で殴ってる組が攻撃出来ない事だな。自分に毒ダメージ食らっちゃうし。

 「あたしが糸で無理矢理傷口を広げるよ~!」

 毒でじゅくじゅくになってる体に、桜が糸で傷口を攻撃。うわぁ。痛そう。あんなの人間の体でやられたらたまったもんじゃない。

 「アスカロン!! いくでぇ!!」

 「ヒャッッッッッハァァァァァ!!」

 そして桜が広げた傷口に、塩でも塗りたくるかのように、待機してたギルド員が攻撃を仕掛けていく。これは予想以上に早く終わるかもしれんな。

 
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